ドル円見通し 米長期債利回り大幅上昇によるドル高で137円台中盤へ続伸(23/5/2)

ドル円は137円を突破する一段高となり3月8日高値137.91円以来の高値水準に達している。

ドル円見通し 米長期債利回り大幅上昇によるドル高で137円台中盤へ続伸(23/5/2)

ドル円見通し 米長期債利回り大幅上昇によるドル高で137円台中盤へ続伸

〇ドル円、昨日夜発表の米4月ISM製造業景況指数が予想を上回り、発表後に137円を超えるドル高反応
〇5/2早朝には137.50を超え、その後137.57近辺まで高値を伸ばした後に小緩む展開
〇経営破綻した米ファースト・リパブリック銀の買収救済で、信用不安拡大懸念はひとまず落ち着く
〇ISM製造業景況指数は市場予想上回る結果、米FOMCでの利上げ継続を阻害しないと市場は受け止める
〇米長期債利回りは大幅上昇、米株価は反落
〇137円を上回るうちは上昇余地ありとし、137.91超えからは138円台序盤への上昇を想定する
〇137円割れから続落の場合は調整安入りを警戒し、136.54割れからは136円前後試しを想定する

【概況】

ドル円は5月1日夜に発表された米ISMの4月米製造業景況指数が予想を上回り米長期債利回りが上昇してドル高反応となったために発表後に137円を超え、5月2日早朝には137.50円を超えた。現在、137.57円近辺まで高値を伸ばした後に小緩む展開で、やや売買交錯の商状。
経営破綻した米中堅銀行のファースト・リパブリック銀がJPモルガン・チェースに買収されたことで金融危機への不安を拡大させる大事には至らないとの安心感もドル買いを助長している。

4月28日の日銀金融政策決定会合ではマイナス金利やYCC等の金融緩和政策が現状維持とされ、長く続いてきた金融緩和政策の検証を1年から1年半かけて行うとしたことで当面は「異次元」金融緩和からの大きな修正はないとみてドル円は発表前安値133.36円から28日深夜高値136.55円へ急伸した。5月1日の日中も騰勢を継続して午後には136.98円をつけて137円に迫っていたが、4月ISM製造業景況指数が予想を上回ったことで5月4日未明のFOMCにおける0.25%利上げに続いて6月のFOMCでも追加利上げがあり得るのではないかとの見方が強まり米長期債利回りが総じて大幅上昇し、ドル円は137円を突破する一段高となり3月8日高値137.91円以来の高値水準に達している。

【ISM製造業景況指数、予想上回る】

5月1日に米サプライ管理協会(ISM)が発表した4月の米製造業景況指数は47.1となり、3月の46.3から上昇して市場予想の46.7を上回った。景況感の強弱分岐点である50を6か月連続で下回っており景況感が強い状況ではないが、予想を超えたことにより米FOMCでの利上げ継続を阻害しないと市場は受け止めたようだ。
内訳では新規受注が3月の44.3から45.7へ改善、生産が47.8から48.9へ改善、雇用も46.9から50.2へ改善したが、価格が49.2から53.2へと大幅に上昇したことがインフレの高止まりと根強さを印象付けたために米長期債利回りの上昇を招いたと思われる。
S&Pグローバルによる4月米製造業PMI確報値も速報の50.4から50.2へ小幅下方修正されたものの2022年10月以来の50超えとなったことも景気悪化への過度の不安を後退させた。

