ドル円見通し ドル安継続、ドル指数とともに4営業日続落で140円を試す(23/7/12)

ドル円は7月11日夜安値で140.15円へ下落してから140.95円まで戻したものの12日午前には11日夜安値を割り込んでいる。

ドル円見通し ドル安継続、ドル指数とともに4営業日続落で140円を試す(23/7/12)

ドル安継続、ドル指数とともに4営業日続落で140円を試す

〇ドル円、7/6から7/11まで4営業日続落、7/12午前も前日夜安値を割り込む
〇ドル指数も戻り高値を切り下げつつ安値も更新する右肩下がりの展開、テクニカルなドル売り勢い付くか
〇今夜の米6月CPIが予想を下回る伸び率ならドル売り加速のきっかけに
〇米10年債利回り続落、2年債利回りはやや上昇するも7/6に当面のピーク付け修正局面入りの印象
〇米地区連銀総裁らが年内追加利上げ支持姿勢を繰り返すも、利上げサイクルの終局入りを思惑させる動き
〇139.70割れからは139円台前半への下落を想定、米CPIから続落なら138円台後半へ下値目途切り下げ
〇141円超えからは141.30から141.70にかけての水準を試す上昇を想定

【概況】

ドル円は7月11日夜安値で140.15円へ下落してから140.95円まで戻したものの12日午前には11日夜安値を割り込んでいる。6月30日の145.06円を付けて以降、144円台中心の持ち合い形成から7月6日に日経平均の大幅下落などをきっかけに143.55円へ下落、6日夜の米ADP民間雇用大幅増で144.64円まで戻した後は連日の安値更新となり、143円、142円、141円を順次割り込んできた。
昨年9月22日に政府・日銀が市場介入した時の高値145.89円に迫ったことによる高値警戒感と、米FRBによる年内あと2回の利上げ姿勢を織り込み済として円売りドル買いが一巡したとの見方、7月7日の5月勤労統計調査における現金給与の前年比が2.5%増となり、賃金上昇を踏まえて日銀が金融緩和政策の修正に動くのではないかとの警戒感、7月7日夜の米6月雇用統計はまちまちだったものの追加利上げをさらに推し進めるような内容ではなかったこと、ECBや英中銀等の利上げ継続感によるユーロ高とポンド高等がドル売り優勢の流れを形成している。

【ドル指数、4営業日続落で6か月振り安値】

ドル円は7月6日から11日まで4営業日続落だが、ドル指数も7月6日から11日まで4営業日続落となり、6月22日安値を割り込み安値で101.64を付けて5月31日高値104.70以降の安値を更新して5月11日以来の安値水準となった。
昨年9月28日に114.78を付けて2021年1月6日の89.21以降の最高値を付けて2001年7月天井121.02から下落した時の2002年5月以来の高値水準に達してから今年2月2日安値100.81へ下落、4月14日に100.78へわずかに安値を切り下げてから戻したものの、5月31日への上昇では3月8日高値に届かずに失速してきている。戻り高値を切り下げつつ安値も更新する右肩下がりの展開に入っており、4月14日安値を割り込む場合はテクニカルなドル売りが勢い付く可能性がある。
7月11日にポンドドルは3-5月期の英賃金上昇率が過去最高に並んだことをきっかけに買われて1.2937ドルを付けて2022年9月26日安値1.0421ドル以降の最高値を更新、8月の英中銀MPCでは0.50%の追加利上げがあり得るとの見方が浮上して上昇感を強めている。

ユーロドルは5月31日安値1.0634ドルからの上昇基調を継続して7月11日には高値で1.1026ドルを付けて4月26日高値1.1095ドルへ迫っている。
ドル円は円の弱さを反映してドル指数が高値切り上げへ進めなかった5月末にかけて一段高となり6月30日まで高値を切り上げてきたが、全般のドル安感が強まる中で上昇一巡による修正局面に入った印象であり、6月末までの円安感から全般的なドル安感優勢の流れに入り、ドル売り材料に反応しやすくなっているようだ。すでに6月30日高値から凡そ5円の下落規模となっているが、3月8日から3月24日安値まで8.28円の下落規模だったことを踏まえると、137円台を試しても不思議ないところと思われる。今夜の米6月CPIが予想を下回る伸び率ならドル売りが加速するきっかけとなりえるところと注意したい。

【米10年債利回りは続落、ダウは連騰】

7月11日の米長期債利回りは10年債と30年債が低下、2年債利回りがやや上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.03%低下の3.97%となり、7月10日の0.07%低下からの続落となった。7月7日に一時4.094%を付けて3月2日の4.091%を超えて2022年11月以来の高水準に達したが、上昇一巡による続落で当面のピークを付けて修正安に入っている印象だ。
30年債利回りは0.02%低下の4.01%となり、10日の0.02%低下からの続落で7日に一時4.061%を付けて2022年11月以来の高水準に達したが上昇一服感が出ている。
利上げに敏感な2年債利回りは0.02%上昇の4.88%となった。7月6日に5.12%を付けて今年3月8日の5.08%を超えて2007年以来16年ぶりの高水準に達したが、米雇用統計を通過して7日に0.04%低下、10日に0.09%低下と続落し、11日は4.83%まで続落したところからやや戻してプラス圏としたが、7月6日に当面のピークを付けて修正局面入りしている印象のままと思われる。

