来週の為替相場見通し:『来週は米FOMCおよびECB理事会がメインイベント』(4/29朝)

ドル円は3/24に記録した安値129.65をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約1カ月半ぶり高値となる136.57(3/10以来の高値圏)まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『来週は米FOMCおよびECB理事会がメインイベント』(4/29朝)

『来週は米FOMCおよびECB理事会がメインイベント』

〇今週のドル円、週央にかけ米指標の好調と米地銀の株価暴落による有事のドル買いに133.01まで下落
〇週末にかけては日銀会合での緩和修正見送り決定と米インフレ指標の上振れに一時136.57まで急伸
〇ユーロドル、一時1.1067の高値をつけるも、その後は1.10を挟んでのもみ合いに
〇ドル円、主要テクニカルポイントを軒並み上抜け、強い買いシグナルも点灯、地合い強い
〇ファンダメンタルズも、日米金利差拡大観測強まり、ドル円をサポート
〇来週はFOMCや米国主要経済指標に要注目
〇ドル買い・円売りの流れがもう一段加速する展開をメインシナリオとして予測
〇来週の予想レンジ(USDJPY):134.00ー138.00

今週のレビュー(4/24−4/28)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初134.10で寄り付いた後、(1)米4月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲23.4、予想▲12.0)のネガティブサプライズや、(2)米4月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲10、予想▲8)の市場予想を下回る結果、(3)米4月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果101.3、予想104.0)の冴えない結果、(4)米ファーストリパブリック銀行の大規模預金流出(同社株が大暴落→米地銀発の金融システム不安再燃→リスク回避の円買い圧力)、(5)米政府による「米ファーストリパブリック銀行救済について現時点では消極的」とのネガティブヘッドライン、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、週央にかけて、週間安値133.01まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(7)米1ー3月期コアPCE(結果+4.9%、予想+4.7%)の市場予想を上回る結果や、(8)日銀金融政策決定会合での緩和修正見送り決定、(9)声明文における「金融政策運営について1年から1年半程度の時間かけて多角的にレビュー」との文言追加、(10)植田日銀総裁による「基調的なインフレ動向が安定的に2%実現するまでは長短金利のイールドカーブコントロールを続ける」とのハト派的な発言、(11)上記8、9、10を背景とした日銀による金融緩和の早期修正観測の後退、(12)短期筋のストップBUY(心理的節目135.00および136.00の上方ブレイク)、(13)米1ー3月期雇用コスト指数(結果+1.2%、予想+1.1%)の市場予想を上回る結果、(14)米3月PCEコアデフレーター(結果+4.6%、予想+4.5%)の市場予想を上回る結果、(15)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、週末にかけて、週間高値136.57(3/10以来の高値圏)まで急伸しました。

引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/29午前4時20分現在)では、136.24前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0991で寄り付いた後、(1)ベルギー中銀ウンシュ総裁による「賃金の伸びが鈍化しなければ利上げを継続する」「ある時点で中銀預金金利を4%にしなければならないとしても驚きはない」とのタカ派的な発言や、(2)ドイツ4月IFO企業景況感指数(結果93.6、予想93.4、前回93.3)の市場予想を上回る結果、(3)パネッタECB専務理事による「地政学的リスクがインフレ率を押し上げている」とのタカ派的な発言、(4)シュナーベルECB専務理事による「来週のECB理事会で50bpの利上げの可能性を排除しない」とのタカ派的な発言、(5)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、翌4/25アジア時間にかけて、一時1.1067まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(7)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り(利食い売り)や、(8)レーンECB専務理事による「現在のデータは追加利上げの必要性を示唆しているがそれ以降のことは分からない」「現在5%を超えている賃金の伸びは年内に鈍化する可能性が高い」とのハト派的な発言、(9)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「インフレは今がピークの公算」「インフレ率は2024年末には2%程度まで低下する見通し」とのハト派的な発言、(10)米ファーストリパブリック銀行の預金流出に端を発した金融システム不安の再燃リスクが重石となり、4/25海外時間にかけて、週間安値1.0963まで反落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(11)ドイツ5月GFK消費者信頼感(結果▲25.7、予想▲28.0)の市場予想を上回る結果や、(12)フランス4月INSEE消費者信頼感指数(結果83、予想81)の市場予想を上回る結果、(13)デギンドスECB副総裁による「総合インフレ率は低下傾向だがコアインフレ率は上昇基調」とのタカ派的な発言、(14)キプロス中銀ヘロドトゥ総裁による「上昇傾向にある賃金が懸念材料」とのタカ派的な発言が支援材料となり、週央にかけて、週間高値1.1096(昨年3/31以来、約1年1カ月ぶり高値圏)まで急伸しました。その後は、(14)米1ー3月期雇用コスト指数の市場予想を上回る結果や、(15)米3月PCEコアデフレーターの市場予想を上回る結果、(16)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/29午前4時20分現在)では、1.1018前後で推移しております。

