トルコリラ週報:『国営銀行によるリラ買い介入でもリラ売り止まらず。史上最安値を一段と更新』(7/8朝)

トルコリラの対円相場は、国営銀行による介入観測が浮上したにも係わらず、史上最安値を更新しました。

トルコリラ週報:『国営銀行によるリラ買い介入でもリラ売り止まらず。史上最安値を一段と更新』(7/8朝)

『国営銀行によるリラ買い介入でもリラ売り止まらず。史上最安値を一段と更新』

〇今週のトルコ円、為替介入観測、外貨準備の大幅増加に週前半5.62まで上昇
〇買い一巡後は米長期金利上昇、トルコ付加価値税引き上げ等に週末5.44まで反落
〇トルコ円、全てのテクニカルポイントの下側で推移、地合いは極めて弱い
〇ファンダメンタルズもリラ防衛策の資本規制撤廃観測が重石
〇トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.25ー5.65

今週のレビュー(7/3−7/7)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.54円で寄り付いた後、(1)複数のトルコ国営銀行がトルコリラを支えるために介入を実施しているとの観測報道や、(2)週次外貨準備高の大幅増加が支援材料となり、翌7/4にかけて、週間高値5.62円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)トルコ6月消費者物価指数(結果+3.92%、予想+4.30%、前回+0.04%)の伸び率加速(市場予想を下回りつつも前回と比べて伸び率加速→インフレ再加速への警戒感)や、(4)米FOMC議事要旨のタカ派的な結果、(5)米経済指標の力強い結果、(6)ダラス連銀ローガン総裁による「さらなる利上げが必要」とのタカ派的な発言、(7)上記4、5、6を背景とした米長期金利の急上昇(米FRBによる金融引き締め長期観測→トルコから米国への資金流出圧力)、(8)トルコ政府による付加価値税(VAT)の2%引き上げ発表(インフレが更に押し上げられるとの警戒感)が重石となり、週末にかけて、史上最安値5.44円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/8午前2時30分現在)では、5.45円前後で推移しております。

来週の見通し(7/10−7/14)

トルコリラの対円相場は、国営銀行による介入観測が浮上したにも係わらず、史上最安値を更新しました。日足ローソク足が全てのテクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線など)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること、日足のみならず、4時間足などの下位足や、週足などの上位足でも強い売りシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)エルドアン大統領の手腕に対する不確実性(現在は経済政策・金融政策が正常化に向かうとの期待感が高まっているが、エルドアン氏が大統領の座に居座る限り、同氏が突如従来のような独裁的な経済政策・金融政策への転換を強いるリスクあり)や、(2)トルコ経済の先行き不透明感、(3)米FRBによる金融引き締め長期化観測(CMEが提供するFedWatchツールによると次回7/26FOMCでの25bp利上げの織り込み度合は92.4%へ急上昇→トルコから米国への資金流出圧力)、(4)資本規制の撤廃観測(リラ売りを抑制する目的で導入された数多くの資本規制が段階的に撤廃されるとの思惑→トルコリラが適正水準に向けてもう一段下げ足を速めるとの警戒感)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ5月雇用統計や、トルコ5月経常収支、トルコ5月鉱工業生産に注目が集まります。

来週の予想レンジ(TRYJPY):5.25ー5.65

注:ポイント要約は編集部

『国営銀行によるリラ買い介入でもリラ売り止まらず。史上最安値を一段と更新』

トルコリラ円日足

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