ドル高リラ安継続、ドル円の下落収まらずに6営業日続落で最安値を更新
〇トルコリラ円、7/4から7/11まで6営業日続落、7/12午前には5.35へ安値を更新
〇FRBの年内あと2回の利上げ見通しを織り込み済としてユーロやポンドが上昇してドル円が下落
〇ドル円の一段安に合わせてトルコリラ円も史上最安値を大幅に更新する可能性があり要注意
〇対ドル、リラ暴落の流れ継続、ドル安の圧迫感が若干出るも取引時間中の史上最安値を更新
〇5月経常収支は市場予想70億ドルを上回る79.33億ドルの赤字
〇5.37ー5.38にかけて戻り売りに掴まり易く5.38を超える場合は5.40前後への上昇とその後の反落を想定
〇5.32割れからは5.30、5.28等を順次試してゆくとみる
【概況】
トルコリラ円の7月11日は概ね5.43円から5.37円の取引レンジ、12日早朝の終値は5.37円で前日終値の5.41円から0.04円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラでのドル高リラ安が継続する中でドル円が6月30日高値145.06円をピークに大幅下落に転じたため、トルコリラ円は7月4日から11日まで6営業日続落となり、6月27日安値5.47円を割り込んでから連日の史上最安値更新に入っている。
ドル円は6月30日に145.06円を付けて1月16日安値127.22円以降の最高値としたが、その後に144円台を中心とした持ち合いで上げ渋り、7月6日に144円を割り込んでから大幅下落に入り、7月7日夜の米6月雇用統計を通過した後のドル安で142.04円まで安値を切り下げた。7月10日午後に143円までいったん戻したものの10日夜に142円を割り込み、11日午前に141円割れとなり、11日夜に140.15円まで下げてから140.95円まで小反発したが、12日午前には140円を割り込んでこの間の安値を更新している。
トルコリラ円はドル円の下落に合わせて先週末の7月8日早朝には5.44円へ下落して6月27日安値を割り込み、11日早朝に5.41円へ安値を切り下げ、11日夜に5.37円へ下げてから5.40円まで戻したものの12日午前には5.35円へ安値を更新している。
為替市場では5月末からドル安感が強まっており、米FRBが年内あと2回の利上げ見通しとしたことを織り込み済としてユーロやポンドが上昇してドル円が下落している。今夜の米6月CPIが予想を上回る上昇率ならドル高へぶり返す可能性もあるが、予想を下回る場合はドル安が勢い付く可能性があり、ドル円の一段安に合わせてトルコリラ円も史上最安値を大幅に更新する可能性のあるところと注意したい。
【対ドルでは取引時間中の最安値を更新】
ドル/トルコリラの7月11日は概ね26.24リラから25.81リラの取引レンジ、12日早朝の終値は25.99リラで前日終値の26.10リラからは0.11リラのドル安リラ高だった。
ユーロやポンドおよび円の上昇によりドル指数が4営業日続落となりドル/トルコリラにおいてもドル安の圧迫感が若干出る場面もあるが、基調としては5月末からのリラ暴落の流れが継続しており、6月22日のトルコ中銀による利上げを不足として急落した後はややリラ安の勢いが減速しているものの、7月11日は安値で26.24リラを付けて7月6日の26.22リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新している。
12日早朝の終値にかけてリラの買い戻しが入ったことで終値ベースでは7月10日終値26.10リラからの下落となったが、12日午前は26.13リラから26.01リラのレンジで推移しており取引時間中および終値ベースでの史上最安値を試す位置にある。
【トルコ経常赤字は再び拡大】
7月11日にトルコ中銀が発表した5月の経常収支は79.33億ドルの赤字となり市場予想の70億ドルを上回る赤字規模となった。2021年11月から経常赤字が続いており、2023年1月には103.5億ドルに達して過去最大の赤字を記録し、その後は2月の90.9億ドル、3月の49.01億ドルと減少していたが、4月に54.22億ドルへ拡大し、5月はさらに大幅な悪化となっている。
構造的な経常赤字国であり、貿易赤字を観光収入やその他収支で埋め合わせてきたが、世界的なインフレとリラ安により輸入額の急増で貿易赤字が拡大して経常収支が悪化する悪循環にあり、その影響で財政収支の悪化や中央政府債務が過去最大を毎月更新するような債務増を招いている。
7月3日に発表された貿易省による貿易統計速報では貿易赤字が54億ドルとなり5月の126.6億ドルから大幅に減少したため、6月の経常赤字は5月から減少すると見込まれるものの、5月末からのリラ暴落を反映した貿易収支の悪化はこれからさらに深刻化する可能性があり、経常収支の改善には程遠い状況が続くと思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月6日午後から夜にかけていったん戻したところから一段安に入り7月11日午前へ続落したために、7月10日午前時点では7月6日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして11日午後から13日午後にかけての間への下落を想定した。
7月12日午前へ一段安しているので引き続きボトム形成中とみる。
12日の上値抵抗線は5.40円までとし、5.40円超えからは強気サイクル入りとして12日午後から13日夜にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性もあると注意し、戻り幅の半値を削るところからは新たな弱気サイクル入りの可能性を優先する。
60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落状態が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンからの転落状態が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は7月8日早朝安値から11日午前安値への一段安に際して指数のボトムが切り上がっていたが50ポイントに届かずに12日午前には30ポイント割れへ失速しているのでまだ安値試しが続きやすいとみる。強気転換には50ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する反騰が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.32円を下値支持線、5.38円を上値抵抗線とする。
(2)5.37円から5.38円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。5.38円を超える場合は5.40円前後への上昇とその後の反落を想定する。ただし、米CPI発表後にドル円が急伸する場合は5.45円前後を試す可能性もあると注意する。
(3)5.32円割れからは5.30円、5.28円等を順次試してゆくとみる。5.30円以下では買い戻しも入りやすいとみるが、5.35円以下での推移なら13日も安値試しへ向かいやすいとみる。また米CPI発表後にドル円が急落する場合は5.20円台中盤へ下落する可能性もあると注意する。
【当面の主な予定】
7月12日
16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.9%)
16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -1.2%)
7月13日
16:00 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.9%)
16:00 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 27.5%)
20:30 週次 外貨準備高 7/7時点 グロス (6/30時点 671.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 7/7時点 ネット (6/30時点 98.2億ドル)
7月14日
16:00 トルコ中銀によるエコノミスト調査 年末のCPI・経常収支・ドル/トルコリラ等の予想水準
7月17日
17:00 6月 財政収支 (5月 1189.1億リラ)
7月20日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 15.0%)
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