トルコリラ円 信用不安再燃によるリスク回避型の円高に圧され再び6.90円を割り込む(23/4/26)

トルコリラ円の4月25日は概ね6.93円から6.86円の取引レンジ、26日早朝の終値は6.88円で前日終値の6.92円から0.04円の円高リラ安だった。

トルコリラ円 信用不安再燃によるリスク回避型の円高に圧され再び6.90円を割り込む(23/4/26)

信用不安再燃によるリスク回避型の円高に圧され再び6.90円を割り込む

〇トルコリラ円、4/26未明にかけての円高局面で6.86へ安値を切り下げ6.90割れの状況続く
〇対ドル、4/25終値は19.42リラ、3営業日連続で終値ベースでの最安値更新
〇高インフレとリラ安の続く中、経済政策面でも現政権への批判強まりエルドアン大統領再選危ぶまれる
〇欧米銀の与信基準厳格化が景気後退を招くとの懸念、トルコリラへの売り圧力も増す
〇6.90から6.92にかけては戻り売りにつかまりやすく、6.88を割り込むところからは下げ再開と考える
〇6.86割れからは6.84、6.82を順次試す下落想定

【概況】

トルコリラ円の4月25日は概ね6.93円から6.86円の取引レンジ、26日早朝の終値は6.88円で前日終値の6.92円から0.04円の円高リラ安だった。
米ファーストリパブリック銀の預金大規模流出により信用不安問題が再燃、銀行による与信基準の厳格化が景気後退を招くとの懸念で金融市場全般がリスク回避に動き、安全資産として米国債が買われて長期債利回りが低下、ドルストレートではユーロやポンドが下落してドル高となる一方でクロス円の全面安によりドル円も円高優勢となり、ドル円は26日未明に133.33円へ安値を切り下げて4月21日夜安値133.54円を割り込み3月24日安値を起点とした底上げ基調から転落した。
ドル高リラ安の進行を見ながらもトルコリラ円はドル円の騰落を追いかけており、4月19日高値6.96円で3月24日安値6.74円以降の高値を更新したところから下落に転じてきたが、26日未明にかけての円高局面で6.86円へ安値を切り下げて21日夜安値6.88円を割り込んだ。26日早朝の小反発では6.89円までにとどまり6.90円割れの状況が続いている。

【対ドルでは終値ベースの史上最安値を3日連続更新】

ドル/トルコリラの4月25日は概ね19.45リラから19.39リラの取引レンジ、26日早朝の終値は19.42リラで前日終値の19.41リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
3月10日の米銀破綻をきっかけとした信用不安が一時落ち着いていたもののファーストリパブリック銀の預金流出報道から不安が再燃してリスク回避型の展開となり、ユーロやポンド等のメジャー通貨が売られ、豪ドルや南アランド等資源通貨も下落してドルストレートではドル全面高となり、新興国通貨への売り圧力も高まった。
トルコリラは長期的な下落基調を継続しており、手元のデータでは4月17日と19日の安値で19.46リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新してからも最安値近辺での推移が続き、日足の終値ベースでは4月10日終値19.27リラから17日終値19.39リラまで6営業日連続で最安値を更新し、20日終値で19.40リラ、24日終値で19.41リラとさらに安値更新に入り、25日終値も19.42リラとなり3営業日連続で最安値更新となった。

【5月14日の大統領選挙迫り、リラ安の加速感が強まる】

5月14日のトルコ大統領選挙でエルドアン大統領は再選を目指すが、野党が統一候補を立て、クルド系党派が独自候補擁立を見送ったことにより支持率は拮抗して再選が危ぶまれている。
2月6日の大地震発生に対しても救助や復興を巡る政府対応への批判が高まり、高インフレとリラ安の続く中で国民生活も厳しさを増している。パンデミック発生からいち早く立ち直り2022年上半期までは景気拡大に成功していたものの主要国がインフレ抑制のための金融引き締めを強めたことにより世界全般の景気が鈍化してトルコの成長も2022年下半期に減速し、2023年も低成長が続くとの見方が強まっているため、経済政策面でも現政権への批判が強まっている。
3月に入ってからドル/トルコリラにおけるリラ安が勢いを加速させているのは3月10日の米銀破綻をきっかけとした信用不安が影響していると思われ、新興国投資へ慎重となり欧米銀行の与信基準の厳格化が新たな金融引き締め効果を招いて景気後退への不安が強まるとトルコリラへの売り圧力も増しやすい状況と警戒したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月21日夜安値からの反騰により24日午前時点では21日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしたとし、サイクルトップ形成期を24日午後から26日夕にかけての間と想定した。
4月24日夜高値から反落したために25日午前時点では6.90円割れを弱気転換注意とし、21日夜安値割れからは弱気サイクル入りとしたが、26日未明への下落で6.86円へ一段安したため、24日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日夜から28日夜にかけての間への下落を想定する。強気転換には6.90円台回復から6.92円に迫る反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では4月25日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転しても再び悪化するところからは下げ再開とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は4月26日未明に30ポイントへ低下した後も50ポイント以下にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみる。20ポイント台へ低下した後で相場がさらに安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは上昇再開と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.86円を下値支持線、6.92円を上値抵抗線とする。
(2)6.90円から6.92円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみてその後に6.88円を割り込むところからは下げ再開と考える。
(3)6.86円割れからは6.84円、6.82円を順次試す下落を想定する。6.84円以下は反騰注意とするが、6.90円を割り込んでの推移が続く場合及び直前安値から0.04円を超える反騰が見られないうちは26日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月27日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 98.8)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%、予想 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点 グロス (4月14日時点 694.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点 ネット (4月14日時点 120.7億ドル)
4月28日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 120.8億ドル)
 16:00 1-3月 観光収入 (10−12月 113.7億ドル)
 17:00 3月 海外観光客数 前年同月比 (2月 21.35%)
5月2日
 16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 50.9)
5月3日
 16:00 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 2.29%)
 16:00 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 50.51%)
 16:00 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 0.44%)
 16:00 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 62.45%)
  
注:ポイント要約は編集部

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