ドル円見通し ドル全面安続き、ドル指数とともに6営業日続落(23/7/14)

13日21時半の米経済指標発表後に一時138.94円まで上昇したものの早々に売られて138円を割り込み、14日早朝には137.92円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し ドル全面安続き、ドル指数とともに6営業日続落(23/7/14)

ドル円見通し ドル全面安続き、ドル指数とともに6営業日続落

〇ドル円、7/13午前138.08へ続落した後は下げ渋るも、夜の米経済指標発表後に一時138.94まで上昇
〇その後早々に売られて138円を割り込み、7/14早朝に137.92まで安値を切り下げる
〇米国のインフレ低下とFRBによる利上げ長期化への懸念後退を背景に、ドル安継続
〇ドル指数は6営業日続落、ユーロやポンドの上昇感は強まる
〇昨日発表の米6月PPIは低水準にとどまる、インフレ低下基調が顕著に
〇米長期債利回りは続落、米株価は4連騰
〇138.30以下での推移中は一段安余地ありとし、137.70割れからは137円前後を試す下落を想定する
〇139円超えからはいったん戻りを試す流れとみて、139円台後半試しとする

【概況】

ドル円は7月12日夜の米CPI上昇率の鈍化により139円を割り込み、13日午前に138.08円へ続落した後は下げ渋りに入っていたが、13日21時半の米経済指標発表後に一時138.94円まで上昇したものの早々に売られて138円を割り込み、14日早朝には137.92円まで安値を切り下げた。
7月13日夜発表の週間新規失業保険申請件数が予想外の改善となる一方で、6月の米PPI(生産者物価指数)の前年比が0.1%にとどまり2020年8月以来の低水準だったことにより、12日夜の米CPIの鈍化とともに米国のインフレ低下とFRBによる利上げ長期化への懸念が後退したとしてドル安が継続した。

【ドル指数は6営業日続落、昨年4月以来の安値水準に】

ドル円は6月30日に145.06円へ上昇して年初来高値を更新したところから下落に転じてきたが、直近ではドル指数の下落とともに6営業日続落となっている。FRBが6月FOMCで年内あと2回の利上げと年内の利下げはないとの見通しを示したことによるドル高はその後のインフレ指標の鈍化により一巡し、市場は7月25-26日の次回FOMCで0.25%利上げを決定した後は追加利上げへ進めずに利上げ停止に入るのではないかとの見方を強めている。一方でECBや英中銀などの追加利上げ姿勢は継続しているため、ドル安感よりもユーロやポンドの上昇感が強まってきている。

ユーロドルは7月13日に1.1228ドルを付けて昨年9月28日安値0.9536ドル以降の高値を更新、4月26日高値を超えて一段高に入っている。ポンドドルは13日に1.2979ドルへ上昇して昨年9月26日安値1.0382ドル以降の高値を更新して上昇が勢いを増している。
ドル/スイス・フランは13日に0.8581フランへ急落して8年ぶりの安値、オセアニア通貨の上昇も勢い付いており、豪ドル米ドルは7月13日に0.6894ドルを付けて6月16日高値0.6899ドルに迫っている。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は安値で99.73を付けて昨年9月28日高値114.78以降の安値を更新、昨年4月以来の低水準としたが、4月14日安値等の100ポイント台を下値支持線とした持ち合いから転落しており先安感が強まっている。
ドル円は日銀による金融緩和修正への動きが意識されていることも下落要因となっているが、全般的なドル安によりドル指数と同調した動きのため、137円台到達による売られ過ぎ警戒感を持ちながらも全般のドル安を追いかけやすい環境と思われる。

【米6月PPIは鈍化傾向】

7月13日夜に発表された6月の米PPI(生産者物価指数)上昇率は前月比0.1%となり、5月のマイナス0.4%から上昇したものの市場予想の0.2%を下回り低水準にとどまった。前年同月比は0.1%で5月の0.9%から大幅に鈍化して市場予想の0.4%も大きく下回った。前年同月比は2020年8月以来の低水準であり、前日発表の米6月CPIの前年同月比が3.0%となり5月の4.0%から大きく鈍化して市場予想の3.1%を下回ったことも併せてインフレ低下基調が顕著となった。
PPIのコア指数の上昇率は前月比0.1%で5月と変わらず予想の0.2%を下回り、前年同月比は2.4%で5月の2.6%(速報の2.8%から下方修正)および市場予想の2.6%を下回った。

