『対ドル相場は史上最安値更新。市場参加者の関心は週末のトルコ決選投票』
〇今週のトルコ円、大統領選でのエルドアン氏勝利の確率上昇し週初6.81まで下落
〇週末にかけてはトルコ経済指標の好調や与党の金利引き上げ路線への転換検討報道等に7.06まで反発
〇対ドルは週末にかけ初の1ドル=20リラ台を記録、史上最安値を大幅に更新
〇市場参加者の関心、今週末(5/28)予定のトルコ大統領選挙の決選投票に集まる
〇エルドアン氏優勢の状況は変わらず、市場参加者からは失望の声
〇引き続き、決選投票後のトルコリラ暴落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.20ー7.20
今週のレビュー(5/22−5/26)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.96円で寄り付いた後、(1)5/14に開催されたトルコ大統領選挙で第3位に付けて落選した極右民族主義のオアン候補(得票率5.2%)がエルドアン氏の支持を表明したことや、(2)上記1を背景としたエルドアン氏勝利の確率上昇(トルコリラの失望売り)が重石となり、翌5/23に、週間安値6.81円まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)トルコ5月消費者信頼感指数(結果91.1、前回87.5)の良好な結果や、(4)トルコ5月設備稼働率(結果76.0%、前回75.4%)の良好な結果、(5)トルコの反移民政党である勝利党のオズダー党首(得票率2.2%)がクルチダルオール氏の支持を表明したこと(クルチダルオール氏勝利の可能性の浮上)、(6)与党公正発展党(AKP)内部で今後の金融政策で金利を段階的に引き上げる路線への転換が検討されているとの一部報道、(7)トルコ中銀による政策金利の据え置き決定、(8)対主要通貨での円売り圧力(ドル円急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.06円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間5/27午前3時10分現在)では、7.03円前後で推移しております。尚、対ドル相場は週を通して軟調推移が継続し、週末にかけて、史上最安値を大幅に更新しました(初の1ドル=20リラ台を記録)。
来週の見通し(5/29−6/2)
市場参加者の関心は今週末(5/28)に予定されているトルコ大統領選挙の決選投票に集まっています。5/14に実施された第1回目の大統領選挙では、現職のエルドアン大統領が49.52%の得票率を獲得し、野党連合から出馬した対立候補のクルチダルオール氏の得票率44.88%を上回りましたが、いずれの候補者も過半数に届かなかったことから、決選の場が5/28に持ち越されることとなりました。鍵を握るのは大統領選挙で敗れたオアン氏の5.17%と、オズダー氏の2.20%の行方となっています。報道によると、オアン氏はエルドアン氏を支持し、オズダー氏はクルチダルオール氏を支持すると見られています。
この為、エルドアン氏優勢の状況は変わらず、市場参加者からは失望の声が広がっています(仮にクルチダルオール氏が決選投票で勝利したとしても、与党連合が過半数超の議席を獲得済みであるため、政策運営は「ねじれ」の影響で困難となる見通し→市場で期待されていたようなクルチダルオール氏による正統派の金融政策・経済政策への回帰シナリオは大幅に後退→エルドアン氏主導の非伝統的な政策運営が今後も続くとの見方が市場コンセンサス)。強引な資本規制に伴う副作用の顕在化や、インフレ圧力を利下げで退治するといった独自理論に基づく金融政策、為替介入に伴う外貨準備の急減は、いずれもトルコリラの売り材料に繋がると見られることから、当方では引き続き、決選投票後のトルコリラ暴落をメインシナリオとして予想いたします(週明けの窓開けリスクに要警戒)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.20ー7.20
トルコリラ円日足
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