ユーロ上昇への転換する動きは鈍そう
〇先週のユーロドル、週間レンジはドル円の半分以下144pipsに留まる
〇金利差からユーロが強く、円が弱い、ドルは中立、日本株上昇でユーロ円はさらに買いが強まる
〇先週金曜149.80レベルまでユーロ円上昇、今後もユーロドルの下支えとなるか
〇150円の大台乗せの可能性高く、テクニカルには5月高値と安値の78.6%戻し150.43がターゲット
〇今週はECB関係者の発言多く、PMI速報値、英国CPI等が注目材料
〇ユーロドルは1.0730レベルをサポートに、1.0890レベルをレジスタンスとするレンジと見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、ドル高の動きがユーロ売りの動きとなるいっぽうで、日本株上昇とともに円売りの動きがユーロ円でも見られたことがユーロの動きを相殺し週間レンジはドル円の半分以下、144pipsに留まりました。金曜東京まではユーロ売りが続きましたが、ECB総裁がタカ派な発言をしたこと、債務上限問題が難航していることをきっかけに、それまでの下げが反転する動きになってきました。
FRB関係者からもタカ派な発言は出ていたものの、次回6月FOMCでは現状維持がコンセンサスとなっていますが、ECB理事会では0.25%の利上げが見込まれていて、今後の金利差の面からはユーロが強く、円が弱い、ドルは中立という見方となります。そこに日本株上昇が加わったことでユーロ円は金曜に149.80レベルまで買いが強まりましたが、今後もユーロ円がユーロドルを下支えすることとなりそうです。
今週はECB関係者の発言が多く、またPMI速報値、英国CPIといったあたりが注目材料となりますが、結果次第ではこれまで以上にタカ派なスタンスになる可能性もあり、発言とともに注意が必要です。ただ先週も書いた通りですが、シカゴ通貨先物のユーロ買いポジションが前週の179,422枚から187,089枚へと更に増えています。材料的にユーロ買いに動いている投機筋が実際に多いということを示していますので、既に反転した可能性は高いものの上昇ペースは鈍くなってくるでしょう。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
先週安値は若干達成感に弱く、3月安値と4月高値との61.8%押し1.0737(赤のターゲット)までの下げはあるかもしれませんが、それでも安値圏にかなり近い水準まで下がったと見ています。いっぽうで戻しは4月高値と5月安値の38.2%戻しとなる1.0887(青のターゲット)が参考になります。
値幅的に狭い感じもしますが先週のレンジも似たようなものですから、今週は1.0730レベルをサポートに1.0890レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートをご覧ください。
金曜高値は149.80と150円の大台にわずかに届かずでしたが、金利差の拡大が今後も進むことを考えるとユーロ円の買いがもっともワークするであろうという見方は今後も続きそうです。
今週は一度は大台乗せを見る可能性が高く、テクニカルには5月高値と安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しとなる150.43がターゲットとなります。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
5月22日(月)
18:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏3月建設支出
20:30 オーストリア中銀総裁講演
23:00 ユーロ圏5月消費者信頼感速報値 ☆
23:15 レーンECB理事講演 ☆
23:15 フランス中銀総裁講演
26:30 スペイン中銀総裁講演
5月23日(火)
16:15 フランス5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:15 デギンドスECB副総裁講演 ☆
16:30 ドイツ5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
26:50 ドイツ連銀総裁講演 ☆
5月24日(水)
15:00 英国4月CPI ☆
17:00 ドイツ5月ifo企業景況感
22:00 英中銀総裁講演 ☆
27:00 FOMC議事録公表 ☆
5月25日(木)
15:00 ドイツ1〜3月期GDP改定値
15:00 ドイツ6月GFK消費者信頼感
15:45 フランス5月企業景況感
5月26日(金)
15:00 英国4月小売売上高
15:45 フランス5月消費者信頼感
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
5月15日(月)
明けのユーロドルは小動きで終日のレンジが46pipsに留まりました。東京朝方に1.0845レベルと金曜安値をわずかに下回ったもののその後はじり高の動きで終わりました。
5月16日(火)
ユーロドルはドル円がじり安となる動きとともに東京から欧州前場までは底堅く、その後は上値も重くなりNY市場ではドル買いの動きから下げる動きとなりました。ただ終日のレンジは50pipsに留まり次の材料待ちという展開でした。
5月17日(水)
ユーロドルは全般的なドル高の影響を受け上値が重たい展開が続きましたが、いっぽうで円安によるユーロ円の買いがユーロの動きを相殺し、1.0810レベルまで下押し後にやや戻しての引けとなりました。
5月18日(木)
ユーロドルでもドル円同様にドル高が強まった結果、ユーロ売りが続きNY市場では1.0762レベルまで下値を広げ、安値圏でもみあいのまま引けました。
5月19日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場ではラガルドECB総裁がタカ派な発言をしたことからユーロ買い、NY市場ではやや押したもののドルの動きとしてはドル売り(ユーロ買い)、いっぽうでリスクオフの動きからユーロ円では売りも出たことで方向感がはっきりしない週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.11.25
ドル円週間見通し リスク回避的円高とユーロ安等によるドル高で板挟み(24/11/25)
11月15日高値156.74円から11月19日安値153.28円まで失速した後は、153円台へ下げたところを買われつつ155円台後半で売られるやや乱調な騰落を続けている。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:橋本 光正
2023.05.23
ユーロ圏・米国の5月PMI景況指数速報値の予想(23/5/23)
日本時間2023年5月23日16時15から順次発表予定です。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。