トルコリラ円見通し ドル円の急落に圧迫されて5.40円を割り込み史上最高値を更新(23/7/11)

トルコリラ円の7月10日は概ね5.50円から5.39円の取引レンジ、11日早朝の終値は5.41円で先週末終値の5.45円から0.04円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル円の急落に圧迫されて5.40円を割り込み史上最高値を更新(23/7/11)

トルコリラ円見通し ドル円の急落に圧迫されて5.40円を割り込み史上最高値を更新

〇トルコリラ円、7/10午前5.44まで下げて史上最安値更新し、その後ドル円の反騰局面で5.50まで戻す
〇しかし午後からドル円が一段安へと下落した流れで、7/11早朝に5.39まで史上最安値を更新
〇ドル円の上昇一巡によりトルコ円への圧迫感強まり、史上最安値を繰り返し更新する可能性あるか
〇対ドル、7/10は取引時間中の最安値更新には至らなかったが、終値ベースで26.10を付け最安値更新
〇7/11午前には26.24へと取引時間中の最安値を更新
〇昨日発表のトルコ失業率は改善、今週は経常収支や鉱工業生産の発表が予定される
〇一時的な上昇で5.45を超える場合は、5.47前後への上昇とその後の反落を想定する
〇5.39割れからは、5.37、5.35等を順次試してゆくとみる

【概況】

トルコリラ円の7月10日は概ね5.50円から5.39円の取引レンジ、11日早朝の終値は5.41円で先週末終値の5.45円から0.04円の円高リラ安となった。
ドル/トルコリラは史上最安値近辺での推移が続いているものの暴落商状に対する一服感もありリラ安基調はやや減速しているのだが、ドル円が6月30日に145円に到達した後の144円台を中心とした持ち合いから転落してから連日の下落となり、7月8日早朝に142円を試してから10日午後にいったん143円到達まで戻したものの一段安に入り、10日夜には142円を割り込んで11日早朝には141.20円台へ続落した。
トルコリラ円は7月10日午前に5.44円まで下げて史上最安値を更新し、ドル円の反騰局面で5.50円まで戻したものの、午後からドル円が一段安へと下落した流れで11日早朝には5.39円まで史上最安値を更新した。

【ドル円の上昇一巡によりトルコリラ円への圧迫感強まる】

ドル円は6月30日高値で145.06円を付けたところを当面のピークとして下落に転じたが、昨年9月22日に政府・日銀が円買い介入を実施した時の高値が145.89円であり、その後に10月21日高値151.94円へ一段高したものの、145円到達によりいつ介入があっても不思議ないところとしてポジション調整的な円の買い戻しが優勢となっている。米FRBによる年内あと2回利上げの可能性は継続しているものの、利上げがあってもあと2回であり、今後のインフレ率低下によっては1回の利上げで終わる可能性もあるとして米国の利上げ継続によるドル高円安に関しては材料として織り込み済となっている印象だ。
1月16日安値を起点として3月8日までの上昇を一段目とすれば、3月24日安値から二段目の上昇としてきたが、6月30日高値からの下落規模は3月24日以降で最大となっており、調整局面がまだ続きやすいところと思われる。

トルコリラ円にとっては中長期的なドル高リラ安基調が継続していることに加え、これまで下支えとなってきたドル円の上昇が崩れたことにより、対ドルでのリラ安が勢い付く場面やドル円が一段安する場面で史上最安値を繰り返し更新する可能性のあるところと注意したい。

【対ドルでの暴落商状に一服感あるものの、11日午前に最安値を更新】

ドル/トルコリラの7月10日は概ね26.11リラから25.98リラの取引レンジ、11日早朝の終値は26.10リラで先週末終値の26.06リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
7月7日の米雇用統計を通過してユーロやポンドが一段高となりドル円が急落するなどドル安感がみられるものの、ドル/トルコリラへの影響はさほどなく、6月22日のトルコ中銀による利上げを不足として急落した後はリラ安の加速度は減速しているものの中長期的なリラ安基調は続いており、7月6日には26.22リラへ取引時間中の最安値を更新し、終値ベースでも26.08リラで最安値更新したが、7月10日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値ベースでは最安値更新となり、11日午前には26.24リラへと取引時間中の最安値を更新している。
7月20日にトルコ中銀MPC(金融政策委員会)があり、政策金利を15%からさらに引き上げるとみられているが、市場の満足するような20%を超える水準へ大幅利上げを継続できなければ大幅利上げを催促するリラ売りが勢い付いて暴落商状に陥ることも懸念される。

【トルコ失業率は改善】

7月10日に発表されたトルコの5月失業率は9.5%となり4月の10.0%(速報の10.2%から下方修正)から改善した。
2022年10月の9.6%を下回り、2014年3月の9.5%に並ぶ低水準であり、直近で最悪だった2020年7月の14.2%以降で最低となった。
2月6日に発生したトルコ・シリア大地震の影響による悪化も軽微なものにとどまっての改善であり、年初の最低賃金引上げによる労働意欲の改善や震災復興需要での雇用増の影響と思われるが、為替市場の反応は限定的だった。
7月11日には5月の経常収支、12日には悪化の目立っている鉱工業生産の発表がある。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月6日午後から夜にかけていったん戻したところから一段安に入り、7月11日午前へ続落しているため、7月6日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして11日午後から13日午後にかけての間への下落を想定する。一時的でイレギュラーな上昇を除き、5.45円を下回るうちは一段安余地ありとし、5.45円超えからは強気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落状態が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンからの転落状態が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は7月8日早朝安値から11日午前安値への一段安に際して指数のボトムが切り上がり気味となり強気逆行の気配がみられるものの50ポイント以下での推移中は一段安を繰り返しやすいと注意する。強気転換には50ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.39円を下値支持線、5.45円を上値抵抗線とする。
(2)5.43円から5.45円手前にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。一時的な上昇で5.45円を超える場合は5.47円前後への上昇とその後の反落を想定する。
(3)5.39円割れからは5.37円、5.35円等を順次試してゆくとみる。5.35円以下では買い戻しも入りやすいとみるが、4.53円以下での推移なら12日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月11日
 16:00 5月 経常収支 (4月 -54.04億ドル)
7月12日
 16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.9%)
 16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -1.2%)
7月13日
 16:00 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.9%)
 16:00 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 27.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/7時点 グロス (6/30時点 671.6億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 7/7時点 ネット (6/30時点 98.2億ドル) 
7月14日
 16:00 トルコ中銀によるエコノミスト調査 年末のCPI・経常収支・ドル/トルコリラ等の予想水準

7月20日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 15.0%)



注:ポイント要約は編集部

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