来週の見通し(5/1−5/5)

<ドル円相場>
ドル円は3/24に記録した安値129.65をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約1カ月半ぶり高値となる136.57(3/10以来の高値圏)まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上下限、21日移動平均線、90日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」も成立するなど、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる年内利下げ観測の後退(今週末に発表された米3月PCEデフレータや米1ー3月期雇用コスト指数が上振れしたことで年内利下げ観測が幾分後退)や、(2)日銀による金融緩和の早期修正観測の後退(今週末に開催された日銀金融政策決定会合で金融緩和の継続路線が強調)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大観測(円キャリートレード継続の思惑)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は上記1の方向性を確認する目的で、5/2ー5/3に予定されている米FOMCや、米国の主要経済指標(米4月ISM製造業・非製造業指数、米JOLTS求人指数、米4月ADP雇用統計、米4月雇用統計)に注目が集まります。

米FOMCで25bpの利上げが決定されると共に、パウエルFRB議長が記者会見の場で市場に燻る年内利下げ観測を牽制する場合(利下げの検討は時期尚早で且つ状況次第では追加利上げもあり得るとのコメントを発する場合)や、米経済指標が市場予想を上回る場合には、ドル円が市場参加者に意識されている200日移動平均線(136.98)を突破し、3/8に記録した直近高値137.90に向かって急伸するシナリオも想定されます。米ファーストリパブリック銀行の株価暴落に端を発した金融システム不安の高まりや、実質金利上昇に伴う米経済のオーバーキルリスク(今週発表された米国の景気関連指標は軒並み悪化)など、ドル買い・円売りを阻む不安要素も複数残っているものの、来週に関しては、今週の動きを踏襲し、ドル買い・円売りの流れがもう一段加速する展開をメインシナリオとして予測いたします。尚、本邦ゴールデンウィーク期間中は例年相場が荒れる傾向にあるため、ボラティリティの急拡大には念のため注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(USDJPY):134.00ー138.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は3/15に記録した安値1.0516をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、約1年1カ月ぶり高値となる1.1096(昨年3/31以来の高値圏)まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上下限、21日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み上抜けしていることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)ECBメンバーによる相次ぐタカ派発言や、(2)米FRBによる金融引き締め打ち止め観測、(3)上記1、2を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(利上げ最終局面にある米国と、更なる利上げ余地が残されている欧州との金融政策格差)、(4)欧州経済を巡る楽観的な見方(米経済指標の下振れに対して、欧州経済指標は力強さを維持。米国で信用不安が高まる一方、欧州は無風であることもユーロ買い・ドル売り材料視)など、ユーロドル相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は、上記1を確認する目的で5/4に予定されているECB理事会に注目が集まります。25bpの利上げ決定+ラガルドECB総裁によるタカ派的な発言が出てくる場合(50bpの利上げも議論されたとの発言が発せられる場合)には、欧米金融政策の方向性の違いが改めて意識され、ユーロドルがもう一段上昇するシナリオも想定されるため、当方では引き続き、ユーロドル相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(ユーロ円上昇→ユーロドル連れ高の波及経路もユーロドルを下支え)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0850−1.1200

『来週は米FOMCおよびECB理事会がメインイベント』

ドル円日足

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