『50bpの利上げに踏み切るも南アランドは下落。対ドル相場は史上最安値更新』
〇今週の南ア円、週後半にかけて週間高値7.25まで上昇後、週末にかけ一時7.05円まで急落
〇S&Pの南ア格下げ見送り、中銀利上げ観測で上昇、中銀の南アランド一段安見通しが重石に
〇南ア円、上方に複数のレジスタンスポイント並び、強い売りシグナルも成立、地合いは「弱い」
〇ファンダメンタルズも、南ア経済の不透明感、インフレ懸念、政局不安、ドルの全面高が重石に
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):6.95ー7.25
今週のレビュー(5/22−5/26)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.09円で寄り付いた後、(1)S&Pが先週、南アフリカの格下げを見送ったことに対する安堵感や、(2)南ア中銀による大幅利上げ観測(5/25の金融政策決定会合で75bpの利上げに踏み切るとの思惑浮上)、(3)対主要通貨での円売り圧力(ドル円・クロス円上昇→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.25円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)南ア中銀が予想通り50bpの利上げに留まったこと(一部で75bpの利上げ観測が浮上していたが、南ア中銀は7.75%から8.25%へと50bpの利上げを決定→大幅利上げ観測後退で南アランド売り)や、(5)南ア中銀による「通貨が一段安となる可能性が高い」との見解発表、(6)対ドルでの南アランド急落(対ドル相場の史上最安値更新→南アランド円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.05円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/27午前2時20分現在)では、7.15円前後で推移しております。尚、今週発表された南ア4月CPI(結果+6.8%、予想+7.0%)、南ア4月コアCPI(結果+5.3%、予想+5.4%)、南ア4月PPI(結果+8.6%、予想+9.0%)はいずれも市場予想を下回りましたが、南アランド円相場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(5/29−6/2)
南アランドの対円相場は、5/12に記録した約2年3カ月ぶり安値6.90円をボトムに反発に転じると、今週は一時7.25円まで持ち直しましたが、上方に複数のレジスタンスポイント(一目均衡表雲上下限や90日移動平均線など)が並んでいることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「弱い」と判断できます(上値余地は乏しい)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムによる過去最大規模の計画停電→今週発表された南ア3月景気先行指数は117.8と前回の120.2から低下)や、(2)南アフリカで広がるインフレ懸念(南ア中銀は会合後の声明で「コアの財・食品価格の短期的な上昇が予想されるため、2023年の総合インフレ率の見通しを6.0%から6.2%へ上方修正した」との見解発表)、(3)南ア国内の政局不透明感(南ア1ー3月期失業率の一段の悪化→与党アフリカ民族会議の支持率低下→治安の更なる悪化懸念)、(4)対主要通貨でのドル買い圧力(米利上げ観測再浮上→米長期金利急上昇→米ドル高→新興国から米国への資金流出懸念→南アランド売り)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア4月貿易収支以外に目立った経済イベントが予定されていないため、米経済指標や米長期金利の動向を睨みながらの展開となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.95ー7.25
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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