『ドル円相場の上昇に連れてトルコリラ円も上昇。注目の大統領選まで残り2週間』
〇今週のトルコ円、米国発金融システム不安等に週央にかけ6.81まで下落
〇その後はトルコ指標の好調や日銀政策決定会合後の円安進行に週末にかけ一時7.02まで急伸
〇トルコリラ円、トルコ政府の対ドル相場のボラティリティ抑制策によるドル円相場に同調した動き継続
〇エルドアン大統領、健康上の理由からインタビュー、選挙集会等中止するも市場への影響は限定的
〇市場で、5/14の大統領選挙後、対ドルボラティリティ抑制策が撤廃されるとの見方広がる
〇トルコリラ円相場の5/15週以降の急落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.85ー7.15
今週のレビュー(4/24−4/28)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.91円で寄り付いた後、(1)米ファーストリパブリック銀行の大規模預金流出とそれに伴う金融システム不安の再燃(リスク回避の新興国通貨売り)を背景に、週央にかけて、週間安値6.81円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(2)トルコ4月景気動向指数(結果105.1、前回104.1)の良好な結果や、(3)トルコ4月設備稼働率(結果75.4%、前回73.5%)の良好な結果、(4)トルコ4月経済信頼感(結果102.2、前回98.8)の良好な結果、(5)トルコ中銀による政策金利の据え置き決定(5/14に予定されている大統領選前最後の会合で利下げに踏み切るのではないかとの見方が一部で燻っていたが結果は見送り)、
(6)日銀金融政策決定会合での緩和修正見送り決定、(7)対主要通貨での円売り再開(ドル円・クロス円急伸→トルコリラ円連れ高)、(8)トルコ3月貿易収支(結果83.4億ドル赤字、予想86.0億ドル赤字)の市場予想を下回る結果が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.02円まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/29午前5時30分現在)では、7.00円前後で推移しております。尚、エルドアン大統領は健康上の理由から4/25の生放送インタビューを切り上げると共に、4/26ー4/27に予定されていた選挙集会の中止も決定しましたが、トルコリラ円相場への影響は限定的となりました。
来週の見通し(5/1−5/5)
トルコ政府・トルコ当局による対ドル相場のボラティリティ抑制策が継続しているため、トルコリラ円相場はドル円相場に同調した動きとなっています(トルコリラの対ドル相場がレンジ内で固定されているため、トルコリラ円相場はドル円相場にシンクロ)。但し、資本規制や為替介入を通じた強引なボラティリティ抑制策は副作用を伴うことから長期化が難しく、常に急落リスクを孕んでいる点に留意が必要でしょう。事実、市場では、5/14に予定されている大統領選挙後に、対ドル相場のボラティリティ抑制策が撤廃されるとの見方が広がっています。
来週(5/1ー5/5)、再来週(5/8ー5/12)は、「トルコリラ円=ドル円」の同調相場が継続する公算が大きいものの、その翌週(5/15ー5/19)以降は、トルコリラが対ドル・対円共に急落に転じるシナリオが警戒されます(トルコリラの下落圧力を支えきれなくなって対ドルのボラティリティ抑制策が撤廃に追い込まれるシナリオを想定)。状況次第ではトルコリラ円相場が2021年12月21日に記録した史上最安値6.17円を試すシナリオも想定されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の5/15週以降の急落をメインシナリオとして予想いたします(通貨オプション市場でも5/15週以降のUSDTRYのインプライドボラティリティが高止まり)。尚、来週はトルコ4月製造業PMI(5/2)、トルコ4月消費者物価指数(5/3)、トルコ4月生産者物価指数(5/3)が予定されております。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.85ー7.15
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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