6.90円台前半の揉み合い続く、ドル高リラ安は継続中
〇トルコリラ円、米雇用統計後ドル円と共に戻し、6.90割れ回避しつつ6.94前後は戻り売りにつかまる
〇ドル円追う展開継続だが、ドル高リラ安進行に圧迫されてドル円程には戻せず
〇対ドル、19.50リラ台序盤の最安値近辺での推移続き、5/10午前序盤は19.53ー19.52近辺で推移中
〇今夜の米4月CPI発表でドル円と共に上昇再開感が強まるか試される
〇6.90を上回るうちは上昇余地あり、6.95超えからは6.97前後への上昇を想定
〇6.90割れからは戻り一巡による下落期入りとみて6.87、6.85を順次試してゆく流れとみる
【概況】
トルコリラ円の5月9日終値は6.92円、前日終値と変わらずだった。取引レンジは概ね6.94円から6.90円。
ドル高リラ安の進行を気にしつつもトルコリラ円はドル円を追いかける展開を継続している。
ドル円はFOMCを通過しながら5月2日高値137.76円から5日未明安値133.46円まで4.30円の大幅下落となったが、5日夜の米雇用統計をきっかけに持ち直し、5日夜以降は135円を挟んだ揉み合いで134円台後半を買われて確りしつつ、戻り高値は8日午前の135.29円から9日夜の135.35円へとわずかに切り上げて5月2日からの下げ幅に対する半値戻しラインの135.61円へ徐々に迫っている。
トルコルラ円は5月2日早朝高値7.07円からドル円の下落に合わせて5日未明に6.85円まで安値を切り下げたが、米雇用統計後はドル円と共に戻し、ドル円が持ち合いに入るとトルコリラ円も6.90円台前半での持ち合いに入り、6.90円割れを回避しつつ6.94円前後では戻り売りにつかまり方向感に欠けている。5月2日から5日未明への下げ幅0.22円に対して戻りは6.94円までで戻り幅は0.09円で4割戻しにとどまっている。ドル円程には戻せていないのはドル高リラ安の進行に圧迫されているためと思われる。
【対ドルでは最安値近辺での推移続く】
ドル/トルコリラの5月9日終値は19.50リラで前日終値と変わらずだった。取引レンジは概ね19.53リラから19.49リラ。
3月序盤に発生した米銀破綻をきっかけとした信用不安に加えて5月14日のトルコ大統領選挙が近づく中、貿易収支や経常収支、財政収支の悪化傾向から抜け出せず、インフレが高止まりして外貨準備高も減少、選挙後の混乱への不安も徐々に高まりリラ売りが勢い付いている。
手元のデータでは5月2日に19.49リラ、3日と4日に19.50リラ、5日に19.53リラ、8日に19.57リラへと最安値を更新してきたが、9日も新たな安値更新には至らなかったものの19.50リラ台序盤で最安値近辺での推移を続けている。日足の終値ベースでは5月3日終値19.46リラ、4日終値19.49リラ、5日終値19.52リラへと3営業日連続で最安値を更新し、8日と9日は新たな安値更新を回避しているものの最安値近辺での推移が続いている。
5月10日午前序盤は19.53リラから19.52リラの近辺で推移している。
【今夜、米4月CPIの発表あり、ドル円と共に上昇再開感が強まるか試される】
今夜は米4月CPI(消費者物価指数)の発表がある。5月4日未明のFOMCでは0.25%利上げが決定されたものの従来まで繰り返されていた「追加の引き締めが適切」との文言が削除されたために発表直後は利上げの停止と早ければ7月の利下げも可能性ありと市場は受け止めたが、パウエル議長が利上げ停止を決定したわけではないと述べたことが引っ掛かり、5月5日夜の米雇用統計が強かったことで6月の利上げが見送られるとしても7月には再利上げの可能性もあるのではないかとの見方が浮上した。
米銀破綻による信用収縮への懸念とインフレの高止まりという二つの問題に加えて米連邦債務上限問題も暗礁に乗り上げていることからFOMCの判断も難しいところであり、今夜の米CPIが予想以上に高止まりするようなら追加利上げの可能性が優先されてドル円が上昇し、トルコリラ円も追従高へ進む可能性がある。逆に予想よりも伸びが鈍化すれば利上げ再開への懸念が後退してドル円と共にトルコリラ円が下落する可能性がある。
ドル円としては3月24日安値129.63円を起点とした底上げ基調を維持して5月2日からの下げ幅に対して過半を解消する上昇へ進むか、5月5日未明安値を割り込んで底上げ基調が崩れるのか試される。トルコリラ円としてはドル円の上昇と共に6.90円台後半から7円に迫る上昇へ向かえるのか、1月16日と3月24日のダブル底ラインから転落する流れへ進むのか試されるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月5日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして9日午後にかけての間への上昇を想定し、6.90円以上を維持するうちは一段高余地ありとしてきた。
5月9日の日中から10日午前序盤にかけても6.90円を下値支持線とした持ち合いの範囲で推移しているところだが、既に前回サイクルトップから5日を経過しているので5月8日午前高値を直近のサイクルトップ、9日夜安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りと仮定し、9日夜安値割れを回避するうちは12日午前から16日午前にかけての間への上昇を想定するが、9日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして12日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では持ち合い商状が続いているので方向感に欠けるが、先行スパンからの転落を回避するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパン転落からは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5月5日夜からの持ち合い中に指数のピークが切り下がっているが、50ポイントを挟んで40ポイントから60ポイント手前までのレンジで推移しているため、60ポイント超えからは上昇継続とみて70ポイントを目指す上昇を想定し、40ポイント割れからは下落期入りとして20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.90円を下値支持線、6.95円を上値抵抗線とする。
(2)6.90円を上回るうちは上昇余地ありとし、6.95円超えからは6.97円前後への上昇を想定する。6.97円以上は反落注意とするが、6.92円を上回っての推移なら11日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.90円割れからは戻り一巡による下落期入りとみて6.87円、6.85円を順次試してゆく流れとみる。6.85円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、6.90円以下での推移なら11日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
5月10日
16:00 3月 失業率 (2月 10.0%)
16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 -6.0%)
16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 -8.2%、予想 -1.45%)
5月11日
16:00 3月 経常収支 (2月 -87.83億ドル、予想 -52.04億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 5/5時点 グロス (4/28時点 684.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 5/5時点 ネット (4/28時点 63.6億ドル)
5月12日
16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 -6.5%)
16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 21.5%)
5月14日
トルコ大統領選挙・総選挙(現地午後11時59分に大統領選挙の暫定結果発表)
注:ポイント要約は編集部
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