ドル円見通し 139円台到達、昨年10月天井からの下げ幅に対し凡そ半値を戻す(23/5/25)

ドル円は5月23日夜高値で138.90円を付け、1月16日安値127.22円以降の高値を更新。

ドル円見通し 139円台到達、昨年10月天井からの下げ幅に対し凡そ半値を戻す(23/5/25)

ドル円は5月23日夜高値で138.90円を付け、1月16日安値127.22円以降の高値を更新

〇ドル円、米国追加利上げの可能性が高まりドル高優勢、5/25早朝139.47へ年初来高値を伸ばす
〇一連のFRB関係者らの発言、FOMC議事録により、6月は利上げ停止が濃厚ながら利上げの可能性残す
〇インフレの鈍化無く、新たな信用不安の拡大が解消されれば7月会合で再利上げの可能性が高まる
〇米10年債利回りは5/12から7連騰後反落するも、5/24は反騰し上昇基調の継続感強まる
〇NYダウは債務上限問題と利上げ継続への懸念から4営業日続落、ナスダック総合指数も続落
〇139.50超えからは140円台を目指す上昇を想定
〇138.50割れからは24日午後安値138.22試し、底割れからは下落期入りか

【概況】

ドル円は5月23日夜高値で138.90円を付け、5月19日早朝高値138.74円を超えて1月16日安値127.22円以降の高値を更新。し、138円台序盤までで確りする持ち合いで推移していたが、24日はウォラーFRB理事による追加利上げ支持発言や25日早朝のFOMC議事要旨で追加利上げを支持する参加者も見られたことからドル高優勢となり、25日早朝には139.47円へ年初来高値を伸ばした。昨年10月21日高値151.94円から今年1月16日安値までの下げ幅は24.73円であり、その半値戻しが139.58円にあるが、ほぼ持ち直してきた格好だ。
3月8日と5月2日の両高値によるダブルトップラインを超えたことで1月16日安値を起点とした上昇は二段上げに発展しており、3月8日までの一段目の上昇と同規模なら140.33円が上値計算値となるが、半値戻しを超えれば140円台への期待感も増すところと思われる。

5月25日朝には格付け大手フィッチ・レーティングスが米国の長期外貨格付けを「AAA」で据え置いたものの見通しを「ネガティブ・ウオッチ」としたことで一時ドル安反応となり、ドル円は138.87円へ反落したものの早々に139円台前半へ切り返しており、米連邦債務上限問題が合意に至らないことによるリスク回避感も抱えつつもドル高円安基調は継続している印象だ。

【FOMC議事録、追加利上げ支持の参加者もあり見解分かれる】

5月25日早朝に発表された米連邦準備制度理事会(FRB)による5月2日と3日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表された。当該FOMCではインフレ低下が進展しないために一部の参加者は「今後の会合」で追加利上げは妥当との見方を示したが、一方では追加利上げが必要なくなる可能性もあると主張する者もあり、利上げ継続か停止かの見解が分かれていたことが示された。
5月FOMCでは0.25%利上げが決定されたが、従来までの「追加の金融引き締めが適切」との文言が声明文から削除されたために利上げ停止と早期の利下げ再開期待が強まったものの、パウエルFRB議長がFOMC後の会見で「利上げ停止を決定したわけではない」として追加利上げに含みを持たせていた。
FOMC参加者は「インフレが受け入れられないほど高い」との見解では一致しているが、これまでの利上げの影響による景気減速や、米銀破綻の影響による与信基準の厳格化を踏まえれば追加利上げがどの程度適切かについては「不確か」との認識を示していた。 

パウエルFRB議長は5月19日に利上げ停止に含みを持たせる発言を行ったことでドル安を招いていたが、その後は地区連銀総裁らが追加利上げ支持姿勢を示し、6月と7月に0.25%ずつの利上げを行う可能性もあるとのタカ派発言もみられたことで米長期債利回りは5月12日からの上昇を継続して為替市場はドル高感が強まってきた。
5月24日にはFRBのウォラー理事が「インフレは依然として高すぎる」とし、米銀破綻をきっかけとした与信条件の厳格化の影響の懸念を踏まえて「6月のFOMCで利上げをいったん見送った場合でも与信がそれほど厳格化しないなら7月会合で利上げするのが適切」と述べた。
一連のFRB高官と地区連銀総裁らの発言及びFOMC議事録により、6月は利上げ停止が濃厚なものの利上げされる可能性が残り、インフレの鈍化が見られず、新たな信用不安の拡大が無ければ7月会合で再利上げされる可能性が高まってきたと思われる。

