トルコリラ週報:『エルドアン大統領の再選決定を受けて失望売りが活発化。トルコリラは大暴落』(6/3朝)

トルコリラの対円相場は、5/26に記録した高値7.06円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、一時6.60円(2021年12月20日以来、約1年半ぶり安値圏)まで急落しました。

トルコリラ週報:『エルドアン大統領の再選決定を受けて失望売りが活発化。トルコリラは大暴落』(6/3朝)

『エルドアン大統領の再選決定を受けて失望売りが活発化。トルコリラは大暴落』

〇今週のトルコ円、トルコ大統領選でのエルドアン大統領の勝利を嫌気し週末にかけ6.60まで急落
〇その後は投資家の信頼厚いシムシェキ元副首相を財務相に起用との報道に6.69前後に持ち直す
〇対ドルは週を通して下落基調継続、1ドル21リラ台に乗せ史上最安値を更新
〇トルコ円、テクニカルの地合い極めて弱く、ファンダメンタルズもエルドアンの政策継続が重石に
〇引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.35ー6.85

今週のレビュー(5/29−6/2)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初7.03円で寄り付いた後、早々に週間高値7.07円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トルコ大統領選挙の決選投票で現職のエルドアン大統領が勝利したこと(エルドアン氏の得票率は52.1%、クルチダルオール氏の得票率は47.9%)や、(2)上記1を背景とした外国人投資家による失望売り(エルドアン大統領が志向する型破りな経済政策・金融政策が今後も続く可能性が高まったことを嫌気→通貨危機に繋がるとの思惑から外国人投資家による失望売りが活発化)、(3)週次外貨準備高の更なる減少(グロスベースは2021年11月以来の低水準。ネットベースはマイナス勘定継続で2002年以来の低水準)が重石となり、週末にかけて、週間安値6.60円(2021年12月20日以来の安値圏)まで急落しました。

その後は、(4)一部通信社による「トルコのエルドアン大統領は投資家からの信頼が厚いシムシェキ元副首相を次期財務相に起用する見通し」との報道を受けて幾分持ち直す場面も見られましたが戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/3午前1時15分現在)では、6.69円前後で推移しております。尚、対ドル相場は週を通して下落基調が継続し、週後半にかけて、史上最安値を更新しました(初の1ドル=21リラ台を記録)。

来週の見通し(6/5−6/9)

トルコリラの対円相場は、5/26に記録した高値7.06円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、一時6.60円(2021年12月20日以来、約1年半ぶり安値圏)まで急落しました。日足ローソク足が主要サポートポイント(一目均衡表雲上下限、転換線、基準線、90日移動平均線、21日移動平均線など)を軒並み下抜けしたことや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「弱気のバンドウォーク」の全てが成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)エルドアン大統領の再選を受けた外国人投資家による失望売りの継続や、(2)トルコ中銀による利下げ再開の思惑(エルドアン大統領によるトルコ中銀に対する利下げ圧力が再開するとの思惑)、(3)実質金利低下に伴う構造的なリラ売り圧力、(4)外貨準備のマイナス転落(2021年12月以降繰り返されてきた非公式介入の結果、トルコ中銀の外貨準備は既に枯渇)、(5)強引な資本規制(為替損失補填型定期預金など)に伴う副作用の顕在化懸念、(6)地政学的リスクの再開懸念(新ロシア派と見なされているオアン氏が副大統領などの要職に就く可能性大。新内閣は6/3に発表予定)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は6/5に予定されているトルコ5月消費者物価指数や、トルコ5月生産者物価指数、6/9に予定されているトルコ4月鉱工業生産に注目が集まります。

来週の予想レンジ(TRYJPY):6.35ー6.85

『エルドアン大統領の再選決定を受けて失望売りが活発化。トルコリラは大暴落』

トルコリラ円日足

注:ポイント要約は編集部

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