トルコリラ週報:『史上最安値更新後に下げ渋る展開。市場の関心はトルコ中銀会合』(6/17朝)

トルコリラの対円相場は、5/26に記録した高値7.06円をトップに反落に転じると、今週初にかけて、史上最安値5.85円まで急落しました。

トルコリラ週報:『史上最安値更新後に下げ渋る展開。市場の関心はトルコ中銀会合』(6/17朝)

『史上最安値更新後に下げ渋る展開。市場の関心はトルコ中銀会合』

〇今週のトルコ円、週明け史上最安値5.85まで下落の後、週後半にかけ6円台を回復
〇新政権下で金融・財政政策の大幅転換が進められるとの期待感浮上
〇主要テクニカルポイント下抜け、テクニカルの地合い極めて弱い
〇来週は6/22に予定されているトルコ中銀会合に注目集まる
〇8.5%の政策金利が一気に25.0%程度まで引き上げられる可能性も
〇引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.50ー6.20

今週のレビュー(6/12−6/16)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.95円で寄り付いた後、(1)エルドアン大統領再選を嫌気した失望売りの流れの継続や、(2)トルコ4月経常収支(結果54.0億ドル赤字、予想43.8億ドル赤字)の市場予想を上回る結果、(3)トルコ4月失業率(結果10.2%、前回10.0%)の更なる悪化が重石となり、週明け早々に、史上最安値5.85円まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買いや、(5)トルコ中銀によるタカ派路線への転換期待(財務相、中銀総裁にそれぞれ市場から評価されているシムシェキ氏、エルカン氏が任命されたことで、新政権下で金融・財政政策の大幅転換が進められるとの期待感浮上→JPモルガンのエコノミストは「トルコ中銀が6/22の会合で政策金利を現在の8.5%から25.0%に引き上げる可能性がある」との見解発表)、(6)エルドアン大統領による「シムシェキ新財務相がトルコ中銀に対して迅速な措置を講じることを受け入れた」との政策転換容認発言が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値6.02円まで反発しました。週末にかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/17午前3時00分現在)では、6.00円前後で推移しております。

来週の見通し(6/19−6/23)
トルコリラの対円相場は、5/26に記録した高値7.06円をトップに反落に転じると、今週初にかけて、史上最安値5.85円まで急落しました。日足ローソク足が主要サポートポイントを軒並み下抜けしたことや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。こうした中、来週は6/22に予定されているトルコ中銀会合に注目が集まります。

上述の通り、市場から評価されているシムシェキ氏、エルカン氏が各々、新財務相、新中銀総裁に任命されたことで、経済政策や金融政策が180度転換するとの期待感が広がっています。これまでエルドアン大統領が進めてきた「インフレを利下げで退治する」といった独特な運営が撤廃されれば、現在8.5%の政策金利が一気に25.0%程度まで引き上げられる可能性もありそうです。政策金利の大幅な引き上げは、エルドアン支配・脱却への連想から市場の信頼性回復に繋がるため、トルコリラが一時的に上昇する展開も想定されます。

但し、政策金利の大幅な引き上げは、トルコ経済の混乱など負の側面も発生し得ることから、トルコリラの上げ幅は限定的なものに留まりそうです(経済政策・金融政策の正常化は本来正しい選択であるものの、政策転換に伴う代償が甚大となる恐れ)。従って、素直に「政策金利の大幅引き上げ→トルコリラ買い」の波及経路には繋がらず、一巡後に反落に転じるシナリオが想定されます。もっとも、政策金利の大幅引き上げが見送られる場合には、新政権もエルドアン支配から脱却できなかったとの失望感から、トルコリラが暴落する展開が想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(いずれのケースでもトルコ中銀会合後に下落トレンドが再開する恐れ)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):5.50ー6.20

『史上最安値更新後に下げ渋る展開。市場の関心はトルコ中銀会合』

トルコ円日足

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