『停電改善期待の高まりを背景に約5ヵ月ぶり高値圏へと急上昇』
〇今週の南ア円、週初7.43まで軟化後、週末にかけ7.79まで急伸、そのまま高値圏での推移
〇停電改善期待の高まり、円安進行、南ア株の堅調等がサポート
〇主要テクニカルポイント上抜け、強い買いシグナルも成立、テクニカルの地合い極めて強い
〇但し、ファンダメンタルズは南ア経済の先行き不透明感、対米関係悪化等悪材料多い
〇南アランド円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.90
今週のレビュー(6/12−6/16)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.44円で寄り付いた後、早々に週間安値7.43円まで軟化しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)南アフリカのラモクゴパ電力相による「南アフリカの深刻な電力危機を終結させるため、中国に支援を要請する」との方針発表(中国に対して、太陽光パネル、風力タービン、バッテリーストレージなどの機器や再生可能エネルギー技術の提供を求める方針を発表)や、(2)上記1を背景とした停電改善期待の高まり、(3)対主要通貨での円売り圧力(ドル円・クロス円上昇→南アランド円連れ高)、(4)南ア株の堅調推移、(5)市場参加者に意識されていた7.50ー7.55ゾーンの抵抗帯突破に伴う仕掛け的な南アランド買い(大規模ショートカバーを誘発)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.79円(本年1/12以来、約5ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/17午前3時00分現在)においても、高値圏での推移が続いております。
来週の見通し(6/19−6/23)
南アランドの対円相場は、5/12に記録した約2年3カ月ぶり安値6.90円をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約5ヵ月ぶり高値となる7.79円まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、90日線、200日線)を軒並み上抜けしたことや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
直近で過去3度止められていた7.50ー7.55ゾーンの抵抗帯(3/2高値7.53円、3/31高値7.52円、5/2高値7.50円)を突破できたことも、南アランド買いの流れに拍車をかけたと推察されます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、南アフリカ経済の先行き不透明感(計画停電長期化に伴う南アフリカ経済の下振れリスク。南ア政府は今週、中国に対して支援を要請したが、電力不足が解決される公算は小さい)や、南アフリカと米国の関係悪化懸念(南アフリカとロシアの急接近を受けて、対米関係は今後一段と悪化する恐れあり。事実、米国の議員グループは6/9付けでブリンケン国務長官を含めた政府高官に書簡を送付。
南アフリカとロシアの急接近を理由に、今年予定されている米国・サブサハラアフリカ貿易経済協力フォーラム=AGOAフォーラムの開催地を南アフリカから変更すべきと訴えた他、関税ゼロで米国市場を開放するアフリカ成長機会法=AGOAの対象から南アフリカを外すことも要求)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想いたします(ファンダメンタルズ主導の下落を想定)。尚、来週は6/21に予定されている南ア5月消費者物価指数(予想6.5%、前回6.8%)に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば、南アフリカ中銀による金融引き締め打ち止め観測を通じて、南アランドに下押し圧力が加わりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.90
南アランド円日足
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