欧州中央銀行(ECB)政策金利発表の予想(2023/6/15)

本日、ECB金融政策会合の議事内容が記者発表されます。その後はラガルド総裁の定例記者会見が予定されています。

欧州中央銀行(ECB)政策金利発表の予想(2023/6/15)

欧州中央銀行(ECB)政策金利発表

(2023年6月15日木曜日:東京時間21時15分、ラガルド総裁記者会見は21時45分)

本日、ECB金融政策会合の議事内容が記者発表されます。その後はラガルド総裁の定例記者会見が予定されています。
今回の予想では、ECB主要3金利は全て0.25%の利上げを実施し、かつ予想レンジがなく、全員一致の利上げになっています。

(1)欧州中央銀行政策金利予想(6月15日8時00分現在)

(1)欧州中央銀行政策金利予想(6月15日8時00分現在)

今回の注目点は
@ 下記(3)の要人発言を見る限り、フランス中銀総裁の様子見発言以外はほとんど利上げか引き締め継続の意見で、今回は利上げに傾いていると思われます。
A 前回の記者発表要旨(下記(4)をみると、「…政策金利がインフレを2%の中期目標に適時に戻すことを達成すべく十分制限的な水準まで引き上げられ、必要な限り長くそれらの水準に維持されることを確実にするだろう」となっているので、@の要人発言をベースにすると、この要旨内容からも利上げの可能性が高いと思われます。
B 今回の記者会見要旨で、過去の文言である、「…先々の利上げはデータ次第」が入ると、次回以降の利上げは不透明になりますので、要注意となります。

C 欧州圏の景気が非常に悪くなり、今回は3ヶ月毎のECBスタッフ経済見通しが発表されます(下表5御参照)。前回3月は12月より2023年GDPを上方修正、24年・25年を下方修正していますが、今回は2023年も下方修正の可能性が高いと見ており、もし利上げを実施しかつ経済見通しの下方修正あった場合のラガルド総裁の記者会見の内容が注目されます。
D 以上から、今回は25BPの利上げが大多数ですが、予想レンジがないので、利下げはサプライズになる可能性高く、FOMCでは据え置いたので、万一50BPの利上げがあった場合はユーロの買い材料になりそうです。

(2)エコノミストのECBの政策金利予想 

下記のECB政策金利の先行き予想に関し、前回5月会合では3.75%への利上げとなり予想通りになりましたが、先々の利上げも3.75%で打ち止めになっていました。
今回は連続利上げの見通しで、更に次回以降に0.25%の利上げになっています。そして中央値では4.25%を上限に金利を据え置きし、来年央に利下げ見通しとなっています。欧州圏の景気が芳しくない中、2024年になると緩和派と利上げ(乃至、金利高止まり)派で大きく分かれています。

(2)エコノミストのECBの政策金利予想 

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(3)最近のECB関係者の発言 

6月7日 シュナーベルECB専務理事 「あと何回利上げが必要かはデータ次第」
6月6日  ECB総裁        「インフレは依然高く、追加利上げを継続する」
6月5日  ECB総裁         「基調的なインフレ圧力が依然として高い」
6月5日  スロベニア中銀総裁    「インフレ目標2%」達成には追加利上げが必要」
6月2日  パネッタECB専務理事  「利上げサイクルの終点には達していない」
5月31日 イタリア中銀総裁    「コアインフレは依然として高い」
5月30日 スペイン中銀総裁    「引き締めサイクルは終わりに近づいているが、まだ道半ば」
5月26日 レーンECB専務理事   「インフレ転換点を期待しているが、まだ到達していない」
5月26日 クロアチア中銀総裁   「コアと食料インフレは、まだ上昇余地がある」
5月26日 オランダ中銀総裁    「6月・7月には利上げが必要。9月はオープン」 

5月25日 フランス中銀総裁   「ECBは利上げサイクルの大半を完了した」
                「利上げの影響にも配慮すべき」
5月25日 独連銀総裁 「高インフレを克服するために引き締めを継続」              
5月25日 ECB副総裁 「賃金の動向がインフレ見通しの上方リスクを高めている」
5月24日 独連銀総裁      「インフレ抑制のため、あと数回利上げする必要」
5月24日 ECB総裁       「金利を必要な限り、制限的な水準で維持する」
5月19日 ECB総裁       「ECBはインフレ率を2%に下げるために必要な決断下す」
5月18日 ECB副総裁   「もう少し利上げの余地は残されている」

(4)ECB金融政策記者発表要旨の一部を抜粋しています(2023年5月4日公表分)

(4)ECB金融政策記者発表要旨の一部を抜粋しています(2023年5月4日公表分)

(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

(5)ECBスタッフによる経済見通し(2023年3月時)

(5)ECBスタッフによる経済見通し(2023年3月時)

下図はユーロドルの週足チャートです。
2021年5月24日週高値からの抵抗線A(=1.0030)を昨年12月12日週に上抜けてからユーロは堅調に推移しています。しかしながら、昨年9月26日週底値からのサポートB(=1.1000)を5月8日週に下抜けてから約1ヶ月強はユーロが軟調に推移しました。
現在はどのサポートが有効なのかを探ったところ、昨年5月9日週、6月13日週、あるいは今年1月2日週の底値を結ぶとサポートC(=1.0575)ができ、3月初旬もここで止まりました。今回は5月31日に1.0635の底値がありましたが、Cまでは届きませんでした。ここ最近はECBの利上げを催促したユーロ買いからやや堅調となり、回復しています。当面の上値はどこにあるかをみますと、このCから平行に上げた1月30日週高値を目安にしたD(=1.1140)で、緩やかなユーロ高トレンドが形成されており、その後はこのDに3回止められています。従いまして、中期的にはこのCとDのレンジで見ておきます。

このレンジ内での抵抗線は5月1日週高値と翌週高値を結んだE(=1.0900)があり、最初の抵抗線になっています。越えれば次はB、更にトレンドライン上限のDとなります。下値のサポートは1.0700、1.0635、1.0575がポイントになっています。昨日のFOMCでは金利据え置きとし、今日のECB利上げはある程度織り込まれているので、要旨内容や総裁の記者会見の内容にどの様に反応するかを見たいと思います。

(5)ECBスタッフによる経済見通し(2023年3月時) 2枚目の画像

(2023年6月15日8:40、1ユーロ=1.0840ドル)

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