上値は重たいが今週は踊り場
〇先週のユーロドル、ドル円が3円以上動くも、130pips程度に収まるユーロじり安の動き
〇FRBが利上げへ動くと確実視され、米欧間の金利差が拡大しなくなるとみてユーロの上値が抑えられる
〇今週は米国雇用統計に向けて米国材料の方が重要度が高い
〇フランスとユーロ圏のCPI速報値、ECB理事会議事要旨が0.25%利上げ維持かの判断材料に
〇今週は1.0690レベルをサポートに1.0850レベルをレジスタンスとするレンジを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、月曜高値金曜安値とドル円同様に週を通してドル高の動きがユーロじり安につながりましたが、ユーロ円がドル円とともに円安に動いたため、値幅的にはドル円が3円以上動いている中でもユーロドルは130pips程度に収まっています。現状は円安を中心としてのドル高相場となっているという見方でよいでしょう。
目立ったニュースは無かったものの、ECB関係者の発言もタカ派なのですが、それ以上にこれまで現状維持と見られていたFRBが利上げが確実視されたことで、米欧間の金利差が拡大しなくなるであろうこともユーロの上値を抑えましたし、ポジション的にもシカゴの通貨先物のユーロ買いは若干減っているとは言うものの依然として過去最高水準に近いサイズとなっていることから、新規に買うにはお腹いっぱいといった様子が伺えます。
これまでは、米国は利上げ打ち止めという前提でユーロが最終的には買われるであろうという前提でしたが、先週の動きでFRBも利上げという動きになってきたことで素直にユーロ買いという見方がしにくくなった一週間であったと言えます。今週は米国雇用統計に向けて米国材料の方が重要度が高いのですが、フランスとユーロ圏のCPI速報値、ECB理事会議事要旨が来月6月のECB理事会に向け、0.25%利上げで変わらないかを判断する材料となりそうです。
材料的にはユーロドルはこれまでのユーロ買いから中立へと転じてきたのですが、いっぽうで4月高値1.1094からは既に400pips近く下げ、調整として捉えるならば十分に下げたと言っても良さそうです。このあたりのテクニカルには日足チャートをご覧ください。
3月安値と4月高値との61.8%押し1.0737(赤のターゲット)までの下げを達成したことで、次のターゲットは78.6%(61.8%の平方根)押し1.0639ということになりますが、ドル円同様に短期的にはいったん61.8%押しの水準で踊り場を作る可能性が高いのではないかと考えています。
5月高値と5月安値の38.2%戻し(青のターゲット)を見ると1.0850となり、最近のユーロドルの週間レンジを考えると1.07前後から1.08台半ばというレンジは妥当に思えます。今週は1.0690レベルをサポートに1.0850レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。
今週のコラム
今週はユーロドルのアストロチャートをご覧ください。
暗号資産ではよく登場するアストロチャートですが、ここではシンプルに上下の太いライン(サポートとレジスタンス)の黄色のラインマーカー部分に注目してください。
下(水色の太線)も上(青の太線)もしっかりと止められている動きです。現在の水準には特に目立ったサポートとレジスタンスはありませんが、水色の太線が緩やかに上昇し、現在は1.05台後半に位置しているということだけ、中長期的なサポート水準として頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
5月29日(月)
**:** LDN、NY市場休場 ☆
24:00 スペイン中銀総裁講演
5月30日(火)
18:00 ユーロ圏5月消費者信頼感 ☆
5月31日(水)
15:45 フランス5月CPI速報値 ☆
15:45 フランス4月PPI
15:45 フランス1〜3月期GDP改定値
16:55 ドイツ5月失業率
17:30 イタリア中銀総裁講演
6月1日(木)
15:00 ドイツ4月小売売上高
15:00 英国5月住宅価格
16:50 フランス5月製造業PMI
16:55 ドイツ5月製造業PMI
17:00 ユーロ圏5月製造業PMI
17:30 英国5月製造業PMI
18:00 ユーロ圏5月CPI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏4月失業率
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
6月2日(金)
15:45 フランス4月鉱工業生産
21:30 米国5月雇用統計 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
5月22日(月)
ユーロドルは狭いレンジで横方向のもみあい、終日のレンジも36pipsと対ドルよりも対円での動きが中心となりました。ユーロ円は149.92レベルまで上昇し大台乗せを視野に入れて引けました。
5月23日(火)
ユーロドルは上値が重たい地合いで欧州市場入り、弱い経済指標に反応して売りが強まり、NY市場でもドル買いの動きとともに一時1.0760レベルまで下げましたが、先週安値を抜けられずに引けました。
5月24日(水)
ユーロドルは東京市場では底堅い動きとなっていましたが、欧州市場に入り主要株価指数の下げとともに欧州株にも下げが見られたため、一時1.0748レベルと週間安値を更新する動きとなりました。その後すぐに元の水準に反発したものの、NY市場ではドル高の動きとともに改めてユーロ売りとなり、安値圏に押して引けました。
5月25日(木)
ユーロドルは終日じりじりと水準を下げる展開となりました。東京後場はユーロ円の下げ、NY市場では米金利上昇とテーマは変わっていったもののユーロ売りの材料となり、1.0707レベルまで下げ安値圏で引けました。
5月26日(金)
ユーロドルはNY市場まではユーロ買い(ドル売り)の動きが先行、NY市場ではユーロ売り(ドル買い)に転じ、一時1.0702レベルの安値をつけました。しかしドル円とともにユーロ円でも買いが強まり150.93レベルまで上昇したため、ユーロドルの値幅は57pipsにとどまりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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