トルコリラ円見通し 大統領選挙は決選投票に、先行き不安でリラ売り、トルコ株価指数急落(23/5/16)

トルコリラ円の5月15日終値は6.91円、先週末終値の6.93円からは0.02円の円高リラ安だった。取引レンジは概ね6.96円から6.90円。

トルコリラ円見通し 大統領選挙は決選投票に、先行き不安でリラ売り、トルコ株価指数急落(23/5/16)

大統領選挙は決選投票に、先行き不安でリラ売り、トルコ株価指数急落

〇トルコリラ円、大統領選挙開票を見ながらもドル円を追いかける展開、5/15昼過ぎ6.96へわずかに上昇
〇その後ドル円の上げ渋りとドル高リラ安に圧迫されて、5/16早朝にかけては軟調推移となり6.90を試す
〇ドル/トルコリラ、5/15の取引レンジは概ね19.69から19.42、リラ売りが一段と加速
〇5/15は19.69へ取引時間中の史上最安値をさらに更新、終値ベースでも史上最安値更新
〇トルコ大統領選挙、候補者の得票率が50%に届かず5/28に決選投票となる
〇6.92以下での推移中は下向きとし、6.88割れからは6.85前後への下落を想定する
〇6.92超えからは、6.95を目指す上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の5月15日終値は6.91円、先週末終値の6.93円からは0.02円の円高リラ安だった。取引レンジは概ね6.96円から6.90円。
ドル円は5月11日夜安値133.74円からの反騰を継続して15日には136円台序盤へ上昇し、5月2日高値137.76円から5月5日未明安値133.46円までの下落幅に対して3分の2を戻したが、15日夜以降は上昇一服に入り136円を挟んだ揉み合いとなっている。
トルコリラ円は大統領選挙開票を見ながらもドル円を追いかける展開で、5月11日夜安値6.83円からの反騰を継続して13日未明には6.95円へ上昇し、15日昼過ぎには6.96円までわずかに高値を伸ばしたが、ドル円の上げ渋りと大統領選挙混迷によるドル高リラ安に圧迫されて16日早朝にかけては軟調推移となり6.90円を試している。
当面のドル売り材料を消化したとしてドル円は反騰してきたが、さらに続騰してゆくには手掛かり不足であり、ドル高リラ安の進行懸念もあるため、トルコリラ円としては6.90円を割り込むと下向きのバイアスがかかりやすくなると注意したい。

【政局混迷不安でリラ安進行、取引時間中の最安値を更新】

ドル/トルコリラの5月15日終値は19.65リラ、先週末終値の19.56リラからは0.09リラのドル高リラ安だった。取引レンジは概ね19.69リラから19.42リラ。
トルコ大統領選挙を巡ってエルドアン政権が継続しても政権交代となっても金融政策の転換や混乱による先行き不透明感が増すとしてドル高リラ安が勢いを増してきたが、大統領選挙が5月28日の決選投票へもつれ込むこととなったためにリラ売りが一段と加速した。
手元の手元のデータでは取引時間中の史上最安値は5月12日に19.67リラへ更新されてきたが、15日は19.69リラへさらに更新、終値ベースでは5月12日終値19.56リラを超えて15日は19.65リラへ最安値を更新した。
5月16日午前も19.62リラから19.69リラの水準で最安値更新を試している。

5月15日に発表されたトルコの4月財政収支は1324.7億リラの赤字となり、3月の472.2億リラから大幅に悪化した。今年2月に1705.6億リラで過去最大の赤字としたが、2021年からは月次収支が上下に大きく振れて乱調で不安定な状況にあり、昨年12月からは5か月連続の赤字となり財政悪化への懸念が強まっている。

【トルコ大統領選挙、5月28日に決選投票】

トルコ公共放送TRTWORLDによると、5月14日に実施されたトルコ大統領選挙は開票率99.87%で現職のエルドアン大統領が49.50%。野党統一候補のクルチダルオール氏が44.89%でともに50%に届かず、トルコ選管は5月28日に第二回の決戦投票を行うと発表した。両候補以外の得票率は5.61%であり、決選投票へ向けて反エルドアン陣営が巻き返せるのか、エルドアン陣営が優勢を維持して過半数を得るのか微妙な情勢だ。
総選挙(一院制)では大統領の与党AKPが267議席で単独過半数には至らなかったが極右民族主義政党などの55議席を合わせた連立で322議席となり過半数を保った。クルチダルオール氏の野党CHPは169議席だった。

大統領選挙が決戦投票となったことによりトルコ株式市場は先行き不透明感で前日比6.14%安と急落した。エルドアン大統領再選となれば高インフレとリラ安が続き経済が行き詰まる懸念が強まり、政権交代となった場合にはエルドアン政権の非正統的な経済政策が打ち切られてトルコ中銀の独立性が回復し、リラ防衛への市場介入が手控えられてインフレ抑制への利上げに入る可能性があるが、金融政策の大転換となるために混乱を招くと思われる。いずれにしても「失われた1年になる」との見方が強いようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月11日夜安値を直近のボトムとした強気サイクル入りとして15日午後から17日午後にかけての間への上昇を想定したが、15日昼高値からの反落で6.90円まで下げているため、15日昼高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りとして16日夜から18日夜にかけての間への下落を想定する。
5月16日の上値抵抗線は6.93円までとし、強気転換は15日昼高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では5月16日朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込んできているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まると警戒する。遅行スパン好転からは上昇再開とみるが、15日高値を超えないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とする。

60分足の相対力指数は5月13日未明に70ポイント到達へ上昇したものの15日昼への高値切り上げに際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行となり、16日午前には40ポイントまで低下している。50ポイント以下での推移か一時的に50ポイントを超えても維持できないうちは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。強気転換は55ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.88円を下値支持線、6.92円を上値抵抗線とする。
(2)6.92円以下での推移中は下向きとし、6.88円割れからは6.85円前後への下落を想定する。6.85円以下は反騰注意とするが、6.90円以下での推移が続く場合は17日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.92円超えからは6.95円を目指す上昇を想定するが、6.93円から6.95円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月18日
 20:30 週次 外貨準備高 5/12時点 グロス (5/5時点 684.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 5/12時点 ネット (5/5時点 67.8億ドル)
5月19日
 トルコ大統領選挙と国会議員選挙の最終結果発表
5月22日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 87.5)
5月25日 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 8.5%)
5月28日 大統領選挙第二回投票



注:ポイント要約は編集部

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