トルコリラ円見通し 暴落商状に一服感見えるも対ドルでの最安値更新続く(23/6/14)

トルコリラ円の6月13日は概ね6.01円から5.83円の取引レンジ、14日早朝の終値は5.93円で前日終値の5.91円からは0.02円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 暴落商状に一服感見えるも対ドルでの最安値更新続く(23/6/14)

暴落商状に一服感見えるも対ドルでの最安値更新続く

〇トルコ円、6/13は安値更新を回避し6円台の高値提示も見られ、暴落商状にやや一服感
〇対ドル、取引時間中の最安値更新が続くが急落ペースがやや鈍化
〇6/13発表の4月小売売上高は前月比0.9%増で3月の7.0%増から大きく鈍化、経済指標の悪化基調目立つ
〇ユルマズ副大統領が政策転換を匂わせた中、6/22のトルコ中銀での新総裁発言にも注目が集まる
〇5.93から5.95にかけては戻り売りに掴まり易い、5.95超えは6.00手前試しとみるがその後の反落警戒
〇5.88割れからは5.85前後への下落を想定、5.85以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の6月13日は概ね6.01円から5.83円の取引レンジ、14日早朝の終値は5.93円で前日終値の5.91円からは0.02円の円安リラ高となった。
エルドアン大統領の再選を挟んでリラが対ドル等で暴落商状に陥ったことで連日の史上最安値更新となり、6月7日には凡そ7%の下落率となり2021年12月20日安値6.17円を割り込んで史上最安値更新に入り、10日には終値ベースで6円を割り込み、取引時間中の最安値を5.83円まで切り下げた。
しかし6月13日は新たな安値更新を回避、売り飽き気分から暴落商状にやや一服感がでて一時6円台の高値提示が見られるなど下げ渋りの様相となった。

6月13日夜は米5月CPIの発表があり全体の上昇率が前年比4.0%となり4月の4.9%から大幅に鈍化する一方でコア指数の前年比は5.3%となり4月の5.5%から若干の鈍化にとどまったため、発表直後には内容に対する評価が分かれて金融市場全般が乱高下となったものの、ドル円は139.94円へ急伸してから139.00円へ急落する波乱の後は米長期債利回りの上昇を見て14日早朝に140.30円まで切り返した。
トルコリラ円は一時的に6円を超える高値提示が見られた後は5.80円台での推移に落ち着いていたが、ドル円が14日早朝にかけて急伸したことに押し上げられて14日早朝には5.94円まで戻した。
今夜の米PPIから明日朝3時の米FOMC声明文発表から3時半のパウエル議長会見と続く流れでドル円が勢いよく上昇できればトルコリラ円も暴落一服からの買い戻し優勢となる可能性があるが、逆に円高反応の場合はトルコリラ円としては反騰入りへのきっかけをつかみ損ねることとなりかねない。

【対ドルでは7日の暴落が減速するも取引時間中の最安値更新が続く】

ドル/トルコリラの6月13日は概ね23.77リラから23.27リラの取引レンジ、14日早朝の終値は23.62リラで前日終値と変わらずだった。
14日午前序盤は23.66リラから23.59リラのレンジで推移しており最安値圏にとどまって安値更新を伺う位置取りとなっている。
エルドアン大統領の再選を挟んで連日の史上最安値更新となり、6月7日に8%近い暴落商状で23.31リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、8日に23.41リラへ、9日に23.54リラへ、週明けの12日も23.73リラへ安値更新を続けたが、13日も23.77リラへ最安値を更新している。ベンダーによってレートの開きがあるが、13日早朝には23.92リラの安値提示も見られ、1ドル24リラ台も目前だが、6月8日からは急落ペースがやや鈍化しており、リラ売りが続いたことでの売られ過ぎ警戒感や、新内閣による金融経済政策姿勢を見たいとの思惑も見られるところだ。

