トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値更新続くもドル円の上昇に支えられて下げ渋る(23/6/28)

トルコリラ円の6月27日は概ね5.62円から5.47円の取引レンジ、28日早朝の終値は5.53円で前日終値の5.54円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値更新続くもドル円の上昇に支えられて下げ渋る(23/6/28)

対ドルでの史上最安値更新続くもドル円の上昇に支えられて下げ渋る

〇トルコ円、6/27日午前序盤5.47と取引時間中最安値を更新
〇午後に5.62まで戻すが勢いは続かず、6/28早朝にかけて5.50-5.55のレンジで小動き
〇対ドル、6/27も取引時間中および終値ベースでの史上最安値更新、1ドル26リラに到達
〇先週の統計で外貨準備高はプラスへ、中銀の市場介入停止を示すも、リラ水準は市場に決定権
〇追加利上げ姿勢を強くし実質マイナス金利からの脱却目標を示さない限り市場の評価は得るのは困難
〇5.57-5.62手前にかけては戻り売りに掴まり易いが、5.62超えは5.65前後への上昇とその後の反落警戒
〇5.46割れからは5.40、5.35を順次試す可能性あり、直前安値から0.10円を超える反騰はリバウンド注意

【概況】

トルコリラ円の6月27日は概ね5.62円から5.47円の取引レンジ、28日早朝の終値は5.53円で前日終値の5.54円からは0.01円の円高リラ安だった。
5月28日のトルコ大統領選挙決選投票によるエルドアン大統領再選を挟んだリラ暴落が6月22日のトルコ中銀による大幅利上げ期待で一服していたものの、中銀の利上げが予想を大幅に下回る水準にとどまったことによる失望で22日安値5.74円へ急落し、23日夕刻に5.49円(ベンダーによっては5.44円等)へ史上最安値を更新した。6月26日は5.49円までの同値安値にとどまったものの終値ベースで史上最安値を更新していたが、27日は午前序盤に5.47円へ取引時間中の最安値を更新し、午後に5.62円まで戻す場面もあったものの勢いは続かずに28日早朝にかけては5.50円から5.55円までのレンジで小動きとなった。

ドル円が144円に到達するところまで円安ドル高の推移を続けており、27日夜の米経済指標が総じて市場予想を上回ったことで28日深夜に144.16円を付けて年初来高値としたことはトルコリラ円の支えとなっているものの、対ドルや対ユーロ等でのリラ安が落ち着かないことには値頃感も持てない印象だ。
ドル円については神田財務官や鈴木財務相等の円安けん制発言があり、昨年9月と10月の市場介入を思い起こさせる水準に来ていることに注意がいるため、当面は円安継続とみるものの今後はリラ安と円高が重なるケースもあり得ると注意したい。

【対ドルでは終値で1ドル26リラに到達、リラ売り収まらず】

ドル/トルコリラの6月27日は概ねリ26.17ラから25.54リラの取引レンジ、28日早朝の終値は26.00リラで前日終値の25.91リラからは0.09リラのドル高リラ安だった。
5月28日のトルコ大統領選挙決選投票でのエルドアン大統領再選により、投票前の5月26日終値19.93リラから連日のリラ安により6月5日には1ドル21リラを超え、6月7日には当日の高安レンジで21.57リラから23.31リラへ暴落し、6月13日に23.77リラへ史上最安値を大幅に更新した後は6月22日のトルコ中銀による大幅利上げ期待で暴落商状が落ち着いていたが、中銀の利上げが予想を大幅に下回ったことで失望売りとなり6月22日に24.90リラ、23日夜には25.74リラ、26日には26.05リラへと最安値更新を続け、27日も取引時間中および終値ベースでの史上最安値更新となった。
当面は最安値を試し続ける状況と思われる。
6月28日から30日までは犠牲祭でトルコ市場は休場となる。

【トルコ中銀は市場介入せず、リラ水準は市場に決定権】

ハフィゼ・ガイ・エルカン氏がトルコ中銀の新総裁に就任し、6月22日には政策金利の週間レポレートをそれまでの8.50%から15.00%へと大幅に引き上げた。またインフレ抑制のために追加利上げを行う姿勢を示すとともに、為替市場における外貨準備高を取り崩して市場介入することをやめるとした。
利上げについては市場の事前予想が21%への大幅利上げだったこともあり失望反応となり、エルドアン大統領の利上げに対する許容範囲が依然として低い印象を与えたため、今後の追加利上げ姿勢をかなり強烈に示して実質マイナス金利から脱却するような目標を示さないと市場の評価を得られないのではないかと思われる。
外貨準備高においては純外貨準備高が一時はマイナス57億ドルとなっていたが、先週の統計ではプラスに転じており、市場関係者の話も踏まえて中銀の市場介入が停止していることが確認されている。しかし市場介入をひたすら繰り返してきたことを踏まえれば、今後は中銀の許容限界を試すように史上最安値を試してゆく可能性も懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月23日夕刻へ大幅下落してからいったん戻したため、26日午前時時点では23日夕安値で直近のサイクルボトムを付けたとし、5.60円割れからは新たな弱気サイクル入りとしていたが、6月26日に23日夕安値と同値へ下げ、27日午前序盤には底割れしたために27日午前時点では6月23日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして28日午後から30日夕にかけての間への下落を想定した。
27日午後に5.62円まで戻してから反落したためまだ一段安余地ありとみる。強気転換には5.70円に迫る反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落が続いてきたが、5.50円以下で買われて下げ渋りがみられるために遅行スパンは実線と交錯に入っている。
先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、強気転換には先行スパンを上抜く反騰が必要と考える。

60分足の相対力指数は6月27日午後に60ポイントへ迫った後は50ポイントを挟んだ揉み合いの様相となっている。急落角度が減速していることを反映して指数のボトムは切り上がっているが、相場は下げ渋り程度のため、次に40ポイントを割り込むところからは下げ再開を疑い、6月27日午前安値割れからは20ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.46円を下値支持線、5.62円を上値抵抗線とする。
(2)5.57円から5.62円手前にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。5.62円を超える場合は5.65円前後への上昇とその後の反落警戒とする。
(3)5.46円割れからは5.40円、5.35円を順次試す可能性があるとみる。直前安値から0.10円を超える反騰の場合はリバウンド入りの可能性に注意するが、その後に戻り幅の半値を削るところからは下げ再開とし、しばらくは安値模索が続くとみる。

【当面の主な予定】

6月28日から30日までは犠牲祭でトルコ市場は休場

7月03日
 16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 51.5)
 16:00 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.04%、予想 4.84% 予想レンジ 2.50〜5.00%)
 16:00 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 39.59%、予想 39.47%、予想レンジ 36.3〜40.30%)
 16:00 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 0.65%)
 16:00 6月 生産者物価指数 前年同月比 (5月 40.76%)
7月06日
 20:30 週次 外貨準備高 6/23時点 グロス (6/16時点 607.8億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 6/23時点 ネット (6/16時点 4.7億ドル) 
7月07日
 23:00 6月 財務省現金残 (5月 1698.2億リラ)
7月10日
 16:00 5月 失業率 (4月 10.2%)
7月11日
 16:00 5月 経常収支 (4月 -54.04億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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