ユーロ圏5月消費者物価指数(HICP)速報値予想
(2023年6月1日9時00分現在予想)
本日、ユーロ圏の5月消費者物価指数が発表されます。前回4月は予想通りの数値になりました。ユーロドルの相場はこの指標を材料視せず20〜30ピップス程度の値幅で小動きでした。
今回5月は全体では大きくインフレが低下し、コアでもやや軟化する予想になっています。要因はエネルギー価格の下落で、一時的との見方です。昨日発表されたフランスの5月CPIが前年比5.1%(予想5.5%、4月5.9%)、ドイツが同6.1%(予想6.5%、4月7.2%)でしたので、ユーロ圏の全体でもこの予想数値に収まりそうです。
下図を見ると、全体(青)では昨年10月をピークに大きく下落していますが、コア(オレンジ)は今年3月の5.7%からほぼ横這いです。ECBの3月会合時の2023年12月予想では、全体が5.3%、コアが4.6%ですので、特にコアの下がり方が低調ですと、ECB想定通りの結果が得られない可能性も出てきます。次回6月のECB会合時(6月15日予定)に見通しの修正があるか無いかをみますが、万一、残り半年で上方修正するような事態になると、ECBの金融政策では利上げ継続の見方が更に増えてくるかもしれません。
ご参考までに、5月中旬頃以降の欧州各国中銀発言は約半数位が「インフレが高過ぎる」(独連銀総裁、ECB副総裁など)とタカ派的発言も多く、残りの委員も金利を暫く高い水準に据え置く発言になっています。
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)前年同月比ベース推移
黒い線より右側は今回の予想値、ECBの3月時インフレ予想:
赤はHICP 2023年予想5.3%、
緑はHICPコア2023年予想4.6%
下図はユーロドルの週足チャートです。昨年9月26日週底値からのサポートA(=1.0850)にあり、そこから平行に上げた上値目安B(=1.1600)でユーロ高トレンドを形成していましたが、先週Aを割ってしまいました。目先はユーロの底値模索に入っています。
今年1月30日週高値と4月10日、4月24日週の各高値を結んだ抵抗線C(=1.1130)があり、ここから平行に下したラインD(=1.0610)が緩やかなユーロ高トレンドの下限になっています。もしこのDを切れると、昨年11月21日週高値と12月5日週底値を結んだ横サポートE(=1.0440)が1つの目安になります。心理的サポートの1.0500を含めて、ここまでの下値を想定する必要が出てきます。このユーロ弱い流れからの脱却は少なくともAの回復、5月1日週高値とその翌週高値を結んだF(=1.0930)を越えていくことが肝要になります。
(6月1日10:10 1ユーロ=1.0688ドル)
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