南ア週報『下落後に持ち直すも上値余地は限定的か。ファンダメンタルズ面での悪材料山積』(6/3朝)

今週は7.01ー7.17円レンジの中でやや上値の重さが目立つ動きが続きました。

南ア週報『下落後に持ち直すも上値余地は限定的か。ファンダメンタルズ面での悪材料山積』(6/3朝)

下落後に持ち直すも上値余地は限定的か。ファンダメンタルズ面での悪材料山積

〇今週の南ア円、週明け早々に7.17まで上昇するも伸び悩み、週末にかけ一時7.01まで急落
〇南ア財政収支の赤字拡大、対米関係悪化、米金利上昇等が重石
〇アップサイドに複数のレジスタンスポイント並び、売りシグナルも成立、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南ア政治・経済の先行き不透明感強く南ア円を圧迫
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):6.95ー7.25

今週のレビュー(5/29−6/2)

今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.15円で寄り付いた後、早々に週間高値7.17円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)南ア4月財政収支(結果675億ZAR赤字、予想670億ZAR赤字)の市場予想を上回る赤字幅の拡大や、(2)米国と南アフリカの関係悪化懸念(南アフリカ政府は議長国として8月に開催するBRICS首脳会議で、参加者に南アフリカの司法権が行使されない外交特権を認めるとの声明を発表→プーチン露大統領の出席に向けた配慮ではないかとの見方が浮上→欧米諸国の逆鱗に触れる恐れあり)、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力(南アフリカから国外への資本流出圧力)、

(4)格付け会社S&Pグローバル社による南アフリカの経済成長率予測の下方修正(昨年6月に示した1.6%予測から0.7%予測へ下方修正)、(5)南ア製造業PMI(結果49.2、前回49.8)の更なる悪化(好不況の分岐点となる50を4ヵ月連続で下回る結果)、(6)プラチナ価格の冴えない動き(南アフリカの交易条件悪化懸念)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.01円まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、ショートカバー主導で持ち直し、本稿執筆時点(日本時間6/3午前1時15分現在)では、7.15円前後で推移しております。

来週の見通し(6/5−6/9)

南アランドの対円相場は、5/12に記録した約2年3カ月ぶり安値6.90円をボトムに反発に転じると、5/25に一時7.25円まで持ち直す動きとなりましたが、今週は7.01ー7.17円レンジの中でやや上値の重さが目立つ動きが続きました。アップサイドに複数のレジスタンスポイントが並んでいることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムによる計画停電の長期化懸念)や、(2)南アフリカで広がるスタグフレーション懸念、(3)南アフリカ国内の政局不透明感、(4)米国との関係悪化懸念(米国のブリゲティ駐南アフリカ大使が先月5/11に南アフリカが昨年12月、ロシアに対して秘密裏に武器や弾薬を提供したとの情報があると記者団に発表したことが発端)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。事実、南ア中銀が5/29に発表した最新の金融システム半期点検報告の中でも、リスク要因として、停電に伴う電力供給の途絶リスクや、根強いインフレ、資金流出、マネーロンダリング、ロシアへの武器供給疑惑を巡る制裁リスクが挙げられました。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア5月SACCI景況感指数や、南ア第1四半期GDP、南ア第1四半期経常収支、南ア4月製造業生産高に注目が集まります。

来週の予想レンジ(ZARJPY):6.95ー7.25

下落後に持ち直すも上値余地は限定的か。ファンダメンタルズ面での悪材料山積

南アフリカランド円日足

注:ポイント要約は編集部

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