トルコリラ円見通し 大統領再選後のリラ安加速に円高も重なり3営業日続落(23/6/1)

トルコリラ円の5月31日は概ね6.83円から6.53円の取引レンジ、6月1日早朝の終値は6.70円で前日終値の6.83円から0.13円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 大統領再選後のリラ安加速に円高も重なり3営業日続落(23/6/1)

大統領再選後のリラ安加速に円高も重なり3営業日続落

〇トルコ円、5/31午前序盤は6.53まで急落、6.80台へいったん戻したところを売られる
〇6/1早朝には6.56まで下げるなど振れ幅の大きい安値提示が繰り返され底値が見えない印象
〇経常収支や財政収支の悪化、債務拡大によるリラの先安感が勢いを増す
〇対ドル、5/31は概ね20.83から20.30の取引レンジ、連日大幅下落で史上最安値更新を継続
〇トルコ中銀の非公式市場介入によるリラ防衛も限界、内外投資家のリラ売り攻勢が勢い付いている印象
〇トルコ1-3月期GDP、予想を上回るも昨年後半からの低調さ続く
〇エルドアン大統領再選後の組閣による金融政策修正への期待感がリラ安の歯止めとなるか
〇6.80以下での推移中は一段安余地ありとし、6.53割れからは6.40前後への下落を想定
〇6.80超えからは6.85試しとするが、その後の反落を警戒

【概況】

トルコリラ円の5月31日は概ね6.83円から6.53円の取引レンジ、6月1日早朝の終値は6.70円で前日終値の6.83円から0.13円の円高リラ安となった。
5月28日のトルコ大統領選挙決選投票でエルドアン現大統領が再選されたことにより、従来からの高インフレ進行中に利下げを強行してきた異質な金融政策が続くことが懸念され、経常収支や財政収支の悪化や債務拡大によるリラの先安感が勢いを増しており、トルコリラは対ドルで連日の大幅下落となり史上最安値更新を続けているが、31日もドル高リラ安が継続する中でドル円の下落も重なったために5月29日から3営業日続落となった。
ドル円は5月29日と30日に141円に迫ったものの日銀・金融庁・財務省の三者会談報道をきっかけに下落に転じ、31日夜は米JOLTS求人件数が予想外の増加となった局面で140.37円へ戻したものの早々に売られて6月1日午前序盤には一時139円を割り込んでおり、5月11日夜安値を起点とした上昇一巡感が出ている。FRB高官らによる6月FOMCでの利上げ見送り支持発言と米長期債利回りの続落がドル売り円買いを助長した。

トルコリラ円の5月31日は概ね6.83円から6.53円の取引レンジ、6月1日早朝の終値は6.70円で前日終値の6.83円から0.13円の円高リラ安となった。
5月28日のトルコ大統領選挙決選投票でエルドアン現大統領が再選されたことにより、従来からの高インフレ進行中に利下げを強行してきた異質な金融政策が続くことが懸念され、経常収支や財政収支の悪化や債務拡大によるリラの先安感が勢いを増しており、トルコリラは対ドルで連日の大幅下落となり史上最安値更新を続けているが、31日もドル高リラ安が継続する中でドル円の下落も重なったために5月29日から3営業日続落となった。
ドル円は5月29日と30日に141円に迫ったものの日銀・金融庁・財務省の三者会談報道をきっかけに下落に転じ、31日夜は米JOLTS求人件数が予想外の増加となった局面で140.37円へ戻したものの早々に売られて6月1日午前序盤には一時139円を割り込んでおり、5月11日夜安値を起点とした上昇一巡感が出ている。FRB高官らによる6月FOMCでの利上げ見送り支持発言と米長期債利回りの続落がドル売り円買いを助長した。

トルコリラ円は5月26日に繰り返し6.90円以下の安値を提示する乱調な展開を入れてからドル円の上昇を見て29日午前に7.06円へ上昇したものの、ドル高リラ安に圧されて30日午後にドル円が上昇した局面で上昇できず、31日午前序盤は6.53円まで急落し、6.80円台へいったん戻したところを売られた。6月1日早朝には6.56円まで下げるなど振れ幅の大きい安値提示が繰り返されており底値が見えない印象だ。

