トルコリラ円見通し ドル円の下落続きトルコリラ円は7営業日続落 (23/7/13)

トルコリラ円の7月12日は概ね5.38円から5.27円の取引レンジ、13日早朝の終値は5.29円で前日終値の5.37円からは0.08円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の下落続きトルコリラ円は7営業日続落 (23/7/13)

ドル円の下落続きトルコリラ円は7営業日続落

〇トルコ円、ドル円の大幅下落により7営業日続落で5.27まで史上最安値を更新
〇対ドル、7/12は概ね26.19から25.89の取引レンジ、7/13早朝の終値は26.13
〇5月末からの暴落商状継続、速度は減速しているもののリラ安に歯止めかからず
〇7/12発表の5月鉱工業生産は低調、製造業全般は前年同月比0.6%増にとどまる
〇7/20トルコ中銀金融政策委員会、大胆な利上げでリラ暴落が落ち着くか、さらなる暴落か試される局面
〇5.32を超える場合は5.35前後への上昇とその後の反落を想定
〇5.26割れからは5.23、5.20等を順次試してゆくとみる

【ドル全面安でドル円はドル指数の下落と同調して安値試しが続く】

ドル円は6月30日に145.06円を付けて1月16日安値127.22円以降の最高値としたが、その後の144円台を中心とした持ち合いから転落して7月6日から11日まで4営業日続落してきたが、12日夜は米6月CPIが全体の前年比で12か月連続のの鈍化となったために米長期債利回りが大幅低下してドル全面安となり、12日24時台安値で138.15円まで一段安した。その後も138円台前半にとどまり安値更新への余裕が乏しい。
昨年9月22日に日銀が市場介入した際の145円台に到達したことによる高値警戒感と、米FRBの追加利上げ姿勢等を材料消化として下落に転じている。インフレ鈍化傾向が強まったことでFRBが年内あと2回の利上げとしていることに対して7月FOMCで利上げ打ち止めとなるのではないかとの見方も強まっており、メジャー通貨の加重平均であるドル指数が4月14日安値を割り込んで昨年9月29日高値以降の最安値を更新し、ドル円も全般的なドル全面安の流れで安値更新を繰り返している。

トルコリラ円は、トルコリラが対ドルで史上最安値更新を繰り返している中で、円高による圧迫感が下落圧力を一層増していることで安値更新に歯止めがかからなくなっているところだが、ドル円の下落も6月30日高値から7円近くとなり売られ過ぎ警戒感も出やすいところのため、ドル円の反騰入りには注意したいところだ。

【対ドルでは取引時間中の最安値を更新】

ドル/トルコリラの7月12日は概ね26.19リラから25.89リラの取引レンジ、13日早朝の終値は26.13リラで前日終値の25.99リラからは0.14リラのドル高リラ安だった。
7月12日は米6月CPIが12か月連続で鈍化したことによる米長期債利回りの大幅低下で為替市場全般はドル全面安の様相となり、ユーロやポンドなどのメジャー通貨が一段高となったが、5月末からの暴落商状が続いているドルトルコリラは全般状況に左右されずに史上最安値近辺での推移を続けた。
7月11日には安値で26.24リラを付けて7月6日の26.22リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでは7月10日終値26.10リラが最安値となっており、12日は新たな史上最安値更新へは進まなかったが、13日午前は26.22リラから26.05リラのレンジで推移して取引時間中の最安値更新を試している。

エルドアン大統領の再選をきっかけとした先行き不安により5月28日の大統領選挙後からリラ暴落が発生し、6月22日のトルコ中銀による15%への政策金利引き上げを不足として一段安に陥り、6月後半からはリラ安の加速度は減速しているものの徐々に最安値を更新し続けており、リラ安に歯止めがかかっていない。
7月20日の次回トルコ中銀金融政策委員会で市場の納得する大胆な利上げへ踏み込んでリラ暴落が落ち着くのか、さらにリラ暴落の歯止めがかからなくなるのか試される局面だ。

【トルコ鉱工業生産は低調】

7月12日にトルコ統計局が発表した5月の鉱工業生産は前月比1.1%増となり4月の0.9%減から改善したが前年同月比は0.2%減で4月の1.2%減に続くマイナスだった。
前月比はトルコ・シリア大地震の影響で2月に5.9%減と落ち込んでから3月は復興需要もあり5.9%増と持ち直したが、それを除けば昨年8月以降は最大で2.5%増、最低で1.6%減の範囲で騰落を繰り返しており低調な水準が続いている。
前年同月比は2月に地震の影響で8.2%減まで悪化した後は落ち着いているものの、3月の0.4%増、4月の1.2%減、5月の0.2%減と低調だ。
前年同月比ではハイテクや耐久財および建設・機械等でプラスだが、製造業全般は0.6%増にとどまり、ローテクや鉱業および中間財、エネルギー関連はマイナスのままとなっている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月6日午後から夜にかけていったん戻したところから一段安に入り7月11日午前へ続落したために7月10日午前時点からは7月6日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして11日午後から13日午後にかけての間への下落を想定してきた。
7月13日午前へ一段安しているので引き続きボトム形成中とみるが、前回のサイクルボトムを7月10日午前安値と改めてボトム形成期を13日午前から17日午前にかけての間とする。
5.30円以下での推移中は一段安警戒とするが、5.30円超えを強気転換注意とし、5.32円超えからは強気サイクル入りとして13日午後から17日午後にかけての間への上昇を想定する。 

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落状態が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンからの転落状態が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は7月12日深夜への下落時に10ポイント台へ低下してからやや戻しているが40ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、40ポイント超えからは強気転換注意として50ポイント前後への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.26円を下値支持線、5.32円を上値抵抗線とする。
(2)5.30円から5.32円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。5.32円を超える場合は5.35円前後への上昇とその後の反落を想定する。
(3)5.26円割れからは5.23円、5.20円等を順次試してゆくとみる。5.22円以下では反騰注意とするが、5.30円以下での推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月13日
 16:00 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.9%)
 16:00 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 27.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/7時点 グロス (6/30時点 671.6億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 7/7時点 ネット (6/30時点 98.2億ドル) 
7月14日
 16:00 トルコ中銀によるエコノミスト調査 年末のCPI・経常収支・ドル/トルコリラ等の予想水準
7月17日
 17:00 6月 財政収支 (5月 1189.1億リラ)
7月20日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 15.0%)


注:ポイント要約は編集部

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