ドル円見通し 信用不安再燃で米長期債利回り低下、リスク回避の円高に(23/4/26)

ドル円は、4月26日未明への下落で4月21日夜安値を割り込んだために上昇トレンドの下値支持線から転落し、底上げ基調が崩れている。

ドル円見通し 信用不安再燃で米長期債利回り低下、リスク回避の円高に(23/4/26)

信用不安再燃で米長期債利回り低下、リスク回避の円高に

〇ドル円、4/26未明には133.33つけ4/21夜安値を割り込み、戻りも134円に届かず
〇ユーロやポンドが下落、ドルストレートではドル高、クロス円は全般に下げリスク回避の円高へ
〇4/25米経済指標、住宅関連が予想を上回る堅調さを示したものの景況感は悪化
〇ファーストリパブリック銀の経営不安から債券が安全資産買いされ利回り低下、NYダウ大幅安
〇134.00ー134.35にかけては戻り売りに掴まりやすい。134.35超えからは4/24夜高値134.72試し
〇133.33割れからは132円台後半への下落を想定。132.50以下は反騰注意
〇134円以下での推移中や直前安値から1円を超える反騰が見られなければ4/27も安値試しへ向かいやすい

【概況】

ドル円は4月19日高値で135.11円をつけたところからの調整安で21日夜安値133.54円まで反落したものの24日夜には134.72円まで戻すなど134円割れを買われて確りしていたが、米中堅銀行のファーストリパブリック銀が3月末時点の預金残高が昨年末から4割減少したと発表され、最大1000億ドルの資産売却を検討しているとの報道も出て信用不安が再燃、銀行の経営不安や融資の縮小による景気後退懸念も強まったことでリスク回避の円高となり、26日未明には133.33円をつけて21日夜安値を割り込んだ。その後の戻りも134円に届かずにいる。信用不安の再燃と共に米コンファレンスボードによる4月消費者景気信頼感指数が予想を下回る悪化となったことも重なり、金融市場全般がリスク回避へ動き、ユーロやポンドが下落してドルストレートではドル高、クロス円は全般に下げて円高感を強め、NYダウが大幅安、米長期債利回りは債券への安全資産買いで低下した。

【米住宅関連は予想を上回るも景況感が悪化】

4月25日の米経済指標では住宅関連が予想を上回る堅調さを示したものの景況感が悪化した。
米連邦住宅金融局(FHFA)による2月住宅価格指数は前月比で0.5%上昇、前年同月比は4.0%上昇で1月の5.3%上昇から伸びが減速した。FRBによる利上げが続いたことで住宅ローン金利が上昇したために住宅価格も上昇してきたが、米長期金利がピークから低下したことで買い意欲が回復していることを示した。
2月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市)は前年同月比0.4%上昇となり、1月の2.5%上昇からは減速したが、前月比は0.2%上昇で8か月振りのプラスとなった。
米商務省による3月の新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比9.6%増の68万3000戸となり、2022年3月以来の高水準で市場予想の63万戸を大幅に上回ったが、前年同月比は3.4%減だった。
リッチモンド連銀の4月製造業景況指数はマイナス10となり、3月のマイナス5から悪化、市場予想のマイナス8を下回った。

米コンファレンスボードによる4月消費者景気信頼感指数は101.3となり、3月の104.0から低下して市場予想の104.0を下回った。現況指数は3月の148.9から151.1へ改善、期待指数は74.0から68.1へ悪化した。同社は「期待指数は短期的な将来の景気後退入りを示すことが多い水準を下回り続けている」と指摘している。向こう半年間の景気見通しは「改善する」が13.5%で前月の16.4%から低下、「悪化する」は19.2%から21.5%へ上昇した。

【米長期債利回りは債券買いで低下、株安】

米中堅ファーストリパブリック銀の経営不安から債券が安全資産買いされて利回りは低下した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.09%低下して3.40%となった。4月6日に3.25%へ低下したところからの上昇で4月19日に一時3.64%をつけて3月22日以降の低下幅を解消したものの戻り一巡で失速しており、21日の0.05%低下、24日の0.09%低下から3営業日続落となった。30年債利回りは0.05%低下の3.66%で、4月6日の3.53%から4月19日の3.83%へ上昇した後は戻り一巡で失速しており、24日の0.07%低下から続落した。

2年債利回りは0.14%の大幅低下で3.96%となり4%を割り込んだ。3月24日の3.56%から4月19日の4.29%へ上昇してきたところで戻り一巡となり、24日の0.09%低下から続落した。
一方で、NYダウは銀行セクターの下落で前日比344.57ドル安と大幅下落、ナスダック総合指数は238.04ポイント安と下落した。渦中のファーストリパブリック銀は49.4%安、JPモルガンチェースやゴールドマンサックスも売られ、地銀のUSバンコープやニューヨークコミュニティーバンコープなども売られた。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は3月24日安値を起点として戻り高値を切り上げた後の調整安でも底上げをして上昇トレンドを形成してきたが、4月26日未明への下落で4月21日夜安値を割り込んだために上昇トレンドの下値支持線から転落し、底上げ基調が崩れている。4月19日の135円台到達を目先のピークとして調整安が継続しやすい状況と思われるが、21日夜安値を基準として28日夜にかけては安値試しが続きやすい時間帯と考える。強気転換には24日夜高値134.72円を超える必要がある。

60分足の一目均衡表では4月26日未明への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は4月26日未明への下落で30ポイント台へ低下し、その後も50ポイント以下での推移が続いているのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換は50ポイント超えからさらに続伸する上昇がみられるところからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月26日未明安値133.33円を下値支持線、134.35円を上値抵抗線とする。
(2)134.00円から134.35円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。134.35円超えからは24日夜高値134.72円試しとするが、134.70円手前は反落警戒とする。
(3)133.33円割れからは132円台後半への下落を想定する。132.50円以下は反騰注意とするが、134円以下での推移が続く場合や直前安値から1円を超える反騰が見られない場合は27日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/26(水)
休場 インドネシア
10:30 (豪) 3月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 6.8%、予想 6.5%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前期比 (10-12月 1.9%、予想 1.3%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前年同期比 (10-12月 7.8%、予想 6.9%)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -29.5、予想 -27.9)
21:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
21:30 (米) 3月 卸売在庫 前月比 (2月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 -1.0%、予想 0.7%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 0.0%、予想 -0.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 財務省2年変動利付債入札
26:00 (米) 財務省5年債入札

4/27(木)
休場 南ア
日銀・金融政策決定会合初日
10:00 (NZ) 4月 ANZ企業信頼感 (3月 -43.4)
10:30 (豪) 1-3月期 輸入物価指数 前期比 (10-12月 1.8%、予想 0.5%)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI・改定値 (速報 99.2)
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI・改定値 (速報 97.7)
18:00 (欧) 4月 経済信頼感 (3月 99.3、予想 99.9)
18:00 (欧) 4月 消費者信頼感・確定値 (3月 -17.5)
21:30 (米) 1-3月期 GDP速報値 前期比年率 (10-12月 2.6%、予想 2.0%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (10-12月 1.0%、予想 4.0%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCEデフレーター速報値 前期比年率 (10-12月 4.4%、予想 4.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.5万件、予想 25.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.5万人)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前月比 (2月 0.8%、予想 1.0%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前年同月比 (2月 -21.1%)
26:00 (米) 財務省7年債入札


注:ポイント要約は編集部

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