【対ドルでのリラ安続く】

ドル/トルコリラの5月31日は概ね20.83リラから20.30リラの取引レンジ、6月1日早朝の終値は20.80リラで前日終値の20.47リラからは0.33リラのドル高リラ安だった。
エルドアン大統領の再選決定からリラ売りがさらに勢い付いており、5月30日には20.47リラへ史上最安値を更新したが、31日もさらに安値更新を更新して1ドル21リラに迫っている。終値べースでも前日終値から大幅下落して史上最安値を更新している。
週間ベースでは先週末終値19.93リラから31日終値20.80リラ時点まで0.87リラのドル高リラ安、月間では4月末の19.45リラから1.35リラのドル高リラ安だが、2021年12月へ通貨危機的なリラ暴落となった時の2021年11月時点に近い下落規模となっている。純外貨準備高がマイナス勘定へ激減したためにトルコ中銀の非公式市場介入によるリラ防衛も限界にきており、内外投資家のリラ売り攻勢が勢い付いている印象だ。

【トルコ1-3月期GDP、予想を上回るも昨年後半からの低調さ続く】

5月31日に発表されたトルコの1-3月期GDPは前年同期比で4.0%増となり2022年10-12月期の3.5%増から改善して市場予想の3.9%増をわずかに上回った。
2月6日に発生したトルコ・シリア大地震の影響によるGDPへの押し下げが懸念されていたもののその影響を感じさせなかったが、2021年7-9月期の7.9%、10-12月期の2022年1-3月期の7.6%、4-6月期の7.8%と続いてきた高成長率は2022年7-9月期の4.0%、10-12月期の3.5%へと鈍化し、今回も同程度の鈍化水準にとどまったといえる。
前期比では0.3%増と小幅な上昇で2022年10-12月期の0.9%増から鈍化して、2022年7-9月期に0.1%減となったところを除けば2020年7-9月期以降で最低の伸び率となっている。

【金融政策の変更はあるのか?】

エルドアン大統領は再選後の組閣に入っているが、新内閣には元経済長官のメフメト・シムセク氏が財務相か経済担当の副大統領として採用されるのではないかとみられているようだ。
組閣は6月3日までには終了するとされるが、エルドアン氏は気が変わりやすいところもありまだ不確実だが、シムセク氏は2009年から2018年に財務相と副首相を務めて金融市場からの評価も高かったようだ。同氏が採用されればエルドアン大統領による主要国からすれば異説な金融政策が修正されることへの期待感でリラ安の歯止めとなる可能性も考えられる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月26日昼過ぎ安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、乱高下が続く可能性もあるとして6.97円割れからは弱気サイクル入りとしていたが、6.90円へ急落したために30日午前時点では29日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして5月31日の日中から6月2日午後にかけての間への下落を想定した。
5月31日午前へ大幅続落してからいったん戻したものの1日午前へ失速しているのでまだ一段安余地ありとし、強気転換は6.80円超えからとし、その際は1日の日中から5日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月30日午前からの大幅下落により遅行スパンが悪化して先行スパンからも大きく転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転しても次に悪化するところからは下げ再開とみる。先行スパンを上抜くところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落するところからは下げ再開とする。

60分足の相対力指数は30ポイントを挟んだ低水準での推移が続いているので40ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、40ポイント超えからは反騰入りの可能性ありとみて50ポイント前後への上昇を想定する。 

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.53円を下値支持線、6.80円を上値抵抗線とする。
(2)6.80円以下での推移中は一段安余地ありとし、6.53円割れからは6.40円前後への下落を想定する。6.40円以下は反騰注意とするが、6.75円以下での推移なら2日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.75円から6.80円手前は戻り売りされやすいとみる。6.80円超えからは6.85円試しとするが、その後の反落を警戒する。

【当面の主な予定】

6月1日
 16:00 5月 イスタンブール製造業PMI (4月 51.5)
 20:30 週次 外貨準備高 5/26時点 グロス (5/19時点 588.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 5/26時点 ネット (5/19時点 -1.513億ドル)
6月5日
 16:00 5月 消費者物価指数 前月比 (4月 2.39%、予想 -0.2%)
 16:00 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 43.68%、予想 39.2%)
 16:00 5月 消費者物価コア指数 前月比 (4月 3.2%)
 16:00 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 45.5%)
 16:00 5月 生産者物価指数 前月比 (4月 0.81%)
 16:00 5月 生産者物価指数 前年同月比 (4月 52.11%)

注:ポイント要約は編集部

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