トルコリラ円見通し 円安で7.03円へ上昇するも26日午前に急落、大統領選挙控えて波乱警戒(23/5/26)

トルコリラ円の5月25日は概ね7.03円から6.93円の取引レンジ、26日早朝の終値は7.02円で前日終値の7.01円から0.01円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 円安で7.03円へ上昇するも26日午前に急落、大統領選挙控えて波乱警戒(23/5/26)

円安で7.03円へ上昇するも26日午前に急落、大統領選挙控えて波乱警戒

〇トルコリラ円、ドル円の上昇に合わせる展開、5/26早朝ドル円の140円台への続伸を見て7.03へ上昇
〇しかし5/26午前には一時6.90を割り込む、大統領選挙決選投票を控えドル高リラ安への警戒も
〇対ドル、5/25は概ね19.95から19.86の取引レンジ、取引時間中・終値ベースともに最安値更新
〇5/26午前の取引では19.99を付け、1ドル20リラに迫る
〇トルコ中銀は政策金利を8.5%に据え置き、3会合連続の据え置き
〇純外貨準備高は2002年以来のマイナス勘定、借入による市場介入の継続は限界があるか
〇6.98超えからは、7.00前後への上昇とその後の反落注意とする
〇6.95以下での推移中は下向きとし、6.87割れからは6.85、6.83を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の5月25日は概ね7.03円から6.93円の取引レンジ、26日早朝の終値は7.02円で前日終値の7.01円から0.01円の円安リラ高となった。
トルコリラ円は対ドルでリラ安を警戒しつつ、目先はドル円の騰落を追いかける展開を続けてきた。
ドル円は25日夜の米1-3月期GDP改定値が速報から上方修正されたことをきっかけとして年初来高値を更新して26日早朝には140.22円を付けて1月16日安値127.22円以降の高値を更新した。昨年10月21日天井から今年1月16日への下げ幅に対する半値戻しラインの139.58円を25日午前に超えてからの続伸であり、1月16日安値からの上昇は3月8日までを一段目とし、3月24日を起点として二段目の上昇に入っているが、一段目の上昇と同規模となる140.33円に迫った状況だ。

トルコリラ円はドル円の上昇に合わせて25日早朝に7.01円へ上昇していたが、25日昼に7.02円へ上昇、26日早朝にドル円が140円台へ続伸するのを見て7.03円へ高値を伸ばした。
一時的なリラ安を除いて日々の取引中心レンジ及び終値ベースでは調整安を入れながら5月11日安値以降の上昇基調を継続してきたが、26日午前には一時6.90円を割り込む下落も見られており、大統領選挙決選投票を控えてのドル高リラ安を警戒した整理売りで急落する可能性もあるところと警戒したい。

【ドル高リラ安継続、最安値更新続く】

ドル/トルコリラの5月25日は概ね19.95リラから19.86リラの取引レンジ、26日早朝の終値は19.93リラで前日終値の19.89リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
5月28日のトルコ大統領選挙決選投票が近づく中でリラの先安感が強まっている。5月25日のトルコ中銀金融政策決定会合では決選投票前ということもあり政策金利は予想通りに据え置かれたが、週次の外貨準備高報告ではネットの外貨準備高がマイナス勘定となりリラ防衛の市場介入による外貨枯渇状況に陥ったことが示されてリラ売りが勢いを増した。
手元のデータでは5月22日と23日に19.93リラの史上最安値を付けていたが25日は19.95リラへ最安値を更新し、26日午前の取引では19.99リラを付けて1ドル20リラに迫っている。ベンダーによっては5月23日安値で20.32リラを付け25日も20.23リラの安値を提示しており、実勢としてはすでに1ドル20リラ台に突入している状況といえる。
終値ベースでは連日のように史上最安値を更新しており25日も最安値更新となった。

