『史上最安値を大幅更新。トルコ中銀の利上げ幅が期待に届かず失望売り』
〇今週のトルコ円、トルコ中銀による大幅利上げ期待等に週央にかけて、週間高値6.08まで上昇
〇トルコ中銀、650bp(8.50%→15.00%)の政策金利引き上げ、市場予想1250bpに届かず
〇シムシェキ財務相による「市場経済、自由な為替制度政策を実施する」との発言も売り材料に
〇これらを受けて週末にかけて、週間安値5.49円(史上最安値)まで急落
〇トルコ円、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ経済の先行き不透明感強く、為替介入や資本規制撤廃の思惑も重石
〇引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.20ー5.90
今週のレビュー(6/19−6/23)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.01円で寄り付いた後、(1)急ピッチな下落に対する反動買いや、(2)トルコ中銀による大幅利上げ期待、(3)シムシェキ財務相による「より標準的な政策へ段階的に移行する方針」との発言、(4)格付け会社ムーディーズによる「トルコが伝統的で予測可能な経済政策にシフトしたことが証明されれば、同国の信用力にとって明確にポジティブ」との楽観発言、(5)トルコ6月景気動向指数(結果105.7、前回105.1)の良好な結果が支援材料となり、週央にかけて、週間高値6.08円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)トルコ中銀による政策金利引き上げ幅が市場予想の1250bp(8.50%→21.00%)に届かず、650bp(8.50%→15.00%)に留まったことや、(7)上記6を嫌気した短期筋の失望売り(エルドアン大統領支配からの完全脱却が期待されたが、エルカン新総裁の利上げ幅が限定的となったことで失望売りが活発化)、(8)シムシェキ財務相による「市場経済、自由な為替制度政策を実施する」との発言(トルコ政府・中銀が、リラ売りを抑制するための手段である為替介入や資本規制を完全に止めるのではないかとの思惑が浮上→トルコリラが適正水準まで売り込まれるとの見方が拡大)、(9)トルコ6月経済信頼感指数(結果101.1、前回103.7)の冴えない結果が重石となり、週末にかけて、週間安値5.49円(史上最安値)まで急落しました。引けにかけて反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/24午前3時00分現在)では、5.69円前後で推移しております。
来週の見通し(6/26−6/30)
トルコリラの対円相場は、5/26に記録した高値7.06円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値5.49円まで急落しました。日足ローソク足が主要サポートポイントを全て下抜けしたことや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」の全てが成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)エルドアン大統領再選に伴う失望感や、(2)トルコ中銀による期待外れの利上げ幅(1250bp利上げの予想に対して、結果は650bp→エルドアン支配から脱却できなかったとの見方が拡大→失望売りを誘発)、
(3)トルコ政府・トルコ中銀による自由為替制度政策への転換リスク(これまでトルコリラ売りの抑止に使われてきた為替介入や資本規制が撤廃されるとの思惑→トルコリラが適正価格に向けてもう一段値崩れするとの警戒感)、(4)トルコ経済の先行き不透明感、(5)米FRBによる追加利上げ観測(パウエルFRB議長は年内2回の追加利上げを示唆→米金利上昇・米ドル買い→トルコから米国への資本流出リスク)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.20ー5.90
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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