ドル円、米PPIの伸び率鈍化で安値を更新。円キャリートレード解消の流れが継続
〇ドル円、米PPI鈍化にと米長期金利低下に米国時間に一時137.93まで下落
〇ユーロドル、ECB理事会議事要旨のタカ派的見解や欧州株堅調、米金利低下に1.1228まで上昇
〇ドル円、基準線、21日移動平均線等下抜け、三役好転も消失、テクニカルの地合いの悪い
〇ファンダメンタルズも米インフレ鈍化期待、日銀YCC修正への思惑等ドル円の売り材料増加
〇ドル円相場の続落を本日のメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:137.00ー138.75
海外時間のレビュー
13日(木)のドル円相場は上昇後に急反落。(1)急ピッチな下落に対する反動買いや、(2)日経平均株価の大幅反発、(3)上記2を背景としたリスク選好の円売り圧力、(4)米新規失業保険申請件数(結果23.7万件、予想24.0万件)の良好な結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値138.95まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)米6月生産者物価指数(結果+0.1%、予想+0.4%)の市場予想を下回る結果や、(6)米6月生産者物価コア指数(結果+2.4%、予想+2.6%)の市場予想を下回る結果、(7)上記5、6を背景とした米長期金利の更なる低下(米国のインフレ沈静化期待→米FRBによる金融引き締め休止観測→米10年債利回りが6/29以来となる3.75%へ急低下)が重石となり、米国時間午後にかけて、約1カ月半ぶり安値となる137.93(5/22以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/14午前5時30分現在)では、138.06前後で推移しております。尚、昨日は神田財務官より、足元の円高に関して、「ファッションだった円キャリートレードの勢いが弱まっている」との見方が示されました。
13日(木)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間午後にかけて、安値1.1130まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)ECB理事会議事要旨(6/15開催分)の「必要に応じて7月以降の利上げを検討する可能性がある」とのタカ派的な見解や、(2)上記1を背景としたECBによる金融引き締め長期化観測、(3)欧州株の堅調推移、(4)米6月生産者物価指数の市場予想を下回る結果、(5)米6月生産者物価コア指数の市場予想を下回る結果、(6)米長期金利の急低下が支援材料となり、米国時間午後にかけて、約1年4カ月ぶり高値となる1.1228(昨年3/1以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/14午前5時30分現在)では、1.1227前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は6/30に記録した年初来高値145.07をトップに反落に転じると、昨日は約1カ月半ぶり安値となる137.93(5/22以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線、一目均衡意表雲上限を下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「三役好転」や「ダウ理論の上昇トレンド」が共に消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米国におけるインフレ鈍化期待の高まり(米CPI、米PPIが共に市場予想を下回る結果)や、(2)上記1を背景とした米FRBによる金融引き締め休止観測(年内2回の利上げ観測が後退→米長期金利急低下→対主要通貨で米ドル独歩安)、(3)日銀による金融緩和の修正観測(7/28に予定されている日銀金融政策決定会合でイールドカーブコントロールの許容変動幅拡大が実施されるとの根強い思惑)、(4)上記2、3を背景とした円キャリートレード解消の流れなど、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方ではドル円相場の続落を本日のメインシナリオとして予想いたします(値頃感で逆張りする短期ハイレバレッジ・ドル円ロング勢のストップSELLが更にドル円を押し下げる悪循環が継続→200日移動平均線が位置する137.11や、90日移動平均線が位置する137.04付近まで下落するシナリオを想定)。尚、本日は米6月輸出入物価指数(21:30)や、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(23:00)に注目が集まります。
本日の予想レンジ:137.00ー138.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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