ユーロドルは上下限定的な動きが続く
〇先週のユーロドル、金曜米雇用統計発表でドル売り強まり1.0973レベルとユーロ高値圏で週末クローズ
〇ユーロドルの値幅は大きくなく、ドルの動きと円の動きとで相殺され結果として値幅を狭めることが続く
〇米国同様、ECB7月利上げも確実視されていることからよほどのサプライズが無い限り方向感出にくいか
〇今週は米国CPIが最大の注目材料、ユーロ圏からも主要国のCPI改定値発表予定
〇1.0850レベルをサポートに、1.0990レベルをレジスタンスとするレンジを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、前週に1.0977レベルと1.10の大台を試しきれなかった動きもあって、週初から買われるとカウンターで売りが出てくる高値を切り下げる展開が木曜まで続きました。ユーロ円の上値が重たかったこともユーロの戻り売りが出る要因となっていましたが、金曜の雇用統計をきっかけにドル売りの動きが強まると、ユーロドルも1.0973レベルと前週高値に接近しユーロ高値圏での週末クローズとなりました。
それでもユーロドルの値幅は大きくなくドル円は週間レンジが2円以下だと動かないという印象ですが、ユーロドルは200pips動くと動いたという印象で、最近は円安の動きがユーロ円でも目立っていたことからユーロドルはドルの動きと円の動きとで相殺し、結果として値幅を狭めるという動きが続いていると言えます。
今週は米国CPIが最大の注目材料ですが、ユーロ圏からも主要国のCPI改定値、エコノミストのレーンECB理事の講演あたりが注目材料となります。ただ米国の7月利上げが確実視されているようにECBの7月利上げも確実視されていることから、よほどのサプライズが無い限り、方向感が出てくることは無さそうです。
ユーロドルは6月23日以降の動きを見ていると1.10の大台近くでは明らかにユーロ売りオーダーが並んでいる様子で、一部はオプションの防戦売りなどが出ている可能性もあります。いっぽうで、下がるところではこれまではユーロ円の買いもあり1.08台半ばから下ではユーロ買いオーダーが入っているという動きが続いていました。
テクニカルにはどのような状況なのか、日足チャートで見てみましょう。
黄色のラインマーカーで着色した部分が6月26日以降ですが、上下ともにオーダーが入っていて止められている様子が伺えます。またどちらの水準もテクニカルにフィボナッチ・リトレイスメントの水準と重なっています。上限が5月高値と安値の78.6%(61.8%の平方根)戻し(青のターゲット)、下限が5月安値と6月高値の半値押し(赤のターゲット)となっています。
今週もこれら双方の水準を参考にしながら、ピンクのサポートとレジスタンスラインで示した三角もちあいにも注目すると、引き続きユーロドルは大きくは動けそうもありません。今週は1.0850レベルをサポートに、1.0990レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。
今週のコラム
今週は先月末に史上最高値を記録したスイス円のその後の動きを見てみましょう。日足チャートをご覧ください。
1月の年初来安値と史上最高値との23.6%押しでさえ遠く感じますが、7月に入ってからの下げで短期的な高値はいったん見たという感じでしょうか。それでも日銀だけが緩和継続という動きの中で、ドル円には警戒感があるものの対欧州通貨でのクロス円にはそれほど警戒感はありません。
押し目の水準を探るのは難しいですが6月中旬以降にいったん押しが入った157円台前半から158円水準までの押しが入れば再び買いが入りやすいと言えそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
7月10日(月)
29:00 英中銀総裁講演 ☆
7月11日(火)
08:01 英国6月小売売上高
15:00 ドイツ6月CPI
18:00 ドイツ7月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏7月ZEW景況感 ☆
**:** NATOサミット(〜12日)
7月12日(水)
15:00 英中銀金融安定報告書公表 ☆
17:00 英中銀総裁会見 ☆
21:30 米国6月CPI ☆
22:45 レーンECB理事講演 ☆
7月13日(木)
08:01 英国6月住宅価格
15:00 英国5月鉱工業生産、貿易収支
15:45 フランス6月CPI
18:00 ユーロ圏5月鉱工業生産
7月14日(金)
18:00 ユーロ圏5月貿易収支
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
7月3日(月)
ユーロドルは目立った材料はなかったもののドル円上昇の動きから東京後場には売りが入り1.0870レベルの安値をつけました。しかしドル円が145円手前で足踏みをする中で買い戻しが入り、NY市場ではドル売りの動きから買い戻され日中高値1.0934レベルをつけた後にやや押して引けました。
7月4日(火)
ユーロドルは上値が重かったものの米国が休場ということもあり値幅はわずか39pips、ユーロ円の売りが目立ちましたが、ユーロ円は158円での上値の重さから米国雇用統計を前にした利食いが出た様子でした。
7月5日(水)
ユーロドルは欧州時間に発表された経済指標で上下する場面もありましたが、米金利上昇によるドル買いが対ユーロで見られたことから引けに向けてじり安の流れを続けて引けました。
7月6日(木)
ユーロドルは東京昼過ぎまではユーロ円の売りもあり若干上値の重たい展開でしたが、その後はユーロ円とともに反転上昇、NY朝方には1.0901レベルの高値をつけました。その後強いISMによる米金利上昇によるドル買い(ユーロ売り)で東京時間の安値1.0833レベルに並んだものの下げきれず、引けにかけては1.08台後半へと戻しました。
7月7日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤にドル円とともにユーロ円も下げたことからいったん下押しが入ったものの雇用統計発表を前に元の水準に戻して指標待ち。発表直後は上下あったものの、落ち着いた後は米金利低下によるドル売りにユーロドルは1.0973レベルまで上昇し高値圏での週末クローズとなりました。
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