トルコリラ円見通し リラ暴落は小康状態、円安継続でややジリ高の推移(23/6/30)

トルコリラ円の6月29日は概ね5.57円から5.53円の取引レンジ、30日早朝の終値は5.56円で前日終値の5.54円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し リラ暴落は小康状態、円安継続でややジリ高の推移(23/6/30)

リラ暴落は小康状態、円安継続でややジリ高の推移

〇6/30までトルコ市場休場の中、連日のドル円高値更新による円安サポートに、トルコ円は安値更新回避
〇対ドル、暴落商状もやや一服して小康状態だが、1ドル26リラ台で推移し最安値近辺にとどまる
〇7/5(水)トルコ6月CPI発表予定、市場は全体前月比5月0.04%上昇から4.84%上昇へと伸び再加速を予想
〇新財務相や中銀総裁らによる経済改革や金融政策正常化への手腕に注目集る中、リラ売り攻勢再開警戒
〇5.58を超える場合は5.60前後への上昇とその後の反落警戒とする
〇5.53割れからは5.50試しを想定、5.50前後は買い戻しも入りやすい
〇5.50割れから続落に入る場合は5.48、5.46を順次試して行くと見る

【概況】

トルコリラ円の6月29日は概ね5.57円から5.53円の取引レンジ、30日早朝の終値は5.56円で前日終値の5.54円からは0.02円の円安リラ高だった。
6月28日から30日までトルコ市場は休場のためトルコ発の新たな材料には欠けるところだが、6月22日のトルコ中銀による政策金利の8.5%から15%への利上げを不満としたリラの暴落商状がやや落ち着いており、ドル円が年初来高値を連日更新していることによる円安の支えもあり、トルコリラ円は6月27日安値で5.47円まで史上最安値を更新した後は新たな安値更新を回避している。
6月27日午後に5.62円まで戻してから28日午前安値5.48円まで下げた後はややジリ高の推移となり、29日の日中はドル/トルコリラが膠着状態での推移となったためにドル円の上昇を見ながら5.57円まで持ち直している。

しかしあくまでも暴落一服であり、リラの反騰入りへ向けた手がかりに欠ける状況が続いており、対ドルでの小康状態が続くうちはトルコリラ円はドル円を見ながらの展開で推移するとしても、リラ暴落が再開するようだと円安では支えられずに史上最安値更新へ向かいかねないと注意する。

【対ドルでの史上最安値更新は一服】

ドル/トルコリラの6月29日は概ね26.08リラから26.00リラの取引レンジ、30日早朝の終値は26.02リラで前日終値の26.05リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
エルドアン大統領再選によるトルコ経済及び金融政策への不安感からトルコリラは暴落商状に陥り、1ドル20リラ、21リラ、22リラ、23リラ台へと暴落的な下落で史上最安値を更新し続け、6月22日のトルコ中銀による大幅利上げ予想からいったん暴落商状が落ち着いていたものの、トルコ中銀による利上げが15.0%への引き上げにとどまり市場予想の21%を大きく下回ったことが失望されて1ドル24リラを超え、23日には1ドル25リラ台へ進み、週明けの26日には1ドル26リラ台へと史上最安値を更新してきた。
6月29日はトルコ市場休場となり、手がかりに欠けて暴落商状もやや一服して小康状態となったが、1ドル26リラ台で推移して最安値近辺にとどまっている。
取引時間中の史上最安値は6月28日の26.19リラ、終値べースでも28日終値26.05リラが最安値となっている。

【来週のトルコCPIに注目集まる】

トルコ市場は30日まで休場で主要な発表がないが、来週は7月5日に6月のトルコCPI(消費者物価指数)の発表がある。市場の事前予想では全体の前月比が5月の0.04%上昇から4.84%上昇へと伸びが大幅に再加速し、前年同月比は5月の39.59%から39.47%へとわずかに鈍化する程度で高止まりするとみられている。
5月28日のエルドアン大統領再選を挟んでリラの暴落商状が進んだため、通貨暴落によるインフレ率の上昇は避けられないところであり、昨年のインフレ加速期との比較によるベース効果で前年同月比に鈍化がみられても前月比が上昇すればインフレ進行感が一段と強まりかねないと思われる。
エルドアン大統領による新閣僚として起用された財務相やトルコ中銀総裁らによる経済改革や金融政策の正常化がどの程度の決意と実行力を伴って行われてゆくのかにトルコ経済の命運もかかってくるが、トルコ中銀が外貨準備高を取り崩してのリラ防衛を放棄して為替水準は市場の決定によるものとしたことがかえってリラ売りの連鎖を招いた側面もあり、連休明けの来週は再びリラ売り攻勢がかかりやすいのではないかと警戒される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月28日午前安値を起点としたジリ高推移が続いているため30日夜から7月3日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、5.53円割れからは下落再開を疑い、5.50円割れからは弱気サイクル入りとして7月3日午前から5日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月28日午前からの上昇により遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は29日夜に60ポイント台到達まで上昇したが、その後はやや下げている。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、相場が高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント割れを試す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.53円を下値支持線、5.58円を上値抵抗線とする。
(2)5.58円手前にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。5.58円を超える場合は5.60円前後への上昇とその後の反落警戒とする。
(3)5.53円割れからは5.50円試しを想定する。5.50円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、5.53円以下での推移なら週明けも安値試しへ進みやすいとみる。また5.50円割れから続落に入る場合は5.48円、5.46円を順次試して行くのではないかと考える。

【当面の主な予定】

6月28日から30日までは犠牲祭でトルコ市場は休場
7月3日
 16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 51.5)
7月5日
 16:00 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.04%、予想 4.84% 予想レンジ 2.50〜5.00%)
 16:00 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 39.59%、予想 39.47%、予想レンジ 36.3〜40.30%)
 16:00 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 0.65%)
 16:00 6月 生産者物価指数 前年同月比 (5月 40.76%)
7月6日
 20:30 週次 外貨準備高 6/30時点 グロス (6/23時点予想 607.8億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 6/30時点 ネット (6/23時点予想 4.7億ドル) 
7月7日
 23:00 6月 財務省現金残 (5月 1698.2億リラ)
7月10日
 16:00 5月 失業率 (4月 10.2%)
7月11日
 16:00 5月 経常収支 (4月 -54.04億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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