『テクニカル的な強さが継続もファンダメンタルズの弱さがランドの重石』
〇今週の南ア円、週央にかけ週間安値7.21まで急落後、週末にかけ7.45まで急伸
〇直近安値7.17を背景とした南ア買い、日銀金融政策決定会合後の円売り等が背景
〇南ア円主要テクニカルポイントを上抜け、買いシグナルも点灯、テクニカルの地合い好転
〇一方ファンダメンタルズは南ア経済、政局先行き不透明感強く、格下げ懸念、インフレ再加速懸念も重石
〇引き続き、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
今週のレビュー(4/24−4/28)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.41円で寄り付いた後、(1)一目均衡表雲上限をバックにした戻り売り圧力の高まりや、(2)南ア2月景気先行指数(結果120.1、前回120.9)の冴えない結果、(3)米ファーストリパブリック銀行の大規模預金流出とそれに伴う金融システム不安の再燃(リスク回避の新興国通貨売り)、(4)南アフリカ中銀による金融政策レビューでの「コアインフレ率は依然上昇しており、先行き見通しに上昇圧力がかかっている」「計画停電が成長の重石で2023年の成長率に対する押し下げ効果は最大2%ポイント」とのスタグフレーション(景気後退下でのインフレ昂進)を滲ませる見解発表が重石となり、週央にかけて、週間安値7.21円まで急落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)4/6に記録した直近安値7.17円を背にした押し目買い圧力や、(5)日銀金融政策決定会合での緩和修正見送り決定、(6)対主要通貨での円売り再開(ドル円・クロス円急伸→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.45円まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/29午前5時00分現在)では、7.44円前後で推移しております。尚、今週発表された南ア3月生産者物価指数(結果+10.6%、予想+11.3%)は市場予想を下回る結果となりました。
来週の見通し(5/1−5/5)
南アランドの対円相場は、週央に記録した安値7.21円をボトムに反発に転じると、週末にかけて、7.44円(4/21以来の高値圏)まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上下限、21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド)を上抜けしていることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が点灯したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの好転が意識されます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(深刻な電力不足の継続→国内で広がるスタグフレーション懸念→IMFは4/11に南アフリカの2023年経済成長率見通しを前回1月時点の+1.2%から+0.1%へ大幅下方修正)や、(2)南アフリカ国内の政局不透明感(与党アフリカ民族会議の支持率低下)、(3)南アフリカ国債の根強い格下げ懸念、
(4)南アフリカにおけるインフレ再加速懸念(先週発表された南ア3月消費者物価指数は市場予想を上回る結果→南ア中銀がインフレ抑制を優先して追加利上げに踏み切れば、南ア経済にもう一段下押し圧力が加わる恐れ)、(5)米FRBによる年内利下げ観測の後退(今週発表された米1ー3月期雇用コスト指数や米3月PCEコアデフレーターが予想比上振れ→米金利上昇・米ドル高は南アランドの下押し要因)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻む展開)。尚、来週は南ア国内の経済指標が予定されていないため、米FOMCや中国の4月製造業・サービス業PMIに注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
オーストラリアドル(AUD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
豪ドルWeekly 100円を挟んだもみ合い、CPIで早期の利下げ観測が強まる可能性も(24/11/22)
今週の豪ドルは、豪準備銀行(RBA)が公表した理事会要旨でタカ派姿勢が確認されたものの、買いは続かず、100円水準を挟んだ小動きの相場展開が続いた。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.11.22
ユーロ円 下値リスクが点灯中。162円台を回復出来ずに越週した場合は一段の下落へ(24/11/22)
ユーロ/円は163円台前半から161円台後半まで断続的に売られ、結局安値圏で引けています。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2023.05.02
ランド円ショートコメント(23/5/1)
実際のレンジは安値が7.19レベル、高値が7.42レベルと、思ったほど上値を伸ばさず安値が深い動きを見せた一週間でした。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2023.04.24
ランド円レポート月曜版(23/4/24)
先週のランド円は、安値が7.30レベル、高値が7.43レベルと、予想レンジよりも狭い値幅で動意薄の取引となった一週間でした。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。