トルコリラ円見通し ドル円の139円台到達でトルコリラ円も7円台回復
〇トルコ円の5/24は概ね7.01から6.94の取引レンジ、ドル円の上昇に合わせて5/25早朝には7.01へ上昇
〇対ドル、5/24は概ね19.91から19.86の取引レンジ、5/24終値は19.89と最安値を更新
〇第2回大統領選結果と選挙後の情勢不安によるリラ安継続感大きく、週末から週明けにかけて波乱注意
〇トルコ製造業信頼感指数は改善するも、製造業が堅調という状況には至らず
〇5/25トルコ中銀金融政策委員会は政策金利据え置き見通し
〇7.01超えからは7.03前後への上昇を想定、7.03以上は反落注意
〇6.93割れからは下落期入りとみて6.90、6.88を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の5月24日は概ね7.01円から6.94円の取引レンジ、25日早朝の終値は7.01円で前日終値の6.97円からは0.04円の円安リラ高だった。
対ドルでリラの最安値更新が連日のように続く中で、トルコリラ円はリラ安を気にしつつも目先はドル円を追いかける展開を続けている。
ドル円は5月25日早朝高値で139.47円へ上昇、1月16日安値127.22円以降の高値を更新して昨年10月21日天井から今年1月16日への下げ幅に対する半値戻しラインの139.58円に迫っている。5月22日に地区連銀総裁らが利上げ継続支持発言を繰り返したことに加え、24日はウォラー理事が6月に利上げを見送っても7月の再利上げが妥当のとの見方を示し、25日早朝のFOMC議事要旨でも再利上げ支持発言が見られたことが示されたために米長期債利回りが上昇して為替市場はドル高となり、ドル円も昨年11月30日以来の139円台到達となった。
トルコリラ円はドル円の上昇に合わせて25日早朝には7.01円へ上昇した。ドル高リラ安による圧迫感があるためにドル円のように年初来高値を更新する勢いには欠けているが、5月22日午後や23日午後にはドル高リラ安を反映して一時的に急落する場面もあったもののいずれも買い戻されており、5月19日以降は6.90円台序盤から7.01円前後までの水準での持ち合い推移の様相となっている。
しかし5月28日のトルコ大統領選挙第二回投票を控えて選挙結果と選挙後の情勢不安によるリラ安継続感も大きいため、週末から週明けにかけては波乱注意と思われる。
【ドル高リラ安がさらに進行、1ドル=20リラ台の安値提示も】
ドル/トルコリラの5月24日は概ね19.91リラから19.86リラの取引レンジ、25日早朝の終値は19.89リラで前日終値の19.85リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
2月6日のトルコ・シリア大地震発生、3月10日の米銀破綻をきっかけとした信用不安、5月に入ってからの米長期債利回り上昇とドル高で徐々にドル高リラ安が勢い付き、5月14日のトルコ大統領選挙でエルドアン現大統領が50%に届かなかったものの野党統一候補のクルチダルオール氏に対して優勢となり、エルドアン政権継続の可能性が高まったことでリラ売りが一段と加速してきた。
5月22日と23日には19.93リラを付けて取引時間中の史上最安値とし、24日は新たな安値更新へ進まなかったものの終値ベースでは23日終値からの続落で19.89リラへと最安値を更新している。
5月25日午前前半も19.91リラから19.87リラのレンジで推移して最安値近辺での推移を続けている。ベンダーによってドル/トルコリラのレート提示には開きがあるが、5月23日の安値では1ドル=20.32リラの提示も見られた。
【トルコ製造業信頼感指数は改善】
5月24日に発表されたトルコ中銀による製造業信頼感指数は108.3となり4月の108.0から改善して2022年5月の109.4以来の水準へ持ち直した。2022年12月に97.8まで悪化したところからの改善ではあるが、前年同月比でみると2022年3月以降はマイナスが続いており、2022年9月に前年比11.9%低下だったところからは持ち直しているものの今年3月が1.5%低下、5月が1.0%低下にとどまっている。震災の影響は見られないのものの製造業が堅調という状況には至らずにいる。
同時に発表された5月の設備稼働率は76.0%で4月の75.4%から改善し、地震の影響で3月に73.5%まで低下したところからは持ち直しが見られるものの、2022年7月の78.2%を下回った状況が続いている。
【5月25日のトルコ中銀金融政策委員会は政策金利据え置き見通し】
5月25日20時にトルコ中銀の政策金利発表がある。5月28日の大統領選挙決選投票を控えて市場予想は週間レポレートが8.5%で据え置かれるとの見方で衆目が一致している。
しかし、エルドアン大統領は再選された場合には利下げを行うと公言しており、専横的な政権運営により意に沿わない中銀総裁を繰り返し解任して中銀の独立性を損なってきたことを踏まえれば、再選後に利下げへ踏み込む可能性が高いと思われる。
与党AKP内部ではエルドアン政権によるこれまでの「高インフレ進行を利下げで抑制する」という主要国の定石に反した政策思想やリラ防衛のために非公式市場介入を繰り返して外貨準備高を減少させてきたことに対する修正を行うべきとの議論もあるようだが、エルドアン大統領に逆らう動きには至らないと思われる。
既に市中の外貨両替では1ドル20リラを超えており、極端なシナリオでは年末に1ドル30リラへ暴落する可能性を指摘する声もある。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月22日深夜に7円へ迫る反騰となったために23日午前時点では22日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日朝から26日朝にかけての間への上昇を想定した。
5月23日午後の一時的急落で付けた安値を除けば6.95円以上を維持していたために24日午前時点ではまだ上昇余地ありとしたが、25日早朝へ高値を切り上げているので上昇継続中とみる。ただし、6.93円割れからは弱気サイクル入りとして25日の日中から29日昼にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では5月25日早朝への上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンからの転落を回避して反騰しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、次に遅行スパンが悪化するところからは戻り一巡による下落期入りを疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5月24日午後から夜にかけて40ポイント台を中心に推移していたところから60ポイント台到達へ上昇しているので70ポイントを目指す上昇余地ありとみるが、次に50ポイントを割り込むところからは下落期入りを疑い40ポイント割れを試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.95円を下値支持線、7.02円を上値抵抗線とする。
(2)6.95円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.01円超えからは7.03円前後への上昇を想定する。7.03円以上は反落注意とするが、6.95円を上回っての推移なら26日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)6.93円割れからは下落期入りとみて6.90円、6.88円を順次試す下落を想定する。6.90円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、6.93円を割り込んでの推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
5月25日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 8.5%)
20:30 週次 外貨準備高 5/19時点 グロス (5/12時点 608.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 5/19時点 ネット (5/12時点 23.3億ドル)
5月26日
17:00 4月 海外観光客数 前年比 (3月 12.32%)
5月28日 大統領選挙第二回投票
注:ポイント要約は編集部
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