トルコリラ円見通し リラ安継続感と円高に圧されて3営業日続落
〇トルコリラ円、7/6は円高が進行したことに圧迫されて、午後安値5.48へ下落して6/27安値5.47に迫る
〇その後ドル円の反騰で5.56まで戻すも、深夜からドル円反落・対ドルでリラ安再開に圧され5.52へ下落
〇対ドル、7/6は午前に26.22を付けて取引時間中の最安値を更新、その後一時的なリラ買いがみられる
〇しかし7/7早朝の終値を26.08として、終値ベースでの最安値も更新
〇外貨準備高は増加続く、中銀が外貨準備を取り崩しての市場介入をやめたことで増加に転じる
〇5.56を下回るうちは下落継続の可能性を優先し、5.50割れからは5.47、5.45を順次試す下落を想定する
〇5.56超えからは、5.58前後への上昇を想定する
【概況】
トルコリラ円の7月6日は概ね5.57円から5.48円の取引レンジ、7日早朝の終値は5.52円で前日終値の5.55円からは0.03円の円高リラ安だった。
エルドアン大統領再選とトルコ中銀による利上げ幅を不服としたリラ暴落が一服し、トルコリラ円は6月27日午前安値で5.47円まで史上最安値を更新した後は下げ渋りの様相だったが、7月6日は日経平均の大幅下落やアジア株安によるリスク回避感から円高が進行したことに圧迫されて午後安値5.48円へ下落して6月27日安値に迫った。最安値更新をひとまず回避し、20時半のトルコ外貨準備高が前週から増加したことや6日夜の米ADP民間雇用者数が予想を大幅に超える増加となりドル円が反騰したために21時台後半に5.56円まで戻したものの、深夜からドル円が反落し、対ドルでリラ安が再開したことに圧されて5.52円へ下落した。
7月7日午前序盤はドル円の軟調さとドル高リラ安を見て5.50円を割り込んでおり、最安値更新への余裕が徐々に乏しくなっている印象だ。
ドル円は米長期債利回りの上昇による反発でも6日早朝高値に届かずに失速しており、6月30日に145.06円を付けて以降は戻り高値を切り下げて安値も切り下げる右肩下がりの展開となり、トルコリラ円への支えが鈍っている。日米金利差による円安感は継続しているものの株安によるリスク回避的な円高反応が目立っている側面もある。今夜の米雇用統計から一段高へ進む可能性もあるが、反騰しきれずに安値更新が続く場合は3月24日からの上昇一巡による下落期入りとしてトルコリラ円への圧迫感を強める可能性もあると注意したい。
【対ドルで取引時間中・終値ベースともに最安値を更新】
ドル/トルコリラの7月6日は概ね26.22リラから25.83リラの取引レンジ、7日早朝の終値は26.08リラで前日終値の26.07リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
5月28日の大統領選挙におけるエルドアン大統領再選と6月22日のトルコ中銀による利上げを不服として暴落商状を続けてきたが、6月28日に26.19リラへ取引時間中の史上最安値を更新した後は当面のリラ売り材料を消化したとして暴落商状が一服していた。
7月6日は午前に26.22リラを付けて取引時間中の最安値をいったん更新してから落ち着き、週次の外貨準備高の発表で前週に続いて純外貨準備高が増加したことで一時的なリラ買いがみられたものの、中長期的なリラ安継続感は変わらないとして早々に売られ、7日早朝の終値を26.08リラとして終値ベースでの最安値を更新した。
7月7日午前序盤も26.20リラ近辺の安値を付けており、最安値更新へ向かいやすい位置にある。
【純外貨準備高は増加続く】
7月6日夜に発表された週次の外貨準備高では、6月30日時点のグロスで671.6億ドルとなり6月23日時点の662.5億ドルから増加し、ネット(純外貨準備高)も6月23日の91.9億ドルから98.2億ドルへと増加した。
エルドアン大統領再選を挟んだリラ暴落の際にはトルコ中銀が外貨準備高を削って非公式市場介入を繰り返したために純外貨準備高は2002年以来となるマイナス勘定に転落し、6月2日時点では純外貨準備高はマイナス57億ドルにまで大幅減少したが、その後は中銀が市場介入をやめたことで増加に転じてきた。
トルコ中銀は新総裁体制に入ってから外貨準備を取り崩しての市場介入を行わず、リラ相場は市場原理にしたがうとの姿勢を強調し、財務相も今後は外貨準備高が増加期に入るとの見方を示していた。
外貨準備高が増加することはトルコにとってはプラスではあるが、これまで繰り返されてきた介入をやめるということはリラ安への歯止めもかけないということでもあり、純外貨準備高の増加だけではリラ安基調を止めることは難しく、市場が納得するレベルの大胆な追加利上げが必要と思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月4日夕刻安値からジリ高で持ち直していたため、7月5日午前時点では7月4日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとしていたが、7月5日夜に4日夕安値を割り込み6日早朝へ一段安したために、6日午前時点では底割れによる弱気サイクル入りとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定した。
7月6日午後へ続落してから6日夜にいったん戻し、再び下げているところのため、6日夜の反発時高値5.56円を超えないうちは一段安余地ありとみる。また直近のサイクルボトムを6日午後安値としてボトム形成期が延びる可能性も検討される。
ただし、6日夜高値を超える場合は6日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改めて7日の日中から11日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では7月6日夜の反発では先行スパンを突破しきれずに失速しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、6日夜の反発時高値を超える場合は反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月5日夜安値から6日午後安値への下落時に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられるものの、6日夜の上昇時には60ポイントに届かずに50ポイント割れへ失速しているため、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。ただし、60ポイントに到達する上昇がみられる場合は反騰継続として60ポイント台後半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.50円を下値支持線、5.56円を上値抵抗線とする。
(2)5.56円を下回るうちは下落継続の可能性を優先し、5.50円割れからは5.47円、5.45円を順次試す下落を想定する。5.45円以下は反騰警戒とするが、5.50円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.56円超えからは5.58円前後への上昇を想定する。5.58円以上は反落警戒とするが、5.56円を超えた後も5.54円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
【当面の主な予定】
7月07日
23:00 6月 財務省現金残 (5月 1698.2億リラ)
7月10日
16:00 5月 失業率 (4月 10.2%)
7月11日
16:00 5月 経常収支 (4月 -54.04億ドル)
7月12日
16:00 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.9%)
16:00 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 27.5%)
20:30 週次 外貨準備高 7/7時点 グロス (6/30時点 671.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 7/7時点 ネット (6/30時点 98.2億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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