トルコリラ週報:『約1カ月半ぶり高値圏から急反落。注目の大統領選まで残り1週間』(5/6朝)

トルコリラの対円相場は5/2に記録した約1ヵ月半ぶり高値7.11円をトップに反落に転じると、週後半にかけて、一時6.85円まで急落しました。

トルコリラ週報:『約1カ月半ぶり高値圏から急反落。注目の大統領選まで残り1週間』(5/6朝)

『約1カ月半ぶり高値圏から急反落。注目の大統領選まで残り1週間』

〇トルコリラ円、7.11まで上昇後、週後半にかけて安値6.85まで下落
〇米国金融不安からのリスク回避の円買い、トルコ指標の悪化、大統領選を控えた警戒感が重石に
〇テクニカルには主要テクニカルポイントを軒並み下抜け、地合いの悪化を印象付けるチャート形状
〇ただし、基本的にはドル円に同調した「後追い相場」の範囲内
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.75ー7.05

今週のレビュー(5/1−5/5)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初7.01円で寄り付いた後、(1)対主要通貨での円売り圧力(4/28に開催された日銀金融政策決定会合で追加緩和の修正見送りが決定→円キャリートレード再開→ドル円・クロス円上昇→トルコリラ円連れ高)や、(2)トルコ4月製造業PMI(結果51.5、前回50.9)の良好な結果が支援材料となり、翌5/2にかけて、週間高値7.11円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)米国で広がる金融システム不安(米ファースト・リパブリック銀行の経営破綻に続き、米パックウエスト・バンコープや米ウェスタン・アライアンス・バンコープでも身売り検討報道→米金融機関の連鎖破綻懸念)や、(4)上記3を背景とした世界的なリスク回避ムード(市場心理悪化→リスク回避の円買い圧力)、

(5)トルコ大統領選(5/14開催予定)を控えた警戒感が重石となり、週後半にかけて、週間安値6.85円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/6午前1時15分現在)では、6.91円前後で推移しております。尚、今週発表されたトルコ4月消費者物価指数(結果+43.68%、予想+44.10%)および、トルコ4月消費者物価コア指数(結果+45.48%、予想+45.40%)は強弱まちまちの結果となった為、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(5/8−5/12)

トルコリラの対円相場は5/2に記録した約1ヵ月半ぶり高値7.11円をトップに反落に転じると、週後半にかけて、一時6.85円まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表雲上限、一目均衡表雲下限、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、90日移動平均線、21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。とはいえ、トルコリラ円そのものに主体性は見られず、あくまでドル円に同調した「後追い相場」の範囲内に留まっています(※トルコ政府・トルコ当局による資本規制・為替介入によってトルコリラの対ドル相場がレンジ内で固定されているため、トルコリラ円の動きはドル円相場に同調)。

但し、こうした政府・当局によって制御された動きも5/14に予定されているトルコ大統領選挙を境に解消される(対ドル相場のボラティリティ抑制策が撤廃される)との見方が優勢となりつつあります。対ドル相場のボラティリティ抑制策が撤廃されれば、対ドルでのトルコリラ急落がトルコリラ円の急落に波及し、2021年12月21日に記録した史上最安値6.17円を下回るシナリオも警戒されます。事実、通貨オプション市場では大統領選挙後のトルコリラのインプライドボラティリティが高騰するなど、相場急変への警戒感が極度に高まっています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週は大統領選前のため、ドル円相場に同調した動きが続くと予想するものの、5/15週以降はトルコリラ円相場が主体的に下落するシナリオを想定)。尚、来週はトルコ3月雇用統計、トルコ3月鉱工業生産、トルコ3月経常収支などが予定されています。

来週の予想レンジ(TRYJPY):6.75ー7.05

注:ポイント要約は編集部

『約1カ月半ぶり高値圏から急反落。注目の大統領選まで残り1週間』

トルコリラ円日足

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