トルコリラ週報:『トルコ中銀による資本規制撤廃表明で史上最安値を大幅に更新』(7/1朝)

トルコリラの対円相場は、一時5.46円まで急落するなど、史上最安値を更新しました。

トルコリラ週報:『トルコ中銀による資本規制撤廃表明で史上最安値を大幅に更新』(7/1朝)

『トルコ中銀による資本規制撤廃表明で史上最安値を大幅に更新』

〇トルコ円、中銀による為替防衛策の資本規制緩和、連休前のリラ売りに27日に史上最安値5.46まで急落
〇全てのテクニカルポイントの下側で推移、強い売りシグナルも全て成立し、地合いは極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコリラ円相場の下落を連想させる材料揃う
〇引き続き、トルコリラ円相場の続落を来週のメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.25ー5.85

今週のレビュー(6/26−6/30)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.68円で寄り付いた後、早々に週間高値5.72円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)エルドアン大統領によるプーチン露大統領の全面支持表明や、(2)トルコ中銀による資本規制の撤廃表明(トルコ中銀は国内の証券維持規制の簡素化を発表→具体的には<A>国内銀行が義務付けられている外貨預金の割り当てに関する証券維持率を従来の10%から5%へ規制緩和、<B>国内銀行が維持しなければならない有価証券の額を従来までのリラ預金の3ー17%から3ー12%に規制緩和、<C>追加で7%ポイントの有価証券を保有する必要がある銀行の条件を従来までの預金総額に占めるリラ預金の割合が60%未満の銀行から57%未満の銀行に規制緩和)、

(3)上記2を背景としたトルコ政府・中銀によるリラ売り抑制スタンス停止の思惑(完全な自由変動相場制への移行→トルコリラが適正水準に向けて下落するとの警戒感)、(4)トルコ祝日(犠牲祭:6/28ー7/1)を控えたリラ売り圧力が重石となり、翌6/27にかけて、史上最安値5.46円まで急落しました。もっとも、その後はトルコ祝日で市場参加者に欠ける中、動意に乏しく、本稿執筆時点(日本時間7/1午前3時30分現在)では、5.54円前後で推移しております。

来週の見通し(7/3−7/7)

トルコリラの対円相場は、一時5.46円まで急落するなど、史上最安値を更新しました。日足ローソク足が全てのテクニカルポイントの下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」の全てが成立していること、日足のみならず、4時間足や週足でも強い売りシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)エルドアン大統領再選に伴う失望感(同氏が将来的に再び独裁的な経済政策・金融政策を強いるリスク)や、(2)トルコ中銀による前週の期待外れの利上げ幅(1250bpの利上げ予想に対して、結果は650bpの利上げ実施→エルドアン大統領の支配から完全には脱却できていないとの失望感が浮上)、(3)トルコ政府・トルコ中銀による自由変動相場制への転換リスク(トルコ中銀は今週、複数の資本規制の撤廃を表明→これまで市場のトルコリラ売り圧力を抑制する目的で使われてきた為替介入や資本規制が完全に撤廃されるとの思惑→トルコリラが適正水準に向けてもう一段値崩れを起こすとの警戒感)、(4)トルコ経済の先行き不透明感、(5)米FRBによる金融引き締め長期化観測(パウエルFRB議長はタカ派的な見解を改めて強調→米金利上昇・米ドル買いの流れが活発化→トルコから米国への資本流出圧力)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落を来週のメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ6月製造業PMIや、トルコ6月CPI、トルコ6月PPIに注目が集まります。

来週の予想レンジ(TRYJPY):5.25ー5.85

注:ポイント要約は編集部

『トルコ中銀による資本規制撤廃表明で史上最安値を大幅に更新』

トルコ円日足

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