ウォラーFRB理事によるタカ派発言を受けて半年ぶり高値を更新。節目139円も突破
〇ドル円、米国時間午後にかけ一時139.39まで急伸
〇欧米株の下落からのリスク回避のドル買い、FRB高官のタカ派発言、米金利上昇が背景
〇米債務上限問題、昨日は進展見られず、デフォルトへの危機感強まる
〇ユーロドル、欧州指標不冴え、欧州債利回り低下等に一時1.0748まで軟化
〇米FOMC議事要旨、参加者が追加利上げの必要性がそれほど確かではなくなったことに概ね同意との内容
〇ドル円、テクニカルの地合いの強さ継続、昨年高値からの下落の半値戻し139.58を上抜けられるか注目
〇ファンダメンタルズもドル円相場の上昇材料揃う、米債務上限問題解決すればドル円の一段高も
〇本日の予想レンジ:138.50ー140.00
海外時間のレビュー
24日(水)のドル円相場は大幅続伸。(1)日経平均株価の軟調推移や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)急ピッチな上昇に伴う反動売りが重石となり、アジア時間午後にかけて、安値138.23まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)欧米株の冴えない動き(リスク回避のドル買い圧力)や、(5)ウォラーFRB理事による「今後のデータは6月の利上げを裏付ける可能性がある」「6月利上げを見送り7月に利上げを検討する可能性もある」とのタカ派的な発言、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(7)心理的節目139.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値139.38(昨年11/30以来、約半年ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/25午前3時40分現在)では、139.05前後で推移しております。尚、昨日はイエレン米財務長官より「財務省は6/1にも現金使い切る可能性がある」との発言が見られた他、米共和党交渉担当者の1人であるグレイブス下院議員からも「バイデン政権との債務上限問題を巡る交渉について進展はない」との発言が見られました。
24日(水)のユーロドル相場は冴えない動き。(1)ドイツ5月Ifo企業景況感指数(結果91.7、予想93.0)の市場予想を下回る結果や、(2)ドイツ5月Ifo期待指数(結果88.6、予想91.6)の冴えない結果、(3)欧州経済の先行き不透明感、(4)欧州株の冴えない動き、(5)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0748(←訂正×1.0848)まで下落しました。その後は、ショートカバー主導で、一時1.0802まで持ち直す場面も見られましたが、すぐに反落に転じると、(6)ウォラーFRB理事によるタカ派的な発言や、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(8)米主要株価指数の冴えない動き(リスク回避のドル買い圧力)、(9)新型コロナウイルス感染再拡大に伴う中国経済の減速懸念が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5/25午前3時40分現在)においては、1.0763前後での上値の重い展開が続いております。尚、昨日発表された米FOMC議事要旨(5/2ー5/3開催分)では、米FRB当局者が「追加利上げの必要性がそれほど確かではなくなったことに概ね同意したこと」が明らかとなりましたが、ドル売りでの反応は限定的となっております。
本日の見通し
ドル円は心理的節目139.00の上抜けに成功すると、一時139.38(昨年11/30以来、約半年ぶり高値圏)まで上昇しました。日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイントの上側で推移している他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」「強気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっています。目先は昨年10/21高値151.95と本年1/16安値127.22を結んだフィボナッチ半値戻しが位置する139.58を上抜けられるか否かに注目が集まります。同水準の上抜けに成功する場合は、心理的節目140.00や、昨年11/21高値142.27が射程圏内に入ってきます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる年内利下げ観測の後退(ミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「FRBはさらに利上げしなければならないかもしれない」との発言に続いて、昨日はウォラーFRB理事からも「今後のデータは6月の利上げを裏付ける可能性がある」とのタカ派的な発言あり→米FRBによる金融引き締め打ち止め観測後退→米金利上昇→米ドル買い)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は先週末金曜日に金融緩和の修正に対して慎重なスタンスを維持していることを強調)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開期待(日米10年債の利回り格差は、ドル円が年初来安値127.22を記録した1/22時点の302bpから、現在は333bpに急拡大中)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
米債務上限問題に絡む不確実性が燻っていますが、過去一度もデフォルトに陥ったことが無いことや、これまでに102回の上限引き上げが実行されてきたこと等を踏まえると、今回も最終的に決着する可能性が高いと予想されます。同問題が解決されれば、悪材料出尽くし感(あく抜け感)から米株上昇が見込まれるため、リスク選好の円売りも相俟って、ドル円が一段と上値を伸ばすシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米1ー3月期GDP改定値や、米4月シカゴ連銀全米活動指数、米新規失業保険申請件数、米4月中古住宅販売成約指数、ボストン連銀コリンズ総裁発言、米5月カンザスシティ連銀製造業活動指数、米7年債入札などが予定されております。
本日の予想レンジ:138.50ー140.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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