ドル円、米経済指標の不冴な結果と、金融システム不安再燃で大幅下落。
〇ドル円、米指標の不冴えとファーストリパブリック銀行株の大暴落等に米国時間に133.38まで急落
〇ユーロドル、世界的リスクオフの再燃等に米国時間に1.0964まで急落
〇ドル円、一目均衡表の「雲」の中に沈みテクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測等が重石
〇ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:132.50ー134.50
海外時間のレビュー
25日(火)のドル円相場は上昇後に急反落。(1)本邦輸入企業の実需のドル買いや、(2)植田日銀総裁による「現行のYCCによる金融緩和継続が適当」「いま金融引き締めに転じると半年後に物価が下がっていく局面でさらに下押し圧力が加わり由々しき事態になる」とのハト派的な発言、(3)ユーロ円相場の急上昇(ユーロ円が約8年4カ月ぶり高値圏へ急伸→ドル円連れ高)が支援材料となり、アジア時間午後にかけて、高値134.46まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米4月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲10、予想▲8、前回▲5)の市場予想を下回る結果や、(5)米4月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果101.3、予想104.0、前回104.2)の不冴な結果、(6)米地銀ファーストリパブリック銀行株の大暴落、(7)上記6を背景とした株式市場の大幅下落(世界的な金融システム不安再燃→リスク回避の円買い圧力)、(8)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値133.38まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/26午前5時30分現在)では、133.70前後で推移しております。
25日(火)のユーロドル相場は上昇後に急反落。アジア時間朝方にかけて、高値1.1067まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)4/14に記録した年初来高値1.1077を背にした戻り売り圧力や、(2)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り(利食い売り)、(3)レーンECB専務理事による「現在のデータは追加利上げの必要性を示唆しているがそれ以降のことは分からない」「現在5%を超えている賃金の伸びは年内に鈍化する可能性が高い」とのハト派的な発言、
(4)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「インフレは今がピークの公算」「インフレ率は2024年末には2%程度まで低下する見通し」とのハト派的な発言、(5)ドイツ10年債利回りの急低下、(6)米地銀ファーストリパブリック銀行株の大暴落、(7)上記6を背景とした世界的なリスクオフ再燃、(8)ユーロロング勢のストップSELLが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0964まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/26午前5時30分現在)では、1.0974前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円4/19に記録した高値135.13をトップに反落に転じると、昨日は一時133.38まで急落しました。この間、日足・ローソク足が一目均衡表雲上限を下抜けした他、日足ベース・4時間足ベース共に強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)世界的な金融システム不安の再燃(米地銀ファーストリパブリック銀行の予想を超える預金流出→バッドバンクの設立や資産売却など事業再生に向けた選択肢を検討していることが判明→同社株が40%を超える大暴落)や、(2)米FRBによる金融引き締め打ち止め観測(米地銀発の金融システム不安再燃で来週の米FOMCでの利上げ見送り観測浮上)、(3)日銀による金融緩和の根強い修正観測、(4)上記2、3を背景とした日米金融政策の方向性の違い(円キャリートレード解消懸念)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります(高水準に積み上がっている投機筋の米債ショート・米ドルロングの巻き戻しが誘発されれば、ドル円がもう一段下げ足を速める恐れあり)。
以上を踏まえ、当方では、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は目立った経済指標が予定されていないため(※米3月卸売在庫、米3月小売在庫、米3月耐久財受注、米5年債入札のみ)、米地銀ファーストリパブリック銀行に関する続報や、世界的な株式市場・米長期金利の動向に注目が集まります(ボラティリティの急拡大に要注意)。
本日の予想レンジ:132.50ー134.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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