トルコリラ円見通し ドル円の下落続きトルコリラ円は8営業日続落(23/7/14)

トルコリラ円の7月13日は概ね5.31円から5.26円の取引レンジ、14日早朝の終値は5.29円で前日終値と変わらずだった。

トルコリラ円見通し ドル円の下落続きトルコリラ円は8営業日続落(23/7/14)

トルコリラ円見通し ドル円の下落続きトルコリラ円は8営業日続落

〇トルコ円、7/13午前に5.26へ最安値更新、その後ドル円に合わせてやや持ち直し、5.29挟みの揉み合い
〇対ドル、7/13は午前に26.24を付けて最安値更新を試したものの、新たな安値更新へは進まず
〇週次の外貨準備高は引き続き増加するも、依然として実質的なマイナス勘定
〇5.31を超える場合は、5.33から5.34への上昇を想定する
〇5.26割れからは、5.23、5.20等を順次試してゆくとみる

【概況】

トルコリラ円の7月13日は概ね5.31円から5.26円の取引レンジ、14日早朝の終値は5.29円で前日終値と変わらずだった。
為替市場では米国のインフレ鈍化傾向が顕著となってきたことによりFRBが7月に0.25%利上げをした後は利上げ停止に入るのではないかとの見方が強まり、米長期債利回りの低下とともにドル指数が下落、ドル円も6月30日に145円台に到達したところをピークとした下落を続けている。
ドル円は7月12日夜の米CPI鈍化により139円を割り込み、13日午前には138.08円まで下げてからやや戻していたが、13日21時半の米経済指標発表直後に138.94円へ一時的に上昇してから一段安となり138円を割り込んでいる。

トルコリラ円はドル高リラ安基調が続く中でもリラの下落速度がやや鈍っているためにドル円の騰落に合わせた展開で、円高に押されて7月4日から12日まで7営業日続落となり12日には5.27円まで史上最安値を更新、終値ベースでも5.30円を割り込んで過去最低とした。
7月13日は午前に5.26円へ安値を更新した後はドル円に合わせてやや持ち直し、米経済指標発表を通過した後のドル円の下落に圧迫されたものの早朝にかけてドル/トルコリラがややドル安リラ高の推移となったために13日午前安値割れには至らずに5.29円を挟んだ揉み合いに入っている。

【ドル全面安により史上最安値更新を回避するも最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの7月13日は概ね26.24リラから25.90リラの取引レンジ、14日早朝の終値は26.00リラで前日終値の26.13リラからは0.13リラのドル安リラ高だった。
5月28日のトルコ大統領選挙におけるエルドアン大統領再選をきっかけとした先行き不安からリラは暴落商状に陥り、6月13日に23.77リラへ史上最安値を更新し、トルコ中銀の大幅利上げ見通しで暴落商状が一服していたものの6月22日のトルコ中銀による15.0%への利上げでは不足としてリラ暴落再開となり6月28日には26.19リラへ最安値を更新した。その後にリラ安の加速度は鈍化しているものの7月6日に26.22リラ、7月11日に26.24リラへと最安値更新が続き、終値ベースでは7月12日に26.13リラへ最安値を更新した。

7月13日は午前に26.24リラを付けて最安値更新を試したものの、米国のインフレ鈍化による米長期債利回りの低下とドル全面安により新たな安値更新へは進まず、14日早朝にかけてはややリラ買い優勢となって前日比ではドル高リラ安となったが、25リラ台は繰り返し売られており、史上最安値更新への余裕は乏しい。

【純外貨準備高は増加続く】

7月13日に発表されたトルコ中銀による週次の外貨準備高は7月7日時点のグロスで698.4億ドルとなり6月30日時点の671.6億ドルから増加し、ネットでは131.7億ドルとなり6月30日時点の98.2億ドルから30億ドルを超える大幅な増加となった。
トルコ中銀はカブジュオール前総裁時代に外貨準備高を取り崩してリラ買い支えの市場介入を繰り返したためにネットの外貨準備高が2002年以来となるマイナス勘定に陥り、6月2日時点ではマイナス57億ドルとなったが、ウォール街の銀行家だったエルカン氏が新総裁に就任してからは市場介入をやめると宣言し、その後は毎週の増加でプラス圏に回復してきた。しかしまだ7月12日時点で379億ドルの為替市場におけるスワップ残高(6月7日時点では348.8億ドルだった)があり、これを差し引くと依然として実質的なマイナス勘定のままといえる。
順調な外貨準備高の回復は本来ならばトルコリラにはプラス材料だが、市場介入をしないことによる増加であり、トルコ中銀が介入をせずに市場原理に任せていることが逆に防波堤のない状況でリラ安が続くことを示しているともいえる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月6日午後から夜にかけていったん戻したところから一段安に入り7月11日午前へ続落したために7月10日午前時点からは7月6日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして11日午後から13日午後にかけての間への下落を想定してきた。
7月13日午前時点では前回のサイクルボトムを7月10日午前安値と改めてボトム形成期を13日午前から17日午前にかけての間としたが、13日午前に安値を更新したところから下げ渋りに入っているので、13日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。高値形成期は13日夜から17日午後にかけての間とするが、13日午前安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして18日午前から20日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月13日午前安値からの下げ渋りにより遅行スパンは実線と交錯に入っており、先行スパン下限に迫っている。7月13日夜高値5.31円を超える場合は上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先として先行スパン上限を試すとみるが、先行スパン上限近辺では戻り売りにつかまりやすいと注意し、6月13日午前安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。


60分足の相対力指数は7月12日深夜への下落時に10ポイント台へ低下してから40ポイント台後半へ戻したが、50ポイント超えへは進めずにいる。50ポイントから60ポイント手前にかけての水準は売られやすいと注意し、40ポイント割れからは下げ再開を警戒し、35ポイント割れからは20ポイント台前半への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.26円を下値支持線、5.31円を上値抵抗線とする。
(2)5.31円を超える場合は5.33円から5.34円への上昇を想定するが、5.33円以上は反落警戒とし、その後に5.30円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)5.26円割れからは5.23円、5.20円等を順次試してゆくとみる。5.22円以下では反騰注意とするが、5.30円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月14日
 16:00 トルコ中銀によるエコノミスト調査 年末のCPI・経常収支・ドル/トルコリラ等の予想水準
7月17日
 17:00 6月 財政収支 (5月 1189.1億リラ)
7月20日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 15.0%)


注:ポイント要約は編集部

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