米労働省による週間新規失業保険申請件数は7月8日までの週間で23万7000件、前週から1万2000件減少して2週ぶりの改善となり、失業保険受給者総数は7月1日までの週間で172万9000人となり、前週からは1
1000人増加した。
米財務省による6月の米財政収支は2280億ドルの赤字で赤字額は5月の2403億ドルから減ったものの市場予想の1750億ドルを上回った。

【米長期債利回りは続落、ダウは4連騰】

7月13日の米長期債利回りはPPIの鈍化により総じて低下した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.09%低下の3.77%となったが、7月7日に一時4.094%を付けて3月2日の4.091%を超えて2022年11月以来の高水準に達したが、7月10日に前日比0.07%低下、11日に0.03%低下、12日も0.11%低下して13日も4営業日連続低下となった。
30年債利回りは前日比0.05%低下の3.90%となったが、7月7日に一時4.061%を付けて3月2日の4.047%を超えて2022年11月以来の高水準に達した後は7月10日に前日比0.02%低下、11日に0.02%低下、12日に0.06%低下し、4営業日連続低下となった。
利上げに敏感な2年債利回りは0.11%低下の4.64%となったが、7月6日に5.12%を付けて今年3月8日の5.08%を超えて2007年以来16年ぶりの高水準に達したところから低下に転じ、7日に0.04%低下、10日に0.09%低下し、11日は0.02%上昇とやや戻したものの12日に0.13%低下と再び崩れて13日も続落した。

一方でFRBによる利上げ継続が緩むとの期待感で株式市場は堅調、NYダウは前日比47.71ドル高で4営業日続伸、ナスダック総合指数も219.61ポイント高で4営業日続伸した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は6月30日高値145.06円をピークとして大きな修正安局面に入っており、14日午前序盤も安値試しを続けている。先週末の7月8日未明に142円を試してから143円までいったん戻して一段安に入ったため、当面の安値形成期は15日早朝にかけて想定されるのでまだ下落余地ありとみる。また7月13日の下げ渋りから一段安しているため、すでに新たな下落期に入って安値形成期が来週前半へ延びる可能性もあるとみる。
強気転換は139円超えからとし、その際は17日午後にかけての上昇を想定するが、戻りは短命の可能性もあるので、上昇再開感を強めるには明確な切り返し観測が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落状態が続いている。26本基準線が上値抵抗線となっており、13日夜の上昇時も26本基準線へ到達後に失速している。26本基準線超えから続伸に入れば強気転換注意とし、遅行スパン好転からは先行スパンへ潜り込む上昇を想定するが、先行スパン上限近辺では売られやすいとみる。先行スパンからの転落が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は7月12日深夜の下落時に10ポイント台へ低下してから40ポイント台へ戻したがその後は30ポイント台での推移へ押し返されている。一時的に戻しても50ポイントを下回るうちは一段安警戒とし、30ポイント割れからは20ポイント弱への低下を想定し、50ポイントに到達するところからは戻りを試す流れとみて60ポイント台を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、137.70円を下値支持線、139.00円を上値抵抗線とする。
(2)138.30円以下での推移中は一段安余地ありとし、137.70円割れからは137円前後を試す下落を想定する。137円以下は反発注意とするが、138.30円以下での推移か直前安値から1円を超える反発がみられないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)139円超えからはいったん戻りを試す流れとみて139円台後半試しとする。139.50円以上は反落注意とするが、139円を超えた後も138.50円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

7/14(金)
休場 ニュージーランド
G20財務相・中央銀行総裁会議(7/18まで、インド・ガンディーナガル)
13:30 (日) 5月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -1.6%)
13:30 (日) 5月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 4.7%)
13:30 (日) 5月 設備稼働率 前月比 (4月 3.0%)
18:00 (欧) 5月 貿易収支・季調済 (4月 -71億ユーロ)
18:00 (欧) 5月 貿易収支・季調前 (4月 -117億ユーロ)
21:30 (米) 6月 輸入物価指数 前月比 (5月 -0.6%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 6月 輸出物価指数 前月比 (5月 -1.9%、予想 0.0%)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (6月 64.4、予想 65.5)



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