南アランド週報:『約2週間ぶり安値圏へ下落。冴えないファンダメンタルズがランドの重石に』(7/1朝)

南アフリカランドの対円相場は、6/19に記録した直近高値7.82円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約2週間ぶり安値となる7.59円まで急落しました。

南アランド週報:『約2週間ぶり安値圏へ下落。冴えないファンダメンタルズがランドの重石に』(7/1朝)

『約2週間ぶり安値圏へ下落。冴えないファンダメンタルズがランドの重石に』

〇今週の南ア円、週初7.80まで上昇後、週末にかけ一時7.59まで下落
〇南ア経済指標の不冴え、米金利上昇からのドル高等が南ア円の重石に
〇テクニカルには、転換線を下抜け、ダブルトップのネックライン割れも実現地合い悪化
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃う
〇引き続き、南アランド円相場の続落を来週のメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.80

今週のレビュー(6/26−6/30)

今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.65円で寄り付いた後、(1)ロシア情勢の緊迫化(ロシアの民間軍事会社ワグネルによる反乱)が僅か1日で終息したことに伴う安堵感や、(2)国営電力会社エスコムによる「今週の停電は比較的緩やかな水準になる」との楽観発表、(3)中国経済のポジティブ見通し(李強中国首相は「第2四半期の経済成長は第1四半期を上回る見通し」と発言→中国と経済的な結びつきの強い南アフリカにとってポジション要因)、(4)南アフリカ株の堅調推移が支援材料となり、翌6/27にかけて、週間高値7.80円まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)南ア1ー3月期非農業部門雇用者数(結果▲0.2%、前回+0.5%、※前期比)の冴えない結果や、(6)パウエルFRB議長によるECBフォーラムでのタカ派的な発言、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米利上げ観測再燃→米金利上昇→対主要通貨で米ドル急騰→南アフリカから米国への資金流出圧力)、(8)南ア1ー3月期BER消費者信頼感指数(結果▲25、前回▲23)の冴えない結果、

(9)南ア5月生産者物価指数(結果+7.3%、予想+7.5%、※前年比)の市場予想を下回る結果、(10)南ア中銀・四半期報告で第1四半期の海外からの直接投資額が前期の640億ランドを大幅に下回る5億ランドに留まったこと等が重石となり、週末にかけて、週間安値7.59円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/1午前3時15分現在)では、7.67円前後で推移しております。

来週の見通し(7/3−7/7)

南アフリカランドの対円相場は、6/19に記録した直近高値7.82円(本年1/12以来、約5ヵ月半ぶり高値圏)をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約2週間ぶり安値となる7.59円まで急落しました。日足ローソク足が一目均衡表転換線の下抜けに成功すると共に、ダブルトップのネックライン割れも実現したため、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(市場参加者に意識されている200日移動平均線の下抜けに成功できれば、地合いが一段と悪化する恐れあり)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(電力不足に伴う南アフリカ経済の下振れ懸念)や、(2)南アフリカとロシアの急接近を引き金とした対米関係の悪化懸念、(3)米FRBによる金融引き締め長期化観測(パウエルFRB議長によるタカ派的な発言→米長期金利上昇→対主要通貨での米ドル急伸→新興国から米国への資金流出懸念)、(4)南ア中銀による金融引き締め打ち止め観測(先日発表された南アCPIは2022年4月以来の低水準→南ア中銀は11会合ぶりに政策金利を据え置く見通し)、(5)金・プラチナ価格の冴えない動き(南アフリカの交易条件悪化懸念)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落を来週のメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.80

注:ポイント要約は編集部

『約2週間ぶり安値圏へ下落。冴えないファンダメンタルズがランドの重石に』

南アランド円日足

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