【4月のトルコ小売売上高は鈍化】

トルコ統計局が6月13日に発表した4月の小売売上高は前月比0.9%増となり3月の7.0%増から大きく鈍化し、前年同月比は27.5%増で3月の28.8%増から若干低下した。リラ安と高インフレにより名目上の売上高は前年比で大幅増に見えるものの、前月比での推移は低調であり、トルコ・シリア大地震の影響で2月に前月比6.5%減となったところから3月に7.0%増と持ち直したが、4月は再び低下しており景気への楽観を示すには至らず。
6月に入ってからは5月の貿易収支速報で貿易赤字が126.6億ドルに拡大(4月は88.5億ドルの赤字)、5月の消費者物価指数の上昇率は前年比39.59%で4月の43.68%から鈍化したもののコア指数の前年比は46.6%で4月の45.5%から上昇して高インフレの高止まり感が強まり、純外貨準備高はマイナス57億ドルとなり市場介入への資金の枯渇が示され、4月鉱工業生産も前年比1.2%減、12日に発表された4月失業率も3月の10.1%から10.2%へと悪化するなど、トルコ経済指標の悪化基調が目立っている。

【新政府の3年計画】

エルドアン大統領の再選により新内閣が発足しているが、ユルマズ副大統領は6月12日に「今後数カ月以内に中期経済計画を改定し、金融・財政政策に取り組む」、「金融政策、財政政策、構造改革に取り組むもの」であり、「予算を含めて政府の経済調整評議会が来週閣議後に会合する」と述べた。
副大統領は「インフレを低下させる政策を制定する一方、他方では社会の大部分へのインフレの影響を最小限に抑える政策を制定する」とも述べて政策転換をにおわせた。

副首相や財務相を務めて市場の評価が高かったシムセク氏が財務相となり、米ファースト・リパブリック銀の元共同CEOでゴールドマンサックスに在籍経験のあるエルカン氏がトルコ中銀総裁に任命されたことで、エルドアン大統領がこれまで進めてきた非伝統的な政策スタンスから転換するのではないかとの期待が高まっているところだが、かつて中銀総裁の首を次から次へと切ってきたエルドアン大統領が簡単に政策転換へ進めるのかどうか市場はまだ懐疑的であり、政策転換を催促する姿勢も含めてリラ売り攻勢を続けていると思われる。
当面は6月22日のトルコ中銀金融政策委員会での新総裁発言に注目が集まる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月13日早朝安値からは下げ渋りとなり、一時的に6円台を付けたものの6月9日夜高値には届かずにいるので6月9日午前安値を直近のサイクルボトム、9日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクルの継続中とし、5.90円割れからは下げ再開とみて14日の日中から16日午前にかけての間への下落を想定する。次に5.95円を超えるところからは強気サイクル入りの可能性ありとみて6円を試す上昇を想定するが、一時的な高値提示で6円に迫ったあとは反落しやすいと警戒する。

60分足の一目均衡表では6月14日早朝への上昇で遅行スパンが好転したが、先行スパン突破には至らずにいる。先行スパンを上抜く場合は戻り継続するとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを上抜けないか一時的に超えてから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月14日未明に60ポイントを超えた後はやや失速気味となっている。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.88円を下値支持線、5.95円を上値抵抗線とする。
(2)5.93円から5.95円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。5.95円超えからは6.00円手前を試すとみるがその後の反落警戒とする。
(3)5.88円割れからは5.85円前後への下落を想定する。5.85円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は5.83円から5.80円にかけての水準を試す下落を想定する。また5.90円以下での推移な15日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -1324.7億リラ)
 20:30 週次 外貨準備高 6/9時点 グロス (6/2時点 582.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 6/9時点 ネット (6/2時点 -57.0億ドル)
6月19日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 91.1)
6月20日
 23:30 5月 中央政府債務 (4月 4兆5881億リラ)  
6月21日
 16:00 6月 製造業信頼感指数 (4月 108.3)
 16:00 6月 設備稼働率 (4月 76.0%)
6月22日 トルコ中銀金融政策決定会合


注:ポイント要約は編集部

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