ドル円、約1ヵ月ぶり安値圏へ急落。米CPIの結果次第では一段安の恐れも(7/12朝)

11日(火)のドル円相場は続落。

ドル円、約1ヵ月ぶり安値圏へ急落。米CPIの結果次第では一段安の恐れも(7/12朝)

ドル円、約1ヵ月ぶり安値圏へ急落。米CPIの結果次第では一段安の恐れも

〇ドル円、米国時間朝方にかけ140.16まで急落、一旦持ち直すも140円台前半での動き
〇米長期金利低下、米CPI発表前のポジション調整、円キャリートレードの巻き戻し等が重石に
〇ユーロドル、欧州株の堅調や米長期金利低下に1.1027まで上昇後1.10を挟んだもみ合いに
〇ドル円、基準線、21日移動平均線等下抜け、三役好転も消失、テクニカルの地合い急速に悪化
〇米引き締め早期終了観測の再燃、日銀のYCC修正への思惑、米CPI悪化への警戒感が重石に
〇本日米6月CPIに注目、市場予想は前年比+3.1%、更に悪化すれば6/1安値138.46試しも
〇本日の予想レンジ:138.50ー141.50

海外時間のレビュー

11日(火)のドル円相場は続落。アジア時間朝方にかけて、高値141.47まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが4.00%から3.95%へ低下)や、(2)重要イベント(米6月消費者物価指数)を控えたポジション調整、(3)日銀による金融緩和の修正観測(日銀が7/28に予定されている会合でYCCの許容変動幅拡大に踏み切るとの思惑)、(4)円キャリートレードの巻き戻し(約5年半ぶり高水準に積み上げられていた円ショートポジションのアンワインド)、(5)日経平均株価の冴えない動きが重石となり、米国時間朝方にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる140.16(6/16以来の安値圏)まで急落しました。その後は、心理的節目140.00を背にした押し目買いを背景に、一時140.98まで持ち直す場面も見られましたが長くは続かず、米国時間午後にかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間7/12午前5時40分現在)では、140.36前後で推移しております。

11日(火)のユーロドル相場は上昇後に反落。(1)ECBによる金融引き締め長期化観測(欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力)や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)欧州株の堅調推移、(4)6/22に記録した直近高値1.1012突破に伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売りが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.1027(5/8以来、約2ヵ月ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)ドイツ7月ZEW景況感指数(結果▲14.7、予想▲10.6)の冴えない結果や、(6)独長期金利低下に伴うユーロ売り圧力、(7)ユーロポンドの下押し圧力(英国の3ー5月賃金上昇率が過去最高水準を記録→英中銀による大幅利上げ観測再燃→英ポンド急伸→ユーロポンド下落→ユーロドル連れ安)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0977まで反落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/12午前5時40分現在)では、1.1006前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は6/30に記録した年初来高値145.07をトップに反落に転じると、昨日は約1カ月ぶり安値となる140.16(6/16以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、遅行線の26日前ローソク足接触を経て強い買いシグナルを示唆する三役好転も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの急速な悪化が確認されます。

こうした動き(突然のドル円変調)の背景には、(A)米国の労働市場が見た目の数字より過大評価されているのではないかとの疑惑(米FRBによる金融引き締め早期終了観測の再燃→米長期金利低下→米ドル売り)や、(B)日本政府・日銀による根強い円買い介入観測、(C)7/28に予定されている日銀金融政策決定会合でのYCC(イールドカーブコントロール)の許容変動幅拡大の思惑、(D)今晩予定されている米6月消費者物価指数が一段と鈍化するのではないかとの思惑、(E)過去最高水準に積み上げられた円ショートポジションの巻き戻し(重要イベント前の円キャリートレード手仕舞い)といった複数の要因の組み合わせが挙げられます。

こうした中、本日は上記Dを確認する目的で、日本時間21:30に予定されている米6月CPIに注目が集まります。既に発表されている米ミシガン大消費者信頼感指数の1年先のインフレ期待は3.3%、米6月ニューヨーク連銀調査の1年先のインフレ期待は3.8%まで各々急低下しており、米6月CPIも一段と低下するシナリオが警戒されます。市場予想の前年比+3.1%を下回る場合には、7/26FOMCでの利上げ見送りに繋がる可能性もあるため(既に90%以上織り込まれている25bp利上げ観測の剥落に繋がる可能性もあるため)、本日海外時間帯はドル円のダウンサイドリスクに特に警戒が必要でしょう(CPIが弱ければ6/1に記録した安値138.46を試すシナリオを想定。但し、同水準で下げ渋れば、悪材料出尽くしに伴うショートカバーも意識されるため、急落後に急上昇に転じる可能性あり)。尚、本日は米6月CPI以外にも、リッチモンド連銀バーキン総裁発言や、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁発言、アトランタ連銀ボスティック総裁発言、クリーブランド連銀メスター総裁発言、米10年債入札、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などが予定されております。

本日の予想レンジ:138.50ー141.5

ドル円、約1ヵ月ぶり安値圏へ急落。米CPIの結果次第では一段安の恐れも

ドル円日足


注:ポイント要約は編集部

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