『リスクオフ再燃で1週間ぶり安値圏へ急落。続落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、7.50まで上昇後週後半にかけ7.28まで反落
〇世界的リスク回避ムードからの南ア株安、プラチナ価格の軟調等が背景
〇南ア円、主要テクニカルポイントを下抜けてテクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズ的に見ても、南ア政治・経済の先行き不安等が南アランドの重石に
〇南アランド円相場の弱気見通しを継続
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.15ー7.45
今週のレビュー(5/1−5/5)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.44円で寄り付いた後、(1)対主要通貨での円売り圧力(4/28に開催された日銀金融政策決定会合で追加緩和の修正見送りが決定→円キャリートレード再開→ドル円・クロス円上昇→南アランド円連れ高)や、(2)南ア4月製造業PMI(結果49.8、予想48.0)の良好な結果、(3)南ア4月Naamsa自動車販売(結果▲0.2%、予想▲1.0%)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、翌5/2にかけて、週間高値7.50円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米国で広がる金融システム不安(米ファースト・リパブリック銀行の経営破綻に続き、米パックウエスト・バンコープや米ウェスタン・アライアンス・バンコープでも身売り検討報道→米金融機関の連鎖破綻懸念)や、(5)上記4を背景としたリスク回避ムード再開(南ア株下落→南アランド下落)、(6)プラチナ価格の軟調推移(南アフリカの交易条件悪化懸念)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.28円(4/28以来、約1週間ぶり安値圏)まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/6午前1時15分現在)では、7.32円前後で推移しております。
来週の見通し(5/8−5/12)
南アランドの対円相場は、5/2に記録した高値7.50円をトップに反落に転じると、週末にかけて一時7.29円まで下落しました。この間、主要テクニカルポイント(90日移動平均線、21日移動平均線、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化(上値の重さ)を印象付けるチャート形状となりつつあります。一目均衡表雲下限を下抜けできれば、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するため、来週は「地合いの更なる悪化」に警戒が必要でしょう。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不安(深刻な電力不足を背景に南ア経済の下振れ懸念が増大)や、(2)南アフリカで広がるインフレ加速懸念(直近で発表された南ア3月消費者物価指数は市場予想を上回る結果→スタグフレーションリスクの再燃)、
(3)南ア中銀による追加利上げ観測(南ア中銀がインフレ抑制を優先して利上げに踏み切る場合、南ア経済にもう一段下押し圧力が加わる恐れ)、(4)南アフリカ国内の政局不透明感(与党アフリカ民族会議の支持率低下→南アフリカ国内の治安悪化懸念)、(5)南アフリカ国債の格下げリスク、(6)米国で広がる金融システム不安(今週は米ファースト・リパブリック銀行の経営破綻に続き、米パックウエスト・バンコープや米ウェスタン・アライアンス・バンコープで身売り検討のネガティブヘッドライン→世界的なリスクオフ再燃→新興国からの資金流出圧力)など、南アランドの下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の弱気見通しを継続いたします。尚、来週は南アフリカの経済イベントに乏しいことから、米地銀の連鎖破綻を巡るヘッドラインや、米インフレ指標に振らされる1週間となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.15ー7.45
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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