ドル円見通し 米国市場休場で小動き、144円台で様子見続く(23/7/5)

ドル円は4日夜は144.19円まで安値を切り下げたものの144円割れへのトライは見られず、5日朝にかけては144.40円台中心での小動きとなっている。

ドル円見通し 米国市場休場で小動き、144円台で様子見続く(23/7/5)

米国市場休場で小動き、144円台で様子見続く

〇ドル円、7/4夜は米国市場独立記念日休場のため手がかりに欠け7/5朝にかけ144.40円台中心での小動き
〇6/26以降の本邦要人の円安けん制発言のトーンは介入が近いと市場に意識させるレベルに至らず
〇昨年9月からの市場介入と同様の展開なら一時的な急落後の反騰狙いでバーゲンハントしたい市場心理も
〇本日夕刻に独欧英等サービス業PMI改定値やユーロ圏PPI、明日未明FOMC議事録発表予定
〇7/7米6月雇用統計と重要指標が続き145円を超えるか3/24安値からの上昇が仕切り直しになるか注視
〇144.91以下は一段安余地あり、144円前後は買われやすく143.98割れからは143円台中盤試しとみる
〇144.91を超える場合は高値試しへ向かいやすく145円台序盤を試す上昇を想定

【概況】

ドル円は7月3日夜の米6月ISM製造業景況指数が予想以上に悪化したことで直前高値144.91円から143.98円へ下落し、4日早朝に144.75円まで持ち直していたが、4日の日中はややジリ安の推移となり、4日夜は米国市場が独立記念日休場となったために手がかりに欠ける中で144.19円まで安値を切り下げたものの144円割れへのトライは見られず、5日朝にかけては144.40円台中心での小動きとなっている。
先週末の6月30日午前高値で145.06円を付けて昨年11月以来の145円台到達となったが、昨年9月22日の市場介入水準である145円台に到達したためにその後は上値が重くなっている。しかし、昨年9月の介入では急落したところを買われて10月21日高値151.94円へ一段高した経緯もあり、昨年9月と同様の展開なら突っ込んだところをバーゲンハント買いしたいとの市場心理も見られる。

7月5日は日中に財新サービス業景況指数、夕刻に独欧英等のサービス業PMI改定値やユーロ圏PPI、明日未明にはFOMC議事録がある。7月6日にはISMサービス業景況指数やADP民間雇用者数、JOLTS求人件数、7日には米6月雇用統計と重要指標が続いてゆく。それらを通過して145円を超えて上昇感を示し当局の市場介入姿勢を試すか、3月24日安値を起点とした上昇がいったん仕切り直しに入るのか、試されてゆくこととなる。

【市場介入への警戒感とバーゲンハント買い】

7月4日午前に鈴木財務相は閣議後の会見で「為替の問題も含めて、財務官レベルで米国と緊密な意思疎通を図っている」と述べたが、「非常に高い緊張感を持って(為替)市場の動きを注視している」などと述べた6月30日の会見内容から付け加えることはないとした。
6月26日から神田財務官、鈴木財務相、松野官房長官らによる円安けん制的な発言がみられるが、先週のECBフォーラムにおいて植田日銀総裁は「円安は米英欧の利上げが原因」等と述べて円安進行に対する危機感を強くは示さず、金融緩和政策継続への正当性を述べており、まだ市場介入が迫っている印象には至らない。
昨年は9月22日と10月21日、10月24日に政府・日銀が大規模な円買い介入を実施したが、介入に至るプロセスとしては、財務省系の円安けん制発言、日銀と金融庁および財務省による三者会談の開催、金融機関への公然としたレートチェック、その上で突如円買い介入を実施している。

現状は三者会談が開かれたもののそこでは円安へのけん制ではなく米銀破綻をきっかけとした信用不安問題について議論されたとして介入への警戒感をさほど強めなかった。
6月26日以降の要人発言も、円安けん制のトーンはまだ穏やかで、そろそろ介入が近いと強く市場に意識させるレベルには至っていない印象だ。
昨年9月22日の市場介入規模は2兆8382億円、32年ぶりの円買い単独介入だったが、9月22日は高値145.89円から安値140.36円へ5円を超える急落後に反騰に転じ、10月21日高値151.94円へ一段高している。10月21日には5兆6202億円とさらに大規模な介入を実施したことで介入姿勢の強烈さを認識させたために当日高値151.94円から安値146.18円まで5円を超える急落となり、10月24日にも7296億円の追加介入を行ったが、介入による下落が落ち着くと145円前後で下げ渋りを暫く続けた。