【トルコ中銀は予想通りに政策金利据え置き】

5月25日にトルコ中銀は政策金利の週間レポレートを現行の8.5%で据え置いた。据え置きは3会合連続。昨年11月に9.0%まで引き下げてから当面の利下げサイクルを終了したとして12月と1月を据え置きとしていたが、2月6日のトルコ・シリア大地震の影響を踏まえて2月には8.5%へ追加利下げを決定し、その後も高インフレは続いているものの中銀は現行金利水準は妥当とした。
5月28日の大統領選挙決選投票では1回目投票で1位だったエルドアン現大統領が再選の際には金利をさらに引き下げることでインフレを抑制するとの方針を示しており、与党AKP内部では政策修正すべきとの議論もあるようだが、意に沿わない中銀総裁を繰り返し更迭してきたことや、バイデン大統領がかつて「独裁者」呼ばわりしたことがあるように20年間に及ぶ専横的な政治状況を続けてきたことを踏まえると次回会合での利下げ再開の可能性もあると思われる。

【純外貨準備高は2002年以来のマイナス勘定に】

5月25日夜に発表された週次の外貨準備高では、5月19日時点のグロスで588.3億ドルとなり5月12日時点の608.2億ドルから凡そ20億ドルの大幅減少となったが、ネットではマイナス1.513億ドルとなり5月12日時点の23.3億ドルから24.8億ドルの大幅減少となった。マイナス勘定は2002年以来であり、2022年末からはすでに277億ドルが消えている。現金等に対して返済を迫られる政府短期債務を差し引いた状況でのマイナス勘定であり、借入による市場介入の継続は可能としても限界があり、総外貨準備高における金(ゴールド)準備を取り崩す必要もあるかもしれない。

円安で7.03円へ上昇するも26日午前に急落、大統領選挙控えて波乱警戒

いずれにせよ、リラ安の速度を抑制してきた中銀の非公式介入も限界とみれば、海外勢のリラ売り攻勢が強まり、トルコ国内でもリラ放れが進み、リラ保有を余儀なくされる場合も財務省によるリラ預金保護制度への入金により財務省の為替差損が膨らみ財政を圧迫することも懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月22日深夜に7円へ迫る反騰となったために23日午前時点では22日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日朝から26日朝にかけての間への上昇を想定した。
5月26日早朝へ高値を更新したものの、26日午前序盤に6.90円割れへ反落しているため、26日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定して26日の日中から29日昼にかけての間への下落を想定する。乱調な展開に注意し、6.98円超えからは26日早朝高値7.03円試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして31日朝から6月2日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月26日午前の反落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも一時転落したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパン上限では戻り売りも出やすいとみるが、先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開の可能性ありとして5月26日早朝高値試しを想定するが、26日早朝高値手前は反落警戒とし、その後に遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とする。

60分足の相対力指数は5月25日昼から26日早朝にかけての上昇時に指数のピークがフラットとなる弱気逆行を見せてから30ポイントまで低下しているので50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとみる。乱調な展開の可能性もあるので50ポイント超えからは60ポイント前後への上昇とその後の反落に注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.87円を下値支持線、6.98円を上値抵抗線とするが、波乱注意とする。
(2)6.95円から6.98円手前の水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。6.98円超えからは7.00円前後への上昇とその後の反落注意とする。
(3)6.95円以下での推移中は下向きとし、6.87円割れからは6.85円、6.83円を順次試す下落を想定するが、週明けは選挙結果を反映して一段と急落する可能性もあると注意する。

【当面の主な予定】

5月26日
 17:00 4月 海外観光客数 前年比 (3月 12.32%)
5月28日 大統領選挙第二回投票
5月29日
 16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 102.2)
5月30日
 16:00 4月 貿易収支 (3月 -85.7億ドル)
5月31日
 16:00 1-3月 GDP 前期比 (10-12月 0.9%)
 16:00 1-3月 GDP 前年同期比 (10-12月 3.5%)
6月1日
 16:00 5月 イスタンブール製造業PMI (4月 51.5)
 20:30 週次 外貨準備高 5/26時点 グロス (5/19時点 588.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 5/26時点 ネット (5/19時点 -1.513億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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