来週の為替相場見通し:『ドル円は底堅さを維持しつつも材料難から方向感を見出し辛い展開か』(6/3朝)

ドル円は3/24に記録した安値129.65をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、約半年ぶり高値140.95(昨年11/23以来の高値圏)まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『ドル円は底堅さを維持しつつも材料難から方向感を見出し辛い展開か』(6/3朝)

ドル円は底堅さを維持しつつも材料難から方向感を見出し辛い展開か

〇今週のドル円、週末の米債務上限問題の合意からのリスク選好回復に週前半140.95まで上昇
〇その後中国PMIの悪化と株価の急反落、FRB高官のハト派発言、米指標不冴えに138.46まで急落
〇週末は雇用統計のNFP上振れと米株価堅調に140円手前の水準まで持ち直す
〇ユーロドル、一時1.0634まで下落後、週末にかけ1.0779まで反発、米長期金利の動きにつれ上下
〇ドル円、主要テクニカルポイント上抜け強い買いシグナルも成立、地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開期待がドル円をサポート
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想するも来週はイベント少なく方向感出づらいか
〇来週の予想レンジ(USDJPY):138.25ー141.25、(EURUSD):1.0550−1.0850

今週のレビュー(5/29−6/2)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初140.68で寄り付いた後、(1)米債務上限問題の解決期待(バイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長が上限引き上げで基本合意)や、(2)上記1を背景とした世界的なリスク選好ムード(株高→リスク選好の円売り圧力)、(3)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、翌5/30にかけて、週間高値140.95(昨年11/23以来の高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(6)中国5月製造業PMIおよび非製造業PMIの冴えない結果(中国経済の減速懸念)、(7)米主要株価指数の急反落(リスク回避の円買い再燃)、(8)フィラデルフィア連銀ハーカー総裁による「FEDは6月会合で利上げを見送るべき」とのハト派的な発言、

(9)ジェファーソンFRB理事による「次回会合で利上げを見送ることにより、FOMCはより多くのデータを見てから追加引き締めの程度について決定できるだろう」とのハト派的な発言、(10)上記8、9を背景とした米長期金利の急低下(次回6月FOMCでの追加利上げ観測の後退)、(11)米5月ISM製造業景況指数の市場予想を下回る結果、(12)米5月製造業PMIの市場予想を下回る結果が重石となり、週後半にかけて、週間安値138.46まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(13)米5月雇用統計の良好な結果や、(14)米主要株価指数の堅調推移、(15)米長期金利の反転上昇が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間6/3午前2時10分現在)では、139.91前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0726で寄り付いた後、(1)米債務上限問題の解決期待や、(2)欧州経済の先行き不透明感、(3)ECBによる金融引き締め打ち止め観測(欧州債利回りの大幅低下→欧米金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い)、(4)スペインを巡る政局不透明感(5/28に実施されたスペインの統一地方選で与党が大敗→7/23に解散総選挙実施予定)、(5)欧州株の冴えない動き、(6)米4月JOLTS求人件数の市場予想を上回る結果、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(8)月末ロンドンフィキシングに絡むユーロポンドの下落圧力(ユーロドル連れ安)が重石となり、週央にかけて、週間安値1.0634まで急落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(9)フィラデルフィア連銀ハーカー総裁によるハト派的な発言や、(10)ジェファーソンFRB理事によるハト派的な発言、(11)米金利低下に伴うドル売り圧力、(12)デギンドスECB副総裁による「25bpの利上げがニューノーマル」とのタカ派的な発言、(13)ラガルドECB総裁による「インフレ率が2%目標に戻る軌道に乗っていると十分に確信できるまで利上げを続ける必要がある」とのタカ派的な発言、(14)ユーロ圏5月製造業PMI確報値の市場予想を上回る結果、(15)欧州株の堅調推移、(16)原油先物価格の急上昇が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.0779まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(17)米5月雇用統計の力強い結果や、(18)米長期金利の反転上昇が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/3午前2時10分現在)では、1.0711前後まで値を崩す展開となっております。

来週の見通し(6/5−6/9)

<ドル円相場>
ドル円は3/24に記録した安値129.65をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、約半年ぶり高値140.95(昨年11/23以来の高値圏)まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを決定づけるチャート形状となりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(フィラデルフィア連銀ハーカー総裁やジェファーソンFRB理事は慎重なスタンスを見せましたが、米国経済指標から得られるデータを見る限り、次の一手が利上げであることに変わり無し→例え6月FOMCでの利上げが見送られるとしても、その次の7月FOMCでの利上げが確実視されているため、米長期金利の持続的な低下には繋がらない公算大)や、

(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は政策修正を急がないスタンスを明確化)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開期待、(4)米債務上限問題払拭に伴うリスクオン再開期待(リスク選好の円売り要因)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。但し、来週に限ってみれば、米5月ISM非製造業景況指数以外に目立った経済指標が予定されておらず、また、ブラックアウト期間入りで米当局者発言も確認できないことから、上下共に方向感を見出しづらい時間帯が続きそうです。

来週の予想レンジ(USDJPY):138.25ー141.25

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は1.1100トライ(4/14高値1.1077、4/26高値1.1096、5/4高値1.1092)に立て続けに失敗すると、今週半ばにかけて、一時1.0634(3/20以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要サポートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる根強い追加利上げ観測(米経済指標の良好な結果+インフレ指標の伸び率昂進)や、(2)ECBによる金融引き締め打ち止め観測(ドイツ経済のリセッション入り→欧州経済の先行き不透明感)、(3)上記1、2を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(欧米金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。

今週発表されたユーロ圏5月消費者物価指数が市場予想を大幅に下回ったことも、ECBによる金融引き締め打ち止め観測をサポートしました。ラガルドECB総裁をはじめ欧州当局者からはタカ派的な発言が散見されますが、インフレ率の抑制傾向がデータとして確認できている以上、市場の反応は限定的なものに留まりそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はドイツ4月製造業受注や、ドイツ4月鉱工業生産、デギンドスECB副総裁発言、パネッタECB専務理事発言、ユーロ圏1−3月期実質GDP確報値に注目が集まります(ドイツの経済指標が下振れる場合には、「欧州株安+欧州債利回り低下+ユーロ売り」の組み合わせが再開する恐れあり)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0550−1.0850

ドル円は底堅さを維持しつつも材料難から方向感を見出し辛い展開か

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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