ドル円が急落に転じたのは11月10日の米CPIが予想外に鈍化したことによる「逆CPIショック」からだったことを踏まえると、市場介入では一時的な急落(円高)が発生しても決め手にはならなかったという見方もでき、米国の金融政策姿勢とそれを反映した米長期債利回り動向がドル円の方向を決めたという印象だ。このため現状から円買い介入が行われても、市場は急落後の反騰狙いで買いに入り、年初からの上昇基調が崩れるためには米国の金融政策姿勢がハト派へ風向きを大きく変えるか、その前提となる逆CPIショック型のインフレ低下が必要だと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は7月3日の上昇では6月30日高値145.06円に届かず、3日深夜の下落で143.98円を付けて30日深夜安値144.20円を割り込んだ。その後の戻り高値も切り下がっており、6月30日まで続いてきた底上げをして高値を切り上げてきた流れから、戻り高値を切り下げて安値も切り下げる右肩下がりの展開に傾斜しつつある。
今のところは7月3日夜安値割れを回避しているので144円台を中心とした持ち合い範囲での推移であり持ち合い上放れへ向かう可能性も十分にあるところと思われるが、7月3日夜安値を割り込む場合は7月3日夜急落前の高値を起点とした下落期として5日夜から8日早朝にかけての間への下落を想定する。強気転換は7月3日夜高値144.91円超えからとし、その際は6日夜から10日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では144円台を中心とした持ち合いのために遅行スパンおよび先行スパンは実線と交錯しており方向感に欠ける。7月3日夜高値超えからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とし、3日深夜安値割れからは下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月4日夜の40ポイント割れは買われたが50ポイント台到達で売られて上値が重くなっている。55ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイントに迫る上昇を想定するが、次に40ポイントを割り込む場合は下落継続とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月3日深夜安値143.98円を下値支持線、7月3日夜高値144.91円を上値抵抗線とし、5日の日中はこの高安レンジ内での持ち合いとみる。
(2)144.91円を超えないうちは一段安余地ありとするが、144円前後では買われやすいとみる。ただし3日夜安値143.98円割れからは143円台中盤(143.70円から143.30円)を試し、6日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)144.91円超えからは145円台序盤を試す上昇を想定する。145円到達では介入警戒感もあるためまだ売られやすいところと注意するが、勢い付く場合は145.20円台から145.50円手前までの水準を試す可能性もあるとみる。144.91円を超える場合は6日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/5(水)
10:45 (中) 6月 財新サービス業PMI (5月 57.1、予想 56.2)
16:55 (独) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 54.1、予想 54.1)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 52.4、予想 52.4)
17:30 (英) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 53.7、予想 53.7)
18:00 (欧) 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 -3.2%、予想 -1.8%)
18:00 (欧) 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 1.0%、予想 -1.3%)
23:00 (米) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 0.4%、予想 0.8%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

7/6(木)
10:30 (豪) 5月 貿易収支 (4月 111.58億豪ドル、予想 107.00億豪ドル)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -0.4%、予想 1.2%)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前年同月比 (4月 -9.9%、予想 -9.3%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.0%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 -2.6%、予想 -2.7%)

21:15 (米) 6月 ADP民間非農業部門就業者数 前月比 (5月 27.8万人、予想 24.0万人)
21:30 (米) 5月 貿易収支 (4月 -746億ドル、予想 -690億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.9万件、予想 24.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 174.2万人、予想 174.0万人)
21:45 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、パネル討論会
22:45 (米) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 54.1、予想 54.1)
23:00 (米) 6月 ISM非製造業景況指数 (5月 50.3、予想 51.3)
23:00 (米) 5月 雇用動態調査(JOLTS)求人件数 (4月 1010.3万件、予想 996.8万件)
24:00 (米) EIA週間石油在庫統計


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