FRB高官や地区連銀総裁らは年内の追加利上げ支持姿勢を繰り返しているものの、アトランタ連銀総裁が利上げ不要の可能性を示唆するなど6月FOMC後の積極的な利上げ継続感がやや後退して利上げサイクルの終局入りを思惑させる動きとなっている。
株式市場は利上げ継続懸念による圧迫感を抱えながらもやや過剰な悲観が後退して買い優勢の流れへ持ち直している。7月11日のNYダウは前日比317.02ドル高と上昇して7月10日の209.52ドル高からの連騰となり、ナスダック総合指数も75.22ポイント高と上昇して10日の24.76ポイント高から連騰した。
上海総合株価指数が2連騰したこともプラス要因だったが、中国人民銀行が不動産セクター救済策の一部を2024年末まで延長するとしたことや11日に発表された6月自動車販売が前年同月比4.8%増と好調だったことを反映したようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は6月30日高値145.06円をピークとして大きな修正安局面に入っており、連日の安値更新が続いておりまだ安値の落ち着きどころが見えていない。140円の大台を試すところでいったん下げ止まるか、140円割れからさらに売りの連鎖反応で下げ足が速まるのか試されるが、今夜の米CPIが決め手になるのだろうと思われる。
戻り高値を切り下げて一段安を繰り返しているため、15日早朝にかけての下落余地ありとするが、141円超えからはいったん戻しに入るとみて14日夜にかけての上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落状態が続いている。26本基準線が上値抵抗線となっているので26本基準線を下回るうちは一段安警戒とするが、26本基準線超えからは強気転換注意とし、遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみて高値試し優先とする。ただし先行スパンからの転落が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は先週末の下落時に20ポイントを割り込み、いったん50ポイント超えへ戻してから30ポイント割れへと失速し、11日夜に40ポイントを超えてからも反落しているのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換には再び50ポイントを超え、その後の反落でも40ポイント台を維持した上で指数の高値切り上げへ進む必要があると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、139.70円を下値支持線、141.00円を上値抵抗線とする。
(2)140.60円以下での推移中は一段安余地ありとし、139.70円割れからは139円台前半への下落を想定する。12日夜の米CPIから続落の場合は138円台後半へ下値目途を切り下げる。また直前安値から1円を超える反騰へ進めないうちは13日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)141円超えからは141.30円から141.70円にかけての水準を試す上昇を想定するが、反騰一巡後に戻り幅の半値を削るところからは下げ再開を疑うが、141円以上を維持するか、一段安したところから1円を超える反騰水準を維持する場合は13日も高値試しへ向かうとみる。

【当面の主な予定】

7/12(水)
11:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ) 政策金利 (現行 5.50%、予想 5.50%)
12:10 (豪) ロウ豪中銀(RBA)総裁、講演
17:00 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、金融安定性報告書に関し記者会見
21:30 (米) 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 4.0%、予想 3.1%)
21:30 (米) 6月 CPIコア指数 前月比 (5月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 CPIコア指数 前年同月比 (5月 5.3%、予想 5.0%)
21:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
22:45 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会参加
23:00 (加) カナダ銀行(BOC) 政策金利 (現行 4.75%、予想 5.00%)

23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
26:00 (米) 財務省10年債入札
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
29:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

7/13(木)
未 定 (中) 6月 貿易収支・米ドル建て (5月 658.1億ドル、予想 753.0億ドル)
未 定 (中) 6月 貿易収支・人民元建て (5月 4523.3億元)

15:00 (英) 5月 月次GDP 前月比 (4月 0.2%、予想 -0.3%)
15:00 (英) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.3%、予想 -0.4%)
15:00 (英) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -1.9%、予想 -2.3%)
15:00 (英) 5月 製造業生産指数 前月比 (4月 -0.3%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 5月 貿易収支・物品 (4月 -149.96億ポンド、予想 -145.50億ポンド)
15:00 (英) 5月 貿易収支・全体 (4月 -15.18億ポンド、予想 -8.00億ポンド)
18:00 (欧) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 1.0%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 0.2%、予想 -1.1%)
20:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨

21:30 (米) 6月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (5月 -0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (5月 1.1%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 PPIコア指数 前月比 (5月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月 PPIコア指数 前年同月比 (5月 2.8%、予想 2.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.8万件、予想 24.9万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 172.0万人、予想 172.0万人)
26:00 (米) 財務省30年債入札
27:00 (米) 6月 月次財政収支 (5月 -2403億ドル、予想 -1840億ドル)


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る