【米長期債利回りは大幅上昇、NYダウは反落】

5月1日の米長期債利回りは総じて大幅上昇した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.14%上昇の3.57%となり一時は3.61%まで上昇した。30年債利回りは0.13%上昇の3.81%、利上げに敏感な2年債利回りは0.14%上昇の4.15%となった。
ISM製造業景況指数が予想を上回ったこと、米ファースト・リパブリック銀の買収救済で信用不安拡大懸念がひとまず落ち着いたこと、5月4日未明のFOMCでの0.25%利上げがほぼ確実視される中で6月も追加利上げされる確率が3割程度あるとの見方が債券売り・利回り上昇を招いている。
一方でNYダウは先週末比46.46ドル安と下落、ナスダック総合指数も13.98ポイント安と下落した。米長期債利回りの上昇を嫌ったことと、買収により救済されたとはいえシリコンバレー銀とシグネチャー銀に続く3行目の破綻であること、シルバーゲート銀の自主廃業やSVBフィナンシャルグループの連邦破産法11条申請(民事再生)に続く信用不安事案であることから今後も信用不安問題を引きずる懸念が重石となった印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は4月26日夜安値133.01円を起点とした上昇が続いている。4月28日の日銀現状維持発表による円安の流れから5月1日は米長期債利回り上昇によるドル高も重なったことで連騰している。既に4円を超える上昇幅であり、3月8日高値超えから138円を目指す可能性も継続していると思われるものの、5月4日未明のFOMCも迫っているためにいったんはポジション調整型の下落が入っても不思議ないところと注意し137円割れから続落に入る場合は調整安入りを警戒し、5月1日夜反落時安値136.54円を割り込む場合は5月3日夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月27日夜の反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、連騰に対する反動安も入りやすいところと注意し、26本基準線割れを弱気転換注意とし、遅行スパンが悪化するところからは安値試し優先とする。ただし先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は4月28日夜から5月2日午前にかけての高値更新に際して指数のピークが80ポイント手前でほぼフラットとなる弱気逆行の気配がみられるため、60ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、60ポイント割れからはいったん調整安に入るとみて50ポイント前後への低下を想定する。ただし、50ポイント前後へ低下するところでは押し目買いも入りやすいのではないかとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、137円を下値支持線、3月8日高値137.91円を上値抵抗線とする。
(2)137円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、137.91円超えからは138円台序盤(138.00円から138.25円)への上昇を想定する。138円到達では売られやすいとみるが、勢い付く場合は138円台中盤へ向かう可能性もあるとみる。
(3)137円割れから続落の場合は調整安入りを警戒し、5月1日夜の反落時安値136.54円割れからは136円前後試しを想定する。136.20円以下は押し目買いも入りやすいとみるが、136.54円を割り込んでの推移なら3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/2(火)
休場 中国、ベトナム
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
13:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 3.60%、予想 3.60%)
15:00 (英) 4月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (3月 -0.8%、予想 -0.4%)
15:00 (独) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -1.3%、予想 0.4%)
15:00 (独) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 -7.0%、予想 -6.5%)
16:55 (独) 4月 製造業PMI・改定値 (速報 44.0、予想 44.0)

17:00 (欧) 4月 製造業PMI・改定値 (速報 45.5、予想 45.5)
17:30 (英) 4月 製造業PMI・改定値 (速報 46.6、予想 46.6)
18:00 (欧) 4月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (3月 6.9%、予想 7.0%)
18:00 (欧) 4月 HICPコア指数・速報値 前年同月比 (3月 5.7%、予想 5.7%)
20:20 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
23:00 (米) 3月 製造業新規受注 前月比 (2月 -0.7%、予想 1.1%)
23:00 (米) 3月 雇用動態調査(JOLTS)求人件数 (2月 993.1万件、予想 977.5万件)

5/3(水)
休場 日本、中国、ベトナム
07:45 (NZ) 1-3月期 就業者数 前期比 (10-12月 0.2%、予想 0.4%)
07:45 (NZ) 1-3月期 就業者数 前年同期比 (10-12月 1.3%、予想 1.8%)
07:45 (NZ) 1-3月期 失業率 (10-12月 3.4%、予想 3.5%)
10:30 (豪) 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.2%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 3月 失業率 (2月 6.6%、予想 6.6%)

21:15 (米) 4月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (3月 14.5万人、予想 15.0万人)
22:45 (米) 4月 サービス業PMI・改定値 (速報 53.7、予想 53.7)
22:45 (米) 4月 総合PMI・改定値 (速報 53.5、予想 53.5)
23:00 (米) 4月 ISM非製造業景況指数 (3月 51.2、予想 51.8)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 4.75-5.00%、予想 5.00-5.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、記者会見



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