トルコリラ円見通し 信用不安と米債務上限問題による円高に圧されて6.90円以下での推移(23/4/27)

トルコリラ円の4月26日は概ね6.89円から6.85円の取引レンジ、27日早朝の終値は6.87円で前日終値の6.88円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 信用不安と米債務上限問題による円高に圧されて6.90円以下での推移(23/4/27)

信用不安と米債務上限問題による円高に圧されて6.90円以下での推移

〇トルコリラ円、ドル円の騰落を見ながら26日夜に6.85円へ下落、4/19高値6.96以降の安値更新
〇60分足レベルでは三尊型形成の様相、6.90以下での推移が続くうちは下落基調が継続しやすい
〇対ドルではベンダーによっては19.43を終値として終値ベースでの最安値更新続く
〇本日20時にトルコ中銀政策金利発表、現状維持との見方で衆目一致
〇仮に追加利下げが決定される場合はリラ安が勢いを増すことになりかねないと注意
〇6.90超えからは反騰継続として6.92前後への上昇を想定、6.92以上は反落注意
〇6.85割れからは6.83、6.81を順次試す下落を想定、6.82以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の4月26日は概ね6.89円から6.85円の取引レンジ、27日早朝の終値は6.87円で前日終値の6.88円からは0.01円の円高リラ安だった。
米中堅銀行のファーストリパブリック銀における預金の大規模流出報道から信用不安問題が再燃したことに加え、米債務上限引き上げ問題の混乱が米国の一時的デフォルトへの懸念を生じさせていることからドル円はリスク回避優先で4月19日高値135.11円からの下落基調を継続して26日夜には133.01円へ安値を切り下げ、その後の反発でも134円に届かずにいる。
トルコリラ円はドル円の騰落を見ながら26日夜には6.85円へ下落して4月19日高値6.96円以降の安値を更新し、その後の戻りも6.89円までにとどまっている。4月19日高値を中心として4月18日午前と24日夜の高値が両肩となり60分足レベルでは三尊型形成の様相が見られており、6.90円以下での推移が続くうちは下落基調が継続しやすいのではないかと懸念される。
今夜は米1-3月期GDPとトルコ中銀の政策金利発表、明日は日銀金融政策決定会合、明日夜には米3月PCEデフレーターの発表がある。米銀関連の信用不安問題と債務上限問題を巡る続報にも注意がいる。

【対ドルでは最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの4月26日は概ね19.45リラから19.39リラの取引レンジ、27日早朝の終値は19.39リラで前日終値の19.42リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
米ファーストリパブリック銀の預金大量流出報道と米債務上限問題の混乱により為替市場はやや乱調な展開となっている。ユーロドルは4月25日夜にリスク回避の手仕舞い売りから急落したものの、26日夕刻から深夜にかけては米国リスクを意識したドル売りユーロ買いが優勢となって25日夜の急落分を解消する急伸となり、ポンドドルもユーロドルと同様の展開を見せているが、豪ドルは豪インフレ率の鈍化により追加利上げが鈍るとして4月14日からの下落基調が続いている。またドル円は全般のリスク回避で円高へ傾斜し、新興国通貨の強弱はまちまちの様相だ。

トルコリラは中長期的な下落基調を継続しており、全般的な為替市場動向にはさほど左右されていないが、手元のデータでは4月17日と19日の安値で19.46リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新してからも最安値近辺での推移が続いており、日足の終値ベースでは25日終値を19.42リラとして3営業日連続で最安値を更新、26日終値は27日早朝にかけてリラが買われたことを反映して19.39リラとなったものの、ベンダーによっては19.43リラを終値として終値ベースでの最安値更新が続いている。

【今夜、トルコ中銀の政策金利発表、予想は現状維持】

4月27日20時にトルコ中銀の政策金利発表がある。
昨年8月から11月まで4会合連続の利下げで政策金利の週間レポレートを14.0%から9.0%まで引き下げたことがリラ安を加速させたが、11月会合では当面の利下げサイクルが終了したとして12月、1月と9.0%の現状維持を続けていた。
2月6日にトルコ南部大地震が発生したことにより震災対策として2月会合では8.5%へと利下げが決定されたが、あくまでも地震被害対策によるものであり、3月会合では8.5%で据え置かれているため、今回の会合でも現状維持との見方で衆目が一致しているところだ。
しかし、5月14日の大統領選挙が迫る中でエルドアン大統領の支持率は野党統一候補と拮抗し、地震対策や高インフレとリラ安に対する国民の政権批判もあるため、再選へ向けてのアピールとして追加利下げを行う可能性も「無きにしも非ず」ではないかと思われる。現状維持なら予想通りとして市場反応も限定的と思われるが、仮に追加利下げが決定される場合はリラ安が勢いを増すことになりかねないと注意しておきたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月21日夜安値をサイクルボトムとして戻していたが、4月24日夜高値から反落したために25日午前時点では21日夜安値割れからは弱気サイクル入りとし、26日未明への下落で6.86円へ一段安したため、26日午前時点では24日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日夜から28日夜にかけての間への下落を想定した。
4月26日夜に安値を切り下げてからは下げ渋っているものの6.90円を超えられずにいるのでまだ一段安余地ありとみる。
強気転換は6.90円超えからとし、その場合は27日夜から5月1日夜にかけての間への上昇を想定するが、戻りが短命の可能性もあると注意し、その後に底割れするところから新たな弱気サイクル入りとして5月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月25日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、26日夜安値からの反発で遅行スパンが実線と交錯しているものの先行スパンの下限が上値を抑えている。このため先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月26日夜への下落では指数のボトムが切り上がる強気逆行の気配が見られるが、50ポイント以上を維持できずにいるので40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。ただし55ポイント超えからは上昇継続とみて60ポイント台中盤への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.85円を下値支持線、6.90円を上値抵抗線とする。
(2)6.90円手前は戻り売りにつかまりやすいとみてその後に6.88円を割り込むところからは下げ再開と考えるが、6.90円超えからは反騰継続として6.92円前後への上昇を想定する。6.92円以上は反落注意とするが、6.90円以上を維持しての推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.85円割れからは6.83円、6.81円を順次試す下落を想定する。6.82円以下は反騰注意とするが、6.90円以下での推移が続く場合及び直前安値から0.04円を超える反騰が見られないうちは28日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月27日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 98.8)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%、予想 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点 グロス (4月14日時点 694.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点 ネット (4月14日時点 120.7億ドル)
4月28日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 -120.8億ドル)
 16:00 1-3月 観光収入 (10−12月 113.7億ドル)
 17:00 3月 海外観光客数 前年同月比 (2月 21.35%)
5月2日
 16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 50.9)
5月3日
 16:00 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 2.29%)
 16:00 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 50.51%)
 16:00 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 0.44%)
 16:00 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 62.45%)

注:ポイント要約は編集部

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