トルコリラ円見通し 暴落商状一服での持ち合い続く(23/7/5)

トルコリラ円の7月4日は概ね5.58円から5.53円の取引レンジ、5日早朝の終値は5.56円で前日終値の5.57円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 暴落商状一服での持ち合い続く(23/7/5)

暴落商状一服での持ち合い続く

〇トルコリラ円、7/4は概ね5.58から5.53の取引レンジ
〇対ドル、25リラ台中盤では再びリラ売り優勢となり、7/4は26リラ台へ失速、最安値更新への余裕乏しい
〇16時に6月トルコCPI発表予定、5月0.04%上昇から4.84%上昇へ事前予想は前月比大幅再加速の見込み
〇予想中央値を超える上昇率なら大幅な追加利上げ催促するリラ売りも
〇5.53を上回るうちは5.57超えから5.60目指す上昇を想定し、5.60手前は反落注意
〇5.53割れからは5.50前後への下落想定、5.50前後は買われやすく下げ足が早まれば下値目途は5.47前後

【概況】

トルコリラ円の7月4日は概ね5.58円から5.53円の取引レンジ、5日早朝の終値は5.56円で前日終値の5.57円からは0.01円の円高リラ安だった。
5月28日の大統領選挙でのエルドアン氏再選をきっかけに先行き不安からトルコリラは対ドル、対円で暴落商状に陥り、6月12日に5.84円まで史上最安値を更新した後はトルコ中銀による大幅利上げ観測から一時下げ渋っていたが、トルコ中銀が従来の8.5%から15%へ利上げしたものの市場予想平均の21%には遠く及ばなかったことによる失望で暴落的な下落が再開して6月27日午前には5.47円へ史上最安値を大幅に更新した。その後は利上げ幅を失望した売りが一巡し、暴落商状が一服に入ったことでややジリ高の推移で戻している。
先週末の7月1日早朝から週明けの3日午前にかけてはASKレートが一時5.70円を超える高値提示をしたことを反映して乱高下がみられたが、BIDレートではほとんど動いておらず、一時的な乱高下を除けば6月27日午前からのジリ高基調が続いているという状況だ。

7月4日は米国市場休場のために手がかりに欠け、ドル円はややジリ安の推移で4日早朝の144.75円から4日夜安値144.19円へ下げたが、5日午前は144.40円台を中心とした小動きにとどまっている。
トルコリラ円は7月3日夜の週次外貨準備高が大幅増加したことによる上昇が一巡して4日夕刻には5.53円まで下げたものの6月29日夜と30日夜に続き5.54円以下を買われて持ち直している。
今夕はトルコの6月CPIに注目があつまる。また明日未明にはFOMC議事録の公開があり内容次第ではドル円とともに大きく動く可能性があるところと注意したい。

【対ドルでの暴落商状は一服中】

ドル/トルコリラの7月4日は概ね26.08リラから25.66リラの取引レンジ、5日早朝の終値は26.00リラで前日終値の25.91リラからは0.09リラのドル高リラ安だった。
エルドアン大統領再選による先行き不安により暴落商状に陥り、6月22日のトルコ中銀利上げを不足として一段安へ進み、連日にわたって史上最安値を更新してきたが、6月28日に26.19リラへ取引時間中の史上最安値を更新した後は新たな安値更新を回避して暴落商状が一服している。しかし終値ベースでは6月28日と30日の終値26.05リラが史上最安値であり、7月3日はリラの買い戻しがみられたものの25リラ台中盤では再びリラ売り優勢となり、7月4日は26リラ台へ失速して最安値更新への余裕も乏しくなっている。

【今夕にトルコ6月CPIの発表】

7月5日16時に6月のトルコCPI(消費者物価指数)の発表がある。市場の事前予想では全体の前月比が5月の0.04%上昇から4.84%上昇へと伸びが大幅に再加速する見込みとされているが、予想レンジは2.50%から5.50%と幅広く、予想中央値を超える上昇率となる場合はトルコ中銀に対する大幅な追加利上げを催促するリラ売りのきっかけとなる可能性がある。
CPIの前年同月比に対する市場予想は5月の39.59%から39.47%へとわずかに鈍化する見込みとなっているものの依然として異常に高水準にとどまっている。予想レンジは36.30%から40.30%であり、前月比と合わせて予想以上の上昇率となる場合はリラ売り要因となりかねない。
トルコCPIの前年同月比は昨年10月に85.51%でピークを付けている。このため今年10月にかけては前年の加速期からの鈍化としてベース効果で低下傾向を示す可能性があるが、5月末からのリラ暴落による通貨インフレの再燃を踏まえると、10月まで持たずに7月以降に再加速となる可能性も考えられる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、7月4日夕刻安値からジリ高で持ち直しているため、7月4日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと仮定して6日午前から10日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし、7月4日夕安値を割り込むところからは新たな下落期入りとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月3日午前にかけての一時的乱高下を反映して先行スパンが切り上がっているために先行スパンからの転落状態にあり、遅行スパンは4日夕刻への下落時に悪化してからやや持ち直しつつある。7月4日夕安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、遅行スパンが再び好転するところからは上昇継続とみて高値試し優先とするが、7月4日夕安値割れからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月4日夕刻への下落時に40ポイントを割り込んでから50ポイント台到達まで持ち直している。45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、60ポイント台では戻り売りも出やすいと注意し、45ポイント割れからは下向きとして30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.53円を下値支持線、5.57円を上値抵抗線とする。
(2)5.53円を上回るうちは5.57円超えから5.60円を目指す上昇を想定する。5.60円手前は反落注意とするが、5.50円を上回っての推移なら6日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)5.53円割れからは5.50円前後への下落を想定する。5.50円前後では買われやすいとみるが、下げ足が早まる場合は5.47円前後へ下値目途を引き下げる。5.53円以下での推移なら6日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月5日
 16:00 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.04%、予想 4.84% 予想レンジ 2.50〜5.50%)
 16:00 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 39.59%、予想 39.47%、予想レンジ 36.30〜40.30%)
 16:00 6月 消費者物価コア指数 前月比 (5月 4.2%)
 16:00 6月 消費者物価コア指数 前年同月比 (5月 46.6%)
 16:00 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 0.65%)
 16:00 6月 生産者物価指数 前年同月比 (5月 40.76%)
7月06日
 NATO加盟巡るスウェーデンとトルコのハイレベル会合(ブリュッセル)
 20:30 週次 外貨準備高 6/30時点 グロス (6/23時点 662.5億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 6/30時点 ネット (6/23時点 91.9億ドル) 
7月07日
 23:00 6月 財務省現金残 (5月 1698.2億リラ)
7月10日
 16:00 5月 失業率 (4月 10.2%)
7月11日

注:ポイント要約は編集部

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