『約5ヵ月半ぶり高値圏から急反落。米長期金利上昇の流れがランドの重石に』
〇今週の南ア円、週明け早々週間高値7.82まで上昇後、週末にかけ一時7.63まで急落
〇急ピッチの上げへの反動、南ア指標悪化、金・プラチナ価格の下落が背景
〇短期足で主要テクニカルポイントを下抜け始めるなど、約3週間に亘って続いた堅調相場に終焉の兆し
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場の下落を連想させる材料揃う
〇南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.80
今週のレビュー(6/19−6/23)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.79円で寄り付いた後、早々に週間高値7.82円(本年1/12以来、約5ヵ月半ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)急ピッチな上昇に対する反動売り(6/2から6/19まで12営業日連続陽線)や、(2)南ア5月景気先行指数(結果110.3、前月111.5)の冴えない結果、(3)南ア5月消費者物価指数(結果+6.3%、予想+6.5%、前回+6.8%)の伸び率鈍化、(4)上記3を背景とした南ア中銀による追加利上げ観測の後退、(5)パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言でのタカ派的な発言(米金利上昇・米ドル高→南アフリカからの資金流出圧力)、(6)金・プラチナ価格の大幅下落(南アフリカの交易条件悪化懸念)、(7)南ア株の冴えない動き(リスク回避ムード)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.63円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/24午前3時00分現在)では、7.66円前後で推移しております。
来週の見通し(6/26−6/30)
南アランドの対円相場は、6/1に記録した安値7.01円をボトムに反発に転じると、6/19に一時7.82円(本年1/12以来、約5ヵ月半ぶり高値圏)まで急伸しましたが、急ピッチな上昇(6/2から6/19まで12営業日連続陽線)の反動もあって続伸を阻まれると、翌6/20以降は、軟調推移に転じました。日足ベースでは、依然として強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が成立しているものの、4時間足ベースや1時間足ベースでは、主要テクニカルポイントを下抜け始めるなど、約3週間に亘って続いた堅調相場に終焉の兆しが見えつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(計画停電長期化に伴う南アフリカ経済の下振れ懸念→今週発表された南ア5月景気先行指数は冴えない結果)や、(2)南アフリカと米国との関係悪化懸念(南アフリカとロシアの急接近を受けて対米関係が今後更に悪化する恐れあり)、(3)米FRBによる金融引き締め長期化観測(ドットチャートで示された通り、パウエルFRB議長は年内2回の利上げを示唆)、
(4)上記3を背景とした米長期金利の急上昇(米金利上昇・米ドル買いの流れが、南アフリカから米国への資金流出を想起)、(5)南ア中銀による金融引き締め打ち止め観測(今週発表された南アCPIは2022年4月以来の低水準。南ア中銀はこれまで10会合連続で利上げを続けてきたが、CPI鈍化を受けて次回会合で政策金利を据え置くとの見方が浮上)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落(上昇トレンドの終焉→下落トレンドの本格再開)をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は6/29に予定されている南ア4ー6月期BER消費者信頼感指数や、南ア5月生産者物価指数、6/30に予定されている南5月貿易収支などに注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.80
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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