【米10年債利回りは上昇、NYダウは4営業日続落】

ウォラーFRB理事発言やFOMC議事要旨による追加利上げ観測が強まる中で5月24日の米長期債利回りは総じて上昇した。指標の10年債利回りは前日比0.05%上昇の3.75%となった。5月12日から22日まで7連騰の上昇となり、23日も一時は3.76%まで続伸してからの反落で8営業日ぶりの低下となっていたが、24日の反騰により上昇基調の継続感が強まった。
利上げに敏感な2年債利回りは0.05%上昇の4.38%となった。5月12日から22日へ7連騰となり、23日に4.42%まで高値を伸ばしてから失速して前日比変わらずとしていたが、24日は4.25%までいったん低下してからの切り返しで上昇している。
債務上限問題が合意に至らず一時的なデフォルト懸念が続いていることにより、米財務省が資金ショートした場合には短期債が償還されないリスクもあると警戒されており、1か月物財務省短期証券も5.892%を付けて過去最高を更新している。

米債務上限問題では24日も協議が開催されたものの進展は見られていない。デフォルト発生直前には合意されると思われるが、ギリギリの攻防が続くことと、来年の大統領選挙へ向けて共和党が強硬姿勢を続ける可能性もあると注意したい。
NYダウは債務上限問題と利上げ継続への懸念から前日比255.59ドル安と下落して4営業日続落、ナスダック総合指数も76.09ポイント安と続落した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】 

【60分足一目均衡表・サイクル分析】 

ドル円は5月19日深夜に急落したものの22日午前に安値更新を回避したところを起点として上昇再開に入り25日早朝へ高値を伸ばしてきた。5月19日高値を起点とすれば目先の高値形成期は26日午前にかけてと想定されるが、24日午後まで138円台の持ち合いを入れてから一段高しているため、24日午後安値を起点とした上昇とすれば目先の高値形成期が30日夜にかけて延びる可能性もあると注意する。
弱気転換は24日午後安値割れからとし、その際は29日午前にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月24日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンへ潜り込んだところから上抜けてきているので、遅行スパン好転中の高値試し優先とする。弱気転換は先行スパンから転落するところからとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月24日午後の40ポイント台から70ポイント到達へ戻しているのでまだ上昇余地ありとし、上昇が勢い付く場合は80ポイントを目指す可能性もあるとみるが、45ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、138.50を下値支持線、139.50を上値抵抗線とする。
(2)139円台を維持するか一時的に割り込んでも138円台後半から切り返すうちは上昇余地ありとし、139.50円超えからは140円台を目指す上昇を想定する。140円手前は反落注意とするが、139円以上での推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)138.50円割れからは24日午後安値138.22円試しとし、底割れからは下落期入りとみて137円台後半への下落を想定する。

【当面の主な予定】

5/25(木)
15:00 (独) 1-3月期 GDP季調済・改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP季調前・改定値 前年同期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
15:00 (独) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -25.7、予想 -24.0)
21:30 (米) 1-3月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 1.1%、予想 1.1%)
21:30 (米) 1-3月期 個人消費改定値 前期比年率 (速報 3.7%、予想 3.7%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCEデフレーター改定値 前期比年率 (速報 4.9%、予想 4.9%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.2万件、予想 24.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 179.9万人、予想 180.0万人)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前月比 (3月 -5.2%、予想 1.0%)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前年同月比 (3月 -23.3% 予想 -20.1%)

5/26(金)
休場 香港
08:30 (日) 5月 東京区部消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (4月 3.5%、予想 3.4%)
08:50 (日) 4月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (3月 1.6%、予想 1.4%)
10:30 (豪) 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.4%、予想 0.3%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前月比 (3月 -0.9%、予想 0.3%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 -3.1%、予想 -2.7%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前月比 (3月 -1.0%、予想 0.4%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (3月 -3.2%、予想 -2.8%)

21:30 (米) 4月 個人所得 前月比 (3月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 4月 PCE(個人消費支出) 前月比 (3月 0.0%、予想 0.4%)
21:30 (米) 4月 PCEデフレーター 前年同月比 (3月 4.2%、予想 4.3%)
21:30 (米) 4月 PCEコアデフレーター 前月比 (3月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 4月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (3月 4.6%、予想 4.6%)
21:30 (米) 4月 卸売在庫 前月比 (3月 0.1%、予想 0.1%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注 前月比 (3月 3.2%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (3月 0.3%、予想 0.0%)
23:00 (米) 5月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 57.7、予想 58.0)

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る