対ドルでは7月6日午前に史上最安値更新、暴落商状一服も終了か
〇トルコリラ円、7/5は概ね5.57から5.52の取引レンジ
〇対ドル、7/6午前に取引時間中最安値26.21つける、リラ暴落の一服感解消で下落再開か
〇7/5発表の6月CPI(前月比)、リラ暴落や最低賃金の引上げを反映して顕著に上昇
〇6月のPPI(前月比)も大幅に加速、今後は消費者物価への反映も警戒
〇7/6米ISMサービス業景況指数、ADP民間雇用、7/7米雇用統計発表によるドル円の動向に注意
〇5.53を上回るうちは5.57超えから5.60を目指す上昇を想定
〇5.53割れからは5.49試しとし、5.49割れからは5.45前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の7月5日は概ね5.57円から5.52円の取引レンジ、6日早朝の終値は5.55円で前日終値の5.56円から0.01円の円高リラ安だった。
5月28日の大統領選挙でエルドアン氏が再選されたことをきっかけとしたリラ暴落により6月12日に5.84円へ史上最安値を更新し、トルコ中銀による大幅利上げ見通しにより暴落一服の持ち合いとしたところからトルコ中銀の利上げを不足として暴落再開に入り、6月27日午前には5.47円へ最安値を更新した。
6月27日安値以降は当面するリラ売りイベントの通過感で下げ渋り、一時的なリラ買いによる上昇場面も入れながらややジリ高の推移を続けてきたが、7月5日はドル/トルコリラが終値ベースでの史上最安値を更新したことで売り優勢の流れとなった。
7月6日午前序盤にはドル/トルコリラが取引時間中の史上最安値を更新したため、一時5.49円まで下落したものの、対ドルでのリラ売りが一時的だったことで早々に元の水準へ戻している。しかし、7月5日のトルコCPIが前年比で高止まりして前月比では顕著な上昇となったことにより、トルコ中銀に対して大幅な追加利上げを催促するリラ売りが再び勢い付き始める可能性があると思われる。
7月6日はトルコの週次外貨準備高の発表があり、外貨準備を取り崩して市場介入を繰り返してきた従来の中銀政策をやめたことで先週は大幅な準備高増となっているので、内容次第ではリラの買い戻し要因となる可能性がある。
ドル円との関連では今夜の米ISMサービス業景況指数とADP民間雇用、明日夜の米雇用統計と重要イベントが続くため、144円台を中心とした持ち合いから抜け出す可能性のあるところと注意したい。
【対ドルで終値ベースでの最安値を更新、6日午前には取引時間中の最安値も更新】
ドル/トルコリラの7月5日は26.12リラから25.76リラの取引レンジ、6日早朝の終値は26.07リラで前日終値の26.00リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
エルドアン大統領再選をきっかけに暴落商状に陥り、6月22日のトルコ中銀利上げ見通しから暴落商状が一服していたものの中銀の利上げが市場予想の21%への引き上げに対して15%までにとどまったことを不足として一段安となり、連日の史上最安値更新で6月28日に26.19リラへ取引時間中の史上最安値を更新した。その後は新たな安値更新を回避して目先のリラ売りイベントを通過したとして暴落商状が再び一服していたが、リラが買い戻されるところはすかさず売られて終値ベースでは6月28日と30日の終値26.05リラを史上最安値としてきた。
7月5日はトルコの6月CPIが前年比で高止まりとなり前月比で大幅な加速感を示したことでリラ売り優勢となり、取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値ベースでは26.07リラへと最安値を更新した。
7月6日午前には26.21リラを付けて6月28日の26.19リラを超えて取引時間中の最安値を更新しており、リラ暴落の一服感が解消して下落再開に入り始めた印象だ。
【トルコ6月CPI、前月比で顕著な上昇】
7月5日夕刻にトルコ統計局が発表した6月のCPI(消費者物価指数)は前月比3.92%上昇となり5月の0.04%から大幅に加速して今年1月の3.15%以来の伸び率となった。前年同月比は38.21%で5月の39.59%から若干鈍化した。
前年同月比の鈍化傾向は昨年10月の85.51%をピークとして続いているが、昨年10月にかけての激しいインフレ進行時との比較によるベース効果で鈍化しているものであり、水準自体は依然として異常に高水準となっている。前月比が大幅に加速したことは5月28日の大統領再選からのリラ暴落や最低賃金の引上げを反映したものと思われるが、リラ安基調が収まらずに世界全体のインフレが高止まりのままで推移するなら前年同月比も今後は再び上昇基調に転じてゆくのではないかと思われる。
CPIのコア指数では前月比が5月の4.2%から3.8%へ若干低下したが前年同月比は5月の46.6%から6月は47.3%へと伸びている。
6月のPPI(生産者物価指数)は前月比6.5%上昇となり5月の0.65%から大幅に加速したが、今年3月から5月までは1%以下にとどまっていたところからの急上昇であり、今後は消費者物価への反映も警戒される。
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【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月4日夕刻安値からジリ高で持ち直していたため、7月5日午前時点では7月4日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして6日午前から10日午前にかけての間への上昇を想定したが、7月4日夕安値を割り込むところからは新たな下落期入りとした。
7月5日夜への下落で4日夕安値を割り込み、6日早朝に一段安しているので底割れによる弱気サイクル入りと仮定して7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。
強気転換は5日午前高値5.57円超えからとし、その際は6日午前安値ないし直前安値をボトムとした強気サイクル入りと改めて6日の日中から10日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化が続いているが、6日午前安値からの反発で好転しやすい位置に来ている。遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、一時的に好転してもその後に悪化するところからは下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月5日夜安値から6日午前安値への下落時に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられるので反騰を継続しやすいところとみて60ポイント前後を目指す上昇を想定するが、再び40ポイントを割り込む場合は下落再開として20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.49円を下値支持線、5.57円を上値抵抗線とする。
(2)5.53円を上回るうちは5.57円超えから5.60円を目指す上昇を想定する。5.60円手前は反落注意とするが、5.53円を上回っての推移なら7日午前も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)5.53円割れからは5.49円試しとし、5.49円割れからは5.45円前後への下落を想定する。5.45円以下は反騰注意とするが、5.53円以下での推移なら7日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月6日
NATO加盟巡るスウェーデンとトルコのハイレベル会合(ブリュッセル)
20:30 週次 外貨準備高 6/30時点 グロス (6/23時点 662.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 6/30時点 ネット (6/23時点 91.9億ドル)
7月7日
23:00 6月 財務省現金残 (5月 1698.2億リラ)
7月10日
16:00 5月 失業率 (4月 10.2%)
7月11日
16:00 5月 経常収支 (4月 -54.04億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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