トルコリラ円見通し ドル円の続伸で3月24日以降の高値更新
〇トルコリラ円、ドル円の続伸を受け5/1も連騰となり、5/2早朝には7.07まで高値を伸ばす
〇5/2午前序盤は上昇一服感が見られるものの、7.06を挟んだ水準で高止まり
〇雇用統計へ向けた一連の重要指標の内容が強めだと、対ドルでのトルコリラ安が勢いを増す可能性
〇5/3発表のトルコ4月消費者物価、世界全体のインフレ鈍化傾向を反映し、低下の予想
〇7.04を上回るうちは上昇余地ありとし、7.07超えからは7.10前後への上昇を想定する
〇7.04割れからは、7.02前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の5月1日は概ね7.07円から6.99円の取引レンジ、2日早朝の終値は7.06円で先週末終値の7.01円からは0.05円の円安リラ高だった。
4月28日に日銀金融政策決定会合においてマイナス金利と長短金利操作(YCC)による長期金利許容変動幅上限を据え置き、従来からの金融緩和政策の検証を1年から1年半をかけて実施するとしたことで当面は金融緩和政策が継続して「異次元」からの出口へ向かう早計な修正はないとみて円の独歩安となり、ドル円は発表前安値133.36円から4月28日深夜高値136.55円へ3円を超える急伸となり、週明けの5月1日も午後に137円に迫ってから小反落したものの、米4月ISM製造業景況指数が予想を上回り米長期債利回りが上昇したことでドル高感が強まったために2日早朝には137.50円を超えた。
トルコリラ円はドル円を追いかけて4月28日安値6.86円から28日深夜高値7.02円へ急伸したが、5月1日も連騰となり2日早朝には7.07円まで高値を伸ばした。
5月2日午前序盤はドル円が連騰一服でやや下げており、トルコリラ円も上昇一服感が見られるものの7.06円を挟んだ水準で高止まりしている。
5月2日夜には3月の米JOLTS求人件数、3日夜はADP米民間雇用報告とISMサービス業景況指数、4日未明にFOMC、4日夜にECB理事会、5日は米4月雇用統計と続く。ドル円は日銀現状維持からの円安ドル高基調を継続して3月8日高値137.91円に迫ってきた状況からさらに一段高へ進むのか、いったん仕切り直しの調整安に入るのか試されるところであり、トルコリラ円も3連騰からさらに高値を伸ばせるのか試される局面だ。
【5月3日のトルコ4月消費者物価は鈍化傾向か】
5月4日未明のFOMCでは0.25%利上げがほぼ確実視しているものの、6月のFOMCでも追加利上げの可能性が若干あると市場はみており、米雇用統計へ向けた一連の重要指標の内容が強めでインフレの高止まり感が強まるようだとドル高反応が勢いを増す可能性がある。その際にはドル円の上昇と共に対ドルでのトルコリラ安も勢いを増す可能性がある。また上昇一服中のユーロがECB理事会等を通過して上昇するようだとユーロ/トルコリラでのリラ安が進行することも考えられる。
5月3日にはトルコの4月消費者物価上昇率の発表もある。消費者物価上昇率については全体の前月比が3月の2.29%から2%弱へ低下する可能性があり、前年比は3月の50.51%から50%を切るのではないかとみられているようだ。あくまでも世界全体のインフレが高止まり傾向にはあるものの鈍化してきていることを反映したものであり、トルコリラが史上最安値を繰り返し更新していることによる通貨インフレが主要国と比較すればハイパーインフレ並みの上昇率となっている実情は変わらないと思われる。
5月5日には週次の外貨準備高の発表もあるが、リラ防衛のための市場介入により外貨準備高の減少が顕著となっていることもリラ安要因であり、今週も外貨準備高減少ならリラ売りも勢い付きかねないと注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月26日夜安値から下げ渋りとなったために27日午前時点では6.90円超えからは強気サイクル入りとし、27日夜高値で6.90円に到達したために28日午前時点では26日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクルとし、サイクルトップ形成期を5月1日夜にかけての間とした。
4月28日の急伸から5月2日早朝へ続騰しているのでサイクルトップ形成期の延長入りによる上昇中とみるが、連騰に対する反動安にも注意のいるところとみて7.04円割れを弱気転換注意とし、7.02円割れからは弱気サイクル入りとして5月2日の日中から3日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月28日の急伸で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし連騰に対する反動安への懸念もあり、相場が高値更新へ進めないと遅行スパンが悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とする。ただし、7.02円以上を維持するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とする。
60分足の相対力指数は4月28日夜から5月2日早朝への高値更新に際して指数のピークが70ポイント台後半でフラットとなる弱気逆行の気配がみられるので、60ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとするが、60ポイント割れからは40ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.04円を下値支持線、7.07円を上値抵抗線とする。
(2)7.04円を上回るうちは上昇余地ありとし、7.07円超えからは7.10円前後への上昇を想定する。7.10円以上は反落警戒とするが、7.04円以上を維持しての推移なら3日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.04円割れからは7.02円前後への下落を想定する。7.02円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は7.00円前後試しへ下値目途を引き下げる。また7.03円以下での推移なら3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
5月2日
16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 50.9)
5月3日
16:00 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 2.29%)
16:00 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 50.51%)
16:00 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 0.44%)
16:00 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 62.45%)
5月5日
20:30 週次 外貨準備高 4/28時点 グロス (4/21時点 668.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 4/28時点 ネット (4/21時